[写真]延世大学(ヨンセ大学)の韓国語クラスで学ぶ日本人学生らと記念撮影する外相の岡田克也さん。2010年2月11日、外務省ホームページから(一部トリミング)。
通常国会中は情報が交錯し忙しく、書いたエントリーを投稿できないことが多々あります。在庫処分といったら失礼ですが、半年前に書きっぱなしにした記事を投稿します。
岡田克也外相は2月11日の祝日を使って、韓国を訪問しました。
今年は1910年の日韓併合条約から100周年。私は大学時代に国際法を随分と学びましたが、この条約は国際法としては有効な条約だと考えます。とはいえ、朝鮮、現在は韓国と北朝鮮に分断されていますが、朝鮮民族にとっては植民地支配であって、「民族の誇りを傷つけた」(岡田外相)ことには変わりありません。
岡田外相の率直さに、現時点で韓国の新聞各紙は好意的な論調だ、と伝えられています。岡田外交の3原則の①現場を知ること、②常に原点に立ち返り検討すること(ゼロベースから検討すること)が功を奏したようです。

[写真]岡田外相と李明博大統領、2010年2月11日、ソウル青瓦台で=外務省ホームページから、一部トリミング。
また、岡田外相は延世大学の韓国語クラスで学ぶ日本人学生を訪れました。まさに日韓の架け橋です。
このニュースを見て、私の早大政治学科の安全保障論・国際政治学のゼミが、延世大学と「ワセ・ヨン」という交流プラグラムをもっており、この時期に開催されているはずなので、何か関係があるかなと思いました。「ワセ・ヨン」は私の卒業後にスタートしたプログラムなので詳細は分かりませんが、双方はおそらく英語で議論していると思います。
そこで、ゼミとサークル双方の後輩にあたる学生がいるので電話してみました。
すると、「ワセ・ヨン」は先週すでに終了しているとのこと。「あ~残念」と思っていると、その学生から「宮崎さん、電話代かかりますよ~」と言われました。「なんで?」と聞くと、「ワセ・ヨンが終わってみんな帰国したんですけど、僕だけ自費で残って韓国旅行しているんですよ、今まだソウルにいるんですよ」とのこと。新宿あたりにいるんだと思ってました。この日(2月11日)も延世大学に寄っていたそうですが、岡田外相が来ていることは気づかなかったとのこと。
次の100年へ。日本と韓国のそれぞれの国の次の100年を担う層の若者たちの相互理解と人的交流は確実に進んでいます。
日本と韓国の戦略的で互恵的パートナーシップはしっかりと構築できているようです。

[画像]岡田外交の3原則(宮崎信行作成)

[画像]2月12日付東京新聞1面
東京新聞:『民族の誇り傷つけた』 日韓併合 100年機に 岡田外相が表明:国際(TOKYO Web)
【ソウル=築山英司】岡田克也外相は十一日、ソウルの韓国外交通商省で柳明桓(ユミョンファン)外交通商相と、日韓併合条約締結から百年を迎えた今年の日韓関係や北朝鮮問題などをめぐり会談した。会談後の共同記者会見で、岡田外相は日韓併合について「韓国の人々が国を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられた出来事だった」と見解を述べ、被害者の痛みを忘れずに未来志向の友好関係を築く考えを明らかにした。
岡田外相は「私は日本人であることを誇りに思う。それゆえに国を奪われた人々の気持ちが理解できる」と説明。「併合された側、痛みを覚える被害者の気持ちを決して忘れてはいけない」と表明した。
会談では、両外相が今年を「新しい段階に向けた年」とすることで一致した。日韓の民間交流活発化の一環として、二〇〇七年九月以来休会している両国の有識者による「日韓文化交流会議」の再開で合意した。
永住外国人への地方参政権付与法案をめぐっては、柳外通相が法案の成立に期待感を表した。これに対し、岡田外相は「政府として現在検討中だ」と説明し、理解を求めた。
韓国政府は日韓併合百年の今年に天皇陛下の訪韓実現を要望しているが、会見で岡田外相は「慎重に検討していきたい」と答えた。
北朝鮮問題では、両外相は会談で核とミサイル、拉致問題を含む人権問題の包括的解決の重要性で一致した。北朝鮮がまず非核化措置を実施することが重要で、核問題をめぐる六カ国協議の再開に向け、米国を含めた関係国の緊密な連携を再確認した。
<日韓併合> 大日本帝国が1910年8月22日、保護国にしていた大韓帝国との間で併合条約に調印し、条約は同月29日に発効した。日本は太平洋戦争で敗北した45年まで、植民地支配した。朝鮮総督府を設置し大韓帝国を朝鮮と改称。皇民化政策を推進して民族独立運動を抑圧した。