ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

民社協会の譲れない「6つの基本姿勢」 まったり、じっくり

2010年08月18日 21時22分45秒 | 第175臨時国会(2010年7月)ねじれ

[写真]民社協会の「6つの基本姿勢」について記者会見する(左から)衆院議員の田中慶秋さん、中野寛成さん、吉田治さん、2010年8月18日、衆院議員会館内の田中議員室の会議室、宮崎信行撮影

 私は24歳の若き新聞記者として、「新党友愛」というわずか4ヶ月だけ日本憲政史に存在した政党のメーン担当をしたことがあります。今で言う「民社協会」です。

 新聞などで、民社協会を「川端グループ」と標記しているところがありますが、この呼び名はおかしい。民主党内の他のグループと民社協会はシステムが異質であり、同列に論じると本質を見誤ります。

 ちなみに2008年度政治資金収支報告書では、「一新会」の会員は35人ですが、「民社協会」の会員は5000人を超えており、その中の30人が国会議員団ということになるわけです。

 民社協会にはいくつか特徴があり、

 ①大事なことを決めるときは、国会議員、地方民社協会代表(地方議員ら)、旧同盟系の産別(自動車総連、電力総連、UIゼンセン同盟など)など支持団体の代表者の三者が話し合って決める。
 ②談論風発で政策談義が好きである。
 ③物事を決めるまで、とても時間がかかる。

 ということです。

 とくに、「○○県民社協会」といった地方組織を持つ“グループ”というのは、民社協会だけですから、ここからして、「川端グループ」と呼んで論じることに無理が生じます。

 新党友愛時代の経験では、県連代表者会議をホテルで8時間ぐらい続けたり、国会議員団が雑居ビルに持っていた部屋で午前2時まで打ち合わせたり、とかザラでした。

 今はこういう時代ですから、国会内の共用会議室を使っています。きょうは、午前11時から会議が始まり、ぶら下がりの記者に、「徹夜になるかもよ」(中野寛成さん)との発言もありましたが、午後4時半にきょう時点での状況について、記者会見(ブリーフィング)がありました。これが開かれたのが、衆院議員会館の田中慶秋議員の事務所内の会議室で、3議員が出席して開かれました。これは広い新議員会館のおかげですね、狭い旧議員会館ではとてもできませんでした。

 この辺の取材感覚を早くつかまないといけないので、このところは新議員会館に通うようにしています。が、民社協会の仲良しでまったりしながらも、非国会議員にも発言権があり、徹底的に議論する民社協会のムードは12年前と変わらず、きょうは取材していて楽しかったです。


 きょうは、民社協会の国会議員のベテラン秘書が「民社系のセンセイにあんなにたくさんの記者がぶら下がっているのを初めて見た」ということで、細川・羽田内閣以来、15年ぶりに与党になったことを実感したようです。

 ◇

 民社協会は18日午前から午後にかけて、理事会や幹部による協議を断続的に開き、9月の民主党代表選への民社協会の対応を協議しました。その結果、6つの「基本姿勢」を決定し、この政策をうったえる候補者を支持することにしました。25日の候補者説明会の前をめどに、協会内からの独自候補擁立を探りますが、それがムリなら、他の候補者に「6つの基本姿勢」に関する政策協定を結びます。いずれにしろ支援候補者を機関決定することになり、「自主投票はありません」と田中慶秋会長が断言しました。

 民社協会がかならず支援候補者を機関決定することにしたことには、背景があります。民社協会は、支持母体である旧同盟系産別や民社党結党以来の財産が安定しています。とはいえ、そのパイは限られています。これまでは、政権交代をめざす段階で、とくに国会議員空白県の民社協会地方組織が民主党議員を積極的に会員に迎え入れてきました。

 しかし、政権交代後は国会議員として他のグループとかけもちする会員が増え、「自由主義」「友愛」の基本理念のもとに“働く仲間”の生活を向上させる「友愛会」や「民社党」結成以来の民社協会の理念とズレがでてきていると指摘が一部にありました。今回の代表選では、その軌道修正を図っているもようで、民社協会の機関決定とは違う候補を推薦・支援した会員には、ひょっとすると、退会処分、ということになるかも。そもそも、民社協会というのは、メンバーを増やして、総理・代表を出すという考え方はもっていません。

 まあ、それはいいとして、民社協会のまったり、仲良し、政策好き、熟議の政治というのはなかなか面白いですので、これからも、国会閉会中には、民社協会の取材ルポもお伝えしたいと思います。

 民社協会は24日までをメドとする機関決定に向けて、今後も理事会などを開いていく方針です。

 ◇

 民社協会が18日決定した「基本姿勢」は以下の通り。

(全文書き写しはじめ)

 民主党代表選挙に臨むにあたって

 私たちは自由、公正、友愛を基本理念に、国民主権、基本的人権、平和主義が貫かれた、真に元気な日本を、国民のために、国民の力で創る。
 そのための民主党代表選挙において以下の基本姿勢で臨む。

 平成22年8月18日
  民社協会

 基本姿勢

 1 個人の人格の自由な発展を尊重する党の性格、及び「自由・公正・友愛」を基本とする国家観・世界観を明確にした「民主党綱領」を制定すること。

 2 激動する国際情勢にも対応するハイレベルの国家戦略局を設置すること。

 3 国際連合と日米関係の深化を基軸とする安全保障体制を確立すること。また、平和外交の推進に資する新たなインテリジェンスシステムを構築すること。

 4 社会保障の充実と、雇用の確保のためにも、新経済成長戦略を推進し、抜本的税制改革を断行して財政危機を克服すること。

 5 憲法審査会を衆参両院に早期に設置し、日本の新しい仕組みを構築すること。

 6 エネルギー・環境政策については、原子力の平和的有効活用と、地球益と国益の両立を図ること。

 この記事の本文は以上です、宮崎信行、2010年。

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