宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

菅直人総理がヘリで視察、岡田克也幹事長「来年度予算成立後に補正を」

2011年03月12日 21時56分57秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]一夜明け、ヘリで被災地を上空から視察する総理、2011年3月12日早朝、「TBSニュースi」から

 「3・11」午後2時47分の「東北太平洋沖大地震(M8・8)」から一夜明けて、被害の全容が分かりつつあります。

 夕べは東京でも数え切れないほど、おそらく数十回と思われる横揺れの余震が続き、私も寝付けませんでしたが、朝刊を読んだ後には、さすがに眠り、その間には、余震があったようですが、熟睡。その慣れをナント表現するか、私としても言葉が見あたらないところです。

 菅直人総理は、夜明けの午前6時8分、官邸で記者団のインタビューに答えました。このときは、おそらく首相動静からも公邸に帰らず執務室にいたこともあり、おそらく一睡もしていないと思われ、非常に興奮した声でした。しかし、その後の対応では、落ち着いたいつもの菅さんに戻っているようで、安心しました。

 総理は、官邸屋上からヘリコプターで出発。7時11分に、福島県の東京電力の福島第一原子力発電所に降り立ち、おもに1号機を視察。その後、仙台、石巻などの太平洋岸を上空から視察し、津波(tsunami)により、家屋などが流された惨状を視察。官邸に帰ってから、「自衛隊を2万人から5万人に引き上げる」ように指示し、北澤俊美・防衛大臣に、「さらに全国から動員できないか」と命令しましたことを午後8時35分の記者会見で明らかにしました。

 午後3時から、およそ1時間、与野党の党首会談を開きました。この席で、自民党の谷垣禎一総裁と公明党の山口那津男代表が協力を確約した上で、「国会の休会を」求めました。国会休会は国会法15条1項で「両議院の議決により」できることになっており、「休会」していても、議長や4分の1以上の議員の求めで、できます。

 これに対して、民主党の岡田克也幹事長は、終了後のぶら下がりインタビューで、「休会すると予算案の成立が遅れる」と拒み、まず参院で審議中の平成23年度本予算を成立させ、そのうえで、平成23年度第1次補正予算で震災復興費を肉付けするスケジュールに協力を求めたようです。

 今年度(平成22年度)の予備費は2000億円あるようです。今年度は残り3週間。平成23年度予算を閣議決定、衆院で可決、参院で可決・成立させてしまえば、4月1日スタートの予算でも、国政府の信用、各省大臣の政治的責任のもと、前倒しでの予算執行(入札、発注、購買、契約など)は十分に可能だと、私は思います。ですから、この平成23年度本予算を速やかに、もう来週にも成立させて、地方交付税、および各省の資金繰りを潤沢にしたうえで、状況把握・分析を踏まえたうえで、4月になってから、平成23年度第1次補正予算案を編成、審議する方が現実的だと、私も思います。

 この党首会談中の午後3時36分に、東電福島第一原発1号機の周辺にある建屋が骨組みは残しながらも爆発したとみられる、映像が撮影されました。ここから、CNNの報道は「Tsunami」から「原発」へトップニュースの扱いが変わりました。私は、ああいった構造物は、何らかの爆発があった場合には、中にこもらず、上空に発散するように、天井などはわざともろくつくるようにしているハズなので大丈夫だと思いましたが、枝野幸男・官房長官が午後8時42分の記者会見で「原子炉は鋼鉄製の格納容器の中にあり、建屋の爆発は、水素と酸素によるもので、鋼鉄製の格納容器の中にはそもそも酸素がなく、原子炉は傷ついていない」と宣言しました。枝野長官の説明に先立ち、総理は「従来の予想を超えた大きな津波であり、想定されたバックアップ体制を超えているので、念のため、避難をお願いしている」と述べました。

 北澤俊美防衛大臣は精神力が強いし、松本龍防災担当大臣は人柄が良く兼務する環境大臣として「名古屋会議」で名古屋議定書をまとめ上げた実績があり、中野寛成・国家公安委員長は、1995阪神大震災では、野党の政調会長ながら、当時はSP付きだったこともあり、大阪府内の自宅からクルマで現地入りし、早期の情報収集につとめ、政府・与党側にも反映できた実績があります。また、ふだんは早口の枝野幸男・内閣官房長官は、発災以来、ゆっくりとかんでふくめるように説明することにつとめているようです。

 NHKなどの報道や、解説を見ていると、岩手・宮城・福島の太平洋岸では、津波の後に、地盤が沈下しているようです。これはある意味、「海岸線が変わった」という表現もできると思います。救命に続く、仮設住宅などの復旧、そしてその後に来る復興。私はゆうべ思いを馳せましたが、東北の場合は、自然が魅力ですから、「自然に戻る」ということをグランド・デザインとして描くべきかと思いますが、この議論はまだ早いです。そう意味では、CNNなども「SENDAI」という地名を使っていますが、できれば「TOHOKU(東北)」ということで、いつの日か、日本観光は「TOHOKU(東北)」ということになってほしいと思います。ちょっと話が先走りすぎていますが、そう思います。

 総理は記者会見で、50カ国から支援の申し出を受けていると明らかにし、「しっかり乗り越えて、未来の日本で、あのときの苦難を乗り越えたから今がある」と思えるようにするために、「国民のみなさまがそれぞれの立場」で日本のためにまとまり、行動することを求めた上で、「私も全身全霊で命懸けでこの仕事に取り組む」とメッセージを送りました。私は「それぞれの立場での行動」には、冷静にし、過度の買いだめをしない、クルマで道路を渋滞させないことも「行動」だと思いますが、いずれにしろ、このときの総理は早朝にヘリに乗る前と違い、泰然自若とした堂々としたリーダーの姿に見えました。

首相動静―3月12日(朝日新聞) - goo ニュース

 【午前】0時15分、オバマ米大統領と電話会談。松本外相、高橋外務副大臣、外務省の梅本北米局長、福山官房副長官同席。40分、枝野官房長官、福山副長官。53分、内閣危機管理センター。1時36分、首相執務室。5時31分、内閣危機管理センター。6時8分、官邸で記者団にコメント発表。14分、陸上自衛隊ヘリコプターで官邸屋上ヘリポート発。寺田首相補佐官、班目春樹原子力安全委員長ら同行。7時11分、福島県大熊町の東京電力福島第一原発。19分、重要免震棟。23分、東京電力副社長の武藤栄原子力・立地本部長による説明。池田経産副大臣同席。8時4分、陸自ヘリで同原発発。29分、仙台市の陸自霞目駐屯地着。35分、陸自ヘリで同駐屯地発。宮城県沿岸部の被災地を上空視察。9時14分、同駐屯地着。17分、陸自ヘリで同駐屯地発。10時47分、官邸ヘリポート着。11時13分、海江田経産相。36分、緊急災害対策本部、原子力災害対策本部。

 【午後】0時42分、民主党の岡田幹事長、仙谷代表代行。3時、与野党党首会談。4時59分、玄葉国家戦略相。5時26分、玄葉氏出る。

[ブログ主・注 首相動静は途中段階です]

被災地、原発を視察=「津波の被害実感」―菅首相(時事通信) - goo ニュース

 菅直人首相は12日午前、東日本を襲った大地震の被災地を視察した。午前6時すぎにヘリコプターで官邸を飛び立った首相は、原子炉の冷却機能が停止した東京電力福島第1原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)に7時10分すぎに降り立ち、被害状況を確認。その後、ヘリで沿岸部を宮城県仙台市付近まで北上して、上空から被災地の様子を見て回った。10時50分ごろ官邸に戻った首相は記者団に「改めて津波の被害が大きいと実感した」と厳しい表情で語った。

 一方、政府は同日午前、官邸で緊急災害、原子力災害の両対策本部を開催。枝野幸男官房長官は緊急対策本部で「報告だけでも1000人以上の方が命を落とされたのではないかとみられるが、残念ながらそれを大幅に超える被害が生じている状況だ」と報告した。

 政府は12日午前、岩手県に平野達男内閣府副大臣、福島県に吉田泉財務政務官をそれぞれ団長とする調査団を派遣。11日に宮城県入りした東祥三内閣府副大臣(防災担当)は同県庁内に政府の現地対策本部を設置した。

 枝野長官はこの後の記者会見で、被害が生じている福島第1、第2原子力発電所について「現時点で住民に健康被害が及ぶような事態を具体的に想定する状況にはない」と述べ、冷静な行動を住民に呼び掛けた。

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 いつの日か、東北観光が、「京都→東海道新幹線→東京」と同じくらいの人気旅行コースになってほしいと思います。とくに台湾と東北は景色が似ていて面白いし、欧米の方には、「ハイテク・ニッポン」のもう一つの顔として、東北は面白いと思います。近畿の熊野山地などでも外国人の方を多く見かけますが、東北も同様の面白さがあると思います。私は東北が好きです。時間はかかりますが、必ず復興させましょう。