【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

佐藤雄平さんが不出馬を県庁で記者会見し、表明 お疲れ様でした

2014年09月04日 17時28分55秒 | 素晴らしき新生党保存会

[写真]佐藤雄平・福島県知事、2014年2月9日(日)、郡山市内、筆者(宮崎信行)撮影。

 報道によると、佐藤雄平さん(66歳)は2014年9月4日(木)午後、福島県庁で記者会見。「今年は福島の復興が形となって見えてきた。これからの復興は、新しいリーダーの下で実施していくべき」と語り、福島県知事選挙に出馬しないことを明らかにしました。

 母親の弟である渡部恒三先生の公設秘書として、衆議院秘書会長をつとめ、1998年の参院選で福島県選挙区(改選定数2)で、参議院議員に初当選。民主党・新緑風会の副会長も務めました。その後、福島県知事に転じました。再選後に、東日本大災厄(東日本大震災)に遭難し、東京電力福島第一原子力発電所が爆発するという未曽有の災厄の陣頭指揮にあたりました。先週、石原伸晃環境大臣の訪問を受けて、福島県大熊町、双葉町への、放射能汚染土の中間貯蔵施設の建設を受け入れ、安倍晋三首相に対して、汚染土の県外での最終処分の方針を首相官邸内で確認しました

 上の写真のように、2月9日(日)の郡山市内での民主党定期大会に来賓あいさつで訪れた雄平さんを見て、知事選に立候補せず、今期限りで引退するだろうと感じて、旧新生党系民主党最高首脳筋にその感想を伝えておりました。

 雄平さん、お疲れ様でした。


岡田克也さんの助言を良く守り、田村憲久さんが三つ星大臣に 厚生労働大臣退任

2014年09月04日 16時59分00秒 | 岡田克也、旅の途中

[画像]田村元・元衆議院議長の写真は、国会議員要覧(国政情報センター)1990年2月版から。

 田村憲久さんが2012年12月から務めた厚生労働大臣を、きのう2014年9月3日をもって退任しました。

 もっとも多くの時間答弁した大臣となりました。社会保障制度改革プロフラム法、難病医療法、地域における医療・介護総合法に加えて、議員立法も多く成立しました。危険ドラッグ対策では警察庁の積極的な姿勢に対して、厚労省は法律を守る姿勢をとりました。退任直前には戦後初めて国内でデング熱の発生しましたが、冷静に対応しました。ただ、旧労働省部局では、労働者派遣法案の提出と記載ミス、緊急雇用対策の補正予算をめぐる官製談合の疑いで局長ら更迭という不祥事が続きました。

 田村さんといえば野党・自民党として、3党協議体制をつくりました。震災直後の子ども手当つなぎ法では自民党を代表して議員立法の発議者になりながら、成立と同時に、「これでマニフェスト総崩れだな!」と野次を飛ばしました。社会保障と税の一体改革法でも3党協議実務者になりました。このときの第180回通常国会では、23回議事録に名前が出ています。しかし、衆議院での可決直後には、「解散!、解散!」と野次を飛ばし、実際に年末の「近いうち解散」につながりました。

 その攻撃的野党議員の田村さんが、与党としていきなり厚生労働大臣になりましたが、どの分野にも真摯に答弁する姿勢には、「マイクホールドたむたむ」との愛称もつくなど好感を持たれました。

 田村さんは言うまでもなく、自民党名門派閥、平成研究会の所属で、三重県最大の財界の名家である日本土建の一族です。また滋賀県最大のケーブルテレビ局である「ZTV」の経営一族でもあり、このブログも、ZTVのケーブルテレビサービスを通じてみてくださる方が複数おられ、その存在感を感じます。田村家は、第45回政権交代解散で、小選挙区敗北比例復活となったほかは、戦後一貫して、旧三重1区、小選挙区三重4区で連続当選をしており、田村憲久さんの先代で叔父の田村元(たむら・はじめ)元衆議院議長も経世会中間派で、政界、財界とも、三重県最大の名家といえそうです。

 そのため、政界、財界とも後発でありながら、同じ派閥の出身である、岡田克也さんには複雑な感情があったようです。社会保障と税の一体改革法案の審議では、岡田さんに対していじわるな質問を繰り返していました。3党協議入りの8日前にあたる、2012年6月7日の委員会でも、平成研究会の額賀福志郎会長に対して、防衛庁長官問責決議案を参議院で出したことや、2004年から2007年にかける年金国会で、「年金は破たんした」と主張したことなど、野党時代の民主党をなじりました。

 これに対して、答弁に立った、副総理兼社会保障制度一体改革担当大臣の岡田克也さんから次のようにたしなめられました。

 「結局、田村さんは若いですから期待しておられる有権者の方も多いと思うんですが、あなたの今の発言というのは、また与党になったときに言われてしまいますよ。だから、お互い、そこはやはり踏まえて議論すべきだということを私は申し上げているわけであります」

 とたしなめた後、

 「消えた年金などいろいろな問題もあって、国民の年金不信が高まった。もちろん、我々が、年金が破綻していると、やや言葉が過ぎたこともそれは影響していると思います。しかし、それだけではないんですね。消えた年金など、やはり国民から見たらとんでもないことが起きたわけですから、そういうことも年金不信の原因になっているということです」

 と、野党時代も含めて民主党をフォローしつつ、日本国としての年金制度の健全化に、二大政党が共通して責任を持つことを主張しました。

 一言居士(いちげんこじ)として知られた、タムゲンこと田村元さんのようにびしっと行きました。

 田村さんが大臣退任後にどのような仕事をするか分かりません。ただ、12月には消費税10%引き上げを決めるわけで、そこでもう一度、社会保障と税の3党合意に立ち戻って、消費税増税分を年金など社会保障4分野に充てることを徹底する必要があるのではないでしょうか。

 そんな田村大臣を、朝日新聞は「3つ星大臣」に選びました。当然だと考えます。田村大臣お疲れ様でした。

[国会会議録データベースから引用はじめ] 

第180常会- 衆 - 社会保障と税の一体改革に関する特別委員会- 16号
平成24年06月07日

○田村(憲)委員 まあ、こればかりやっていても仕方がないので。与党になって学んだというふうに一言言っていただければ、我々も少しは。だってそうでしょう、野党のときにはやめろ、やめろと言ったんだから。やめろ、やめろと言って問責を出したんでしょう。そのときはそうだったじゃないですか。問責を出して、やめろと言ったんですよ、皆さん。額賀さんのときでもそうですよ、やめろと言ったんですよ。
 だから、与党になって学んだというふうに言っていただければいいが、そういうごまかしの発言をされるから、我々もついついまた言いたくなっちゃうんです。
 必ずやめろという話じゃないんです。必ずやめていないというところに私は問題があると。誰一人とし辞任していないんですよ。世論調査をすると、やめるべきだというのが圧倒的ですよね。七割以上の方々がやめろと言っている。でも、やめない。それを内閣改造で、誰一人としてやめていないんですから、内閣改造でごまかして、閣内をさらしている。こういうやり方に問題があるということを私は申し上げているのです。
 これ以上この議論をしても仕方がないので、もう御答弁は要りません。
 民主党が与党になっていろいろなことを学ばれたなという意味では、確かに、与党になられて国民は不幸だという議論もありますが、私はきょうの議論も聞いていまして、ああ、大分進歩されたなと思いますのは、年金の議論が、年金がとにかく破綻する、破綻すると今まで言われてきた。我々が同じような答弁をしても、いやいや、年金は破綻しているんですと、民主党の、誰とは言いませんけれども、委員からいろいろと我々は言われ続けてきた。それを今や、民主党の委員の先生方が大臣に向かって、いや、年金は大丈夫ですよね、こうこうこうだから、安心しているから、だから若い人たちにちゃんとメッセージを送ってくださいなんというような議論になっているというのは、これは年金を考える上では非常にいい傾向になってきたなというふうには思っております。
 ただ、それだけすばらしい年金制度、もちろん悪いところは変えなきゃいけませんよ、にもかかわらず、まだ民主党の年金案というものにこだわっておられる。
 何が必要なのか。つまり、民主党の年金案はどの部分が今の年金制度と比べてすぐれていて、だから民主党の年金制度案に変えなきゃいけないんだ、それはどこなんだというのを端的にお答えいただけるとありがたいんですけれども。

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc_text.cgi?SESSION=23091&SAVED_RID=1&SRV_ID=9&DOC_ID=9025&MODE=1&DMY=27848&FRAME=3&PPOS=67#JUMP1


○岡田国務大臣 その前に、今委員が言われたことについて一言。
 結局、田村さんは若いですから期待しておられる有権者の方も多いと思うんですが、あなたの今の発言というのは、また与党になったときに言われてしまいますよ。だから、お互い、そこはやはり踏まえて議論すべきだということを私は申し上げているわけであります。
 それから、年金については、もちろん消えた年金などいろいろな問題もあって、国民の年金不信が高まった。もちろん、我々が、年金が破綻していると、やや言葉が過ぎたこともそれは影響していると思います。しかし、それだけではないんですね。消えた年金など、やはり国民から見たらとんでもないことが起きたわけですから、そういうことも年金不信の原因になっているということです。
 我々が特に問題にしたのは国民年金で、やはり、国民年金というのは、かつては自営業者の方を対象にして、その自営業者も、ある程度資産もあって、しかも定年もない、そういう中でできてきた制度だと思うんです。それが、今や加入者の多くが非正規で働く方、所得の少ない方が多数になって、果たしてこの年金制度で十分かどうか。それから、そもそも、逆に言うと入っていない方もたくさんいらっしゃる。本来は入らなければいけない、つまり、厚生年金や共済年金の対象外で、入らなきゃいけない方で入っていないと思われる方も多い。
 そういう状況をやはりきちんとしないと国民皆年金じゃなくなってしまいますので、そういったところが問題点として残されているというふうに思っております。

http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc_text.cgi?SESSION=23091&SAVED_RID=1&SRV_ID=9&DOC_ID=9025&MODE=1&DMY=27848&FRAME=3&PPOS=68#JUMP1

[引用おわり]

以上です。


安倍首相「KC130輸送機の岩国移転」を強調、やはり、ガイドラインで「武器弾薬提供」解禁の布石か

2014年09月04日 11時41分50秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]第2次安倍第1次改造内閣のねらいを記者会見する安倍晋三首相(自民党総裁)、2014年9月3日(水)、首相官邸ウェブサイトから。

 安倍首相は、きのう2014年9月3日(水)の内閣改造で、菅義偉・内閣官房長官に対して、「沖縄基地負担軽減担当大臣」の補職辞令を新しく交付しました。

 その後の記者会見で次のように語りました。

 「先月、KC-130空中給油機15機全機について、山口県岩国基地への移駐が完了しました。沖縄の負担を分かち合う決断をしてくださった岩国市民を始め、関係者の皆様に心から敬意を表する次第であります。
 今後も沖縄県外における努力を十二分に行い、目に見える負担軽減を行ってまいります。そのために、新たに、沖縄基地負担軽減担当大臣を設けることとしました。菅官房長官には、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、これまで以上に全力で当たってもらいたいと考えています

 米海兵隊の普天間基地にあった、KC―130空中給油機部隊15機全機を岩国基地に移したことを強調。これは、菅沖縄負担軽減担当相も記者会見で強調しました。

 この「KC-130」というのは、空中給油機能を除けば、C-130輸送機です。だから、「空中給油機」といっても、「C-130輸送機」 であることには変わりないようです。

 ということは、今月末を予定している、日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインで、現行の「武器弾薬を除く」を削除し、「周辺事態における後方支援地域での武器弾薬の補給」が可能になる布石ではないでしょうか。現在も油や食料は補給できます。周辺事態とは地理的概念ではなくことの性質によりますから、例えば、イラク、アフガニスタンに向かう、アメリカ海兵隊のKC-130輸送機に、武器弾薬も無償で補給できるようになるのではないでしょうか。そうなると、離島である普天間基地ではなく、本州にある岩国基地がその最大の拠点になるでしょう。防衛産業の、神奈川の工場からも、愛知の工場からも、高速道路をトラックで運べば岩国に行けます。船でも行けます。付加価値の高い武器なら、羽田空港から岩国錦帯橋空港まで運ぶこともできます。そこで、周辺事態が長期化した場合には、武器弾薬を際限なく日本の税金から無償提供し続けることになりかねません。

 岩国は首相の実弟、岸信夫さんの選挙区、三沢基地は江渡聡徳・防衛大臣の選挙区、厚木基地は甘利明・経済再生相の選挙区です。

 もちろん、補給基地を本州の岩国に移転すれば、普天間基地の存在価値はなくなるので、一部訓練などを辺野古新基地に移して、普天間基地は廃止になるでしょう。沖縄本島において、普天間が基地でなくなり、地主の自由になれば、すさまじい再開発特区になり、道路を広げて、産業を誘致し、住みやすい住宅をたくさんつくれ、大バブルになるでしょう。正直、私も移住を考えちゃうかもしれません。

 しかし、岩国で武器弾薬を補給できるようになれば、戦争というのは長期化させたい悪い奴がいるので国費負担増は年間1兆円になっておかしくありません。それで儲かるのは、三菱重工、川重、IHI、日産自動車、石川製作所などごく一部の会社です。戦車を提供するにしても、しょせんは1000社、日本全国でたったの1000社が潤うだけです。残り1億人の所得税・法人税負担はとてもきついものになります。

 普天間基地の完全除去にめどが立つと同時に、岩国から際限なく武器弾薬が提供される可能性が高まりつつあります。

 まずは、今月末の「ガイドラインの中間報告」なるものが、いったいどういうものなのか。

 政府は、臨時国会を前倒し召集して、議事録に残る場で答弁すべきです。

関連エントリー

2014年9月2日(◎海江田内閣での日米ガイドラインやり直し「マニフェストに入れるのは難しい」集団的自衛権既成事実化) 

2014年8月25日付(岸田外相留任へ、の報道、2014年9月20日前後のガイドライン中間報告で「武器弾薬の提供」解禁布石か) 

2014年8月20日付(◎米軍に「武器と弾薬」日米同盟ガイドライン再改定、自公閣議決定道開く 第188通常国会で周辺事態法改正) 

2014年7月1日付(◎第2次安倍自公内閣、集団的自衛権の行使可能な憲法解釈を閣議決定 自衛隊法改正案など提出へ【追記有】


太田昭宏・国土交通大臣がカジノ法案(IR法案)答弁担当に 求められる「教育相当の良心」

2014年09月04日 08時26分54秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]教育相当の良心が問われる、太田昭宏国土交通大臣、宮城県・岩沼市、2013年6月30日付公明新聞ニュース。

第2次安倍第1次改造内閣で再任された、太田昭宏国土交通大臣は、安倍首相から「カジノ法案の答弁担当になってほしい」と指示されたことを、同日夜の国交省内での記者会見で明らかにしました。夜が明けたきょう、2014年9月4日付の新聞が伝えました。

 カジノ法案は、IR法案(あいあーる・ほうあん)と呼ばれており、衆議院内閣委員会で継続審査(閉会中審査)になっています。昨年末の第185回臨時国会で、超党派で一本化した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(185衆法29号)として、細田博之君外9名が提出。ことしの第186通常国会会期末の2014年6月18日(水)には、衆議院内閣委員会で趣旨説明がなされ、閉会中審査の手続きがとられています。秋の臨時国会で審議し、可決、成立する公算が高まっています。

 きょうの朝日新聞の連載小説、夏目漱石の「心」(こころ)の中に、「私にも教育相当の良心がありますから」という一文がありました。大学進学率が低かった時代には、教育の高さが良心のありやなしやにつながったのでしょうか。大学進学率が向上して、行政や金融機関が、庶民を縛りつけ、搾り取るための手先として禄を食む(はむ)、教育の高い人に良心はありません。漱石は続けます。「私の傍へ来て、御前は卑怯だと一言ささやいてくれるものがあったなら、私はその瞬間に、はっと我に立ち返ったかもしれません」。

 太田さんが京都大学大学院卒の高い教育に相当する良心があるかどうかといえば、創価学会(発足時は創価教育学会)の男子部長だったことからうかがえるかもしれません。
 IR法案を読むと、カジノ委員会は内閣府外局にする、とあり、国土交通省の文字はどこにもありません。ただ、実体がよく分からない「内閣府」よりも、人の生命財産を預かる、海上保安庁、気象庁がある国土交通省がしっかりとグリップした方がいいのかもしれません。
 きょうの「心」には、次のような言葉があります。

 「君が止めたければ、止めてもいいが、ただ口の先で止めたって仕方があるまい。君の心でそれを止めるだけの覚悟がなければ」