【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

地方創生関連「まち・ひと・しごと創生法案」「地域再生法改正法案」を第187回臨時国会召集日に提出

2014年09月29日 23時59分59秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

(このエントリーの初投稿日時は2014年9月29日(月)午後9時)

 政府は平成26年2014年9月29日(月)に臨時閣議を開き、

 「まち・ひと・しごと創生法案」(187閣法1号

 「地域再生法改正法案」(187閣法2号

 を決定し、夕刻、衆議院に提出しました。

 石破茂・地方創生担当大臣が答弁します。

 法律案全文や概要(ポンチ絵)などの情報はこちら(http://www.cas.go.jp/jp/houan/187.html)から取り出せます。

 安倍首相は、集団的自衛権を行使する安全保障法制の再整備法案を来春に先送りすることが明確になった、大型連休以降、「秋の臨時国会は地方創生国会にする」と位置付けてきました。ちなみに、昨年の秋の臨時国会は、安倍さんは「産業競争力強化国会にする」と構図を設定し、召集日に「産業競争力強化法(案)」を185閣法1号として提出し成立しましたが、実際には「特定秘密保護国会」となりました。産業競争力強化法も三菱・東芝の火力発電機製造会社の合併(企業の新陳代謝)以降あまり実績は報道で聞かないように感じます。

 地方創生については、自民党地域組織や公明党に配慮して、来春の第18回統一地方選(2015年4月12日、26日)のために看板を掲げて、そこから、石破大臣らが「勧進帳」方式で、メニューを用意しているように感じます。

 まち・ひと・しごと創生法案は、閣議(与党の大臣で構成)が「まち・ひと・しごと総合戦略」を閣議決定するよう義務付けましたが、これにもとづく、県、基礎自治体の「戦略」は策定し、速やかに公表するよう「努めるものとする」と書いてあり、努力目標にとどまっています。事実上、「つくらなくていい」という意味合いが込められている可能性があります。そもそも、この法律案が、私が過去読んだなかで、もっともスカスカで、ひらがな比率が高いこと自体は否定しませんが、こんなスカスカな法律案を、どうやって審議するのだろうと気をもんでしまいます。

 地域再生法改正法案は、地域再生計画の認定をしやすくするようですが、私には、銀行のビジネスチャンスがそこそこ拡大するだけのものに過ぎないように感じます。2014年5月15日(木)に発足した第31次地方制度調査会の会長を東京三菱UFJ銀行の前頭取、畔柳信雄さんがつとめていること、昨年4月4日(木)からの黒田日銀の異次元の金融緩和で、こんや、日銀当座預金勘定がなんと160兆円以上で夜を越すことなどから、銀行の自治体融資を加速するだけにも感じます。もちろん、「手間をかける」ことが地方公務員の仕事とも言えますが、将来の利払いは、地域社会に重苦しさをもたらすことを肝に銘じてほしい。さらに、今度の法案から、地域再生計画を策定した自治体に、国家公務員が派遣されることが、法律のなかに書き込まれる、というすごい内容になっています。これは、国から自治体への天下りです。20代の優秀な霞が関キャリアは、自治体に出向するチャンスですが、30代なら、民主党総支部長に天下る方が良い人生を歩めるでしょう。いずれにせよ、もっと選択肢の多い公務員生活を送っていただきたい。

 まさに勧進帳答弁を、石破弁慶、安倍義経でやることになりますが、あまりにも役者が整っていなすぎる。 

 与党は、衆議院、参議院に、「地方創生特別委員会」をこれから設けて、スピード審議を図る方針。

 野党・民主党はたんたんと審議して、第47回48回総選挙に向けて、敵の崩れを待つ、という戦略もありそうです。

 関連エントリーは次の通り。

 2014年7月25日付エントリー(安倍首相、「地域再生法改正案」を第187臨時国会提出を閣僚に指示 民主党政権全否定ではあるまいか) 


 2014年8月6日付エントリー(山口公明党「統一地方選対策国会を想定」?第187回秋の臨時国会「地方創生法案でアベノミクス津々浦々」


安倍首相が第187臨時国会で所信表明演説 公明党が維新と次世代に挟まれて没個性化進む

2014年09月29日 20時47分10秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

【衆議院本会議 2014年9月29日(月)】

 再開後から、一般傍聴席で傍聴しました。

 きょうから、院の構成が変わりました。もう最後にしてほしいけれども、最後になるかな。

 議長から見て右、一般傍聴席から見て左に次のような会派順になりました。

 自民党、民主党、維新の党、公明党、次世代の党、みんなの党、日本共産党、生活の党、社民党。

 維新→公明←次世代

 と、公明党が挟まれました。

 次世代の方が人数が少ないとはいえ、中山成彬さん、藤井孝男さんら著名議員が多い。

 維新は橋下チルドレンが多く、公明党も意外と一期生が多い現状ですので、公明党が維新と次世代に挟まれて、与党なのか野党なのか、保守なのか中道なのか、まったく分からないごった煮状態に思えました。別段各党がどうなるということでなく、私は22年来、イデオロギーではなく、政権が腐ったら、政権政党が交代する二大政党制をただひたすらに、たとえ人を傷つけてでも求めつづけてきた男なので、このごった煮は良かったように感じます。まあ、選挙に強いかどうかは、あまりイデオロギーではないかな。

 全閣僚がひな壇にあがる本会議は意外と少なく、首相の演説、それに対する代表質問、財務大臣の財政演説(予算案審議入り)と予算案の採決、内閣不信任案の審議など、年間を通して、実は数回しかありません。

 ひな壇は、

 一般傍聴席向かって左から次のような席順になっています(敬称略)。

 松島→山谷→江渡→小渕→高市→岸田→菅→甘利→麻生→総理→演壇→石破→太田→山口→塩崎→下村→望月→西川→竹下→有村

 という順になっています。

 下世話ですが、女性閣僚同士が会話するかな、と思ったのですが、松島法相と山谷国家公安委員長が話していました。間に江渡大臣をはさんで、小渕経産相も、なにか事務的な会話を呼びかけたようでした。松島さんと山谷さんは党内の派閥・部会は知りませんが、衆参と別れているので、かえって同僚として話しやすいのかもしれません。もちろん、首相の演説が始まると静かにしていました。ただ、石破大臣と太田大臣が何か原稿を指さして笑っていて、それを隣の8期生ながら初入閣の山口俊一大臣に示すと、少しどう対応してよいか分からないような風情でした。

 総理の所信表明演説は、最初はわずか18分間のときもありましたが、今回は25分間ありました。ただ、以前はすっきりとしていて中身が少なかったのですが、きょうは、明らかに各府省から集めた原稿をホチキスで止めた短冊方式だったように感じます。たいていは、事務秘書官のうち2人ほどが全体を書きなおすものなのですが、先週は国連総会出席のためニューヨークに滞在していました。留守番役の事務秘書官はたいてい警察庁出身で、あまり警察庁出身秘書官がスピーチライターになった内閣は、私が知る限りはありません。たいていは、経済産業省と財務省から官邸に出向している事務秘書官が書く内閣が多いんだろうと思いますが、彼らもニューヨークに行っていて時間が少なかったのかもしれません。

 演説の初めで、平成26年2月豪雪のときに、菅義偉官房長官がこだわった、放置されたクルマの移動について、総理は「災害対策基本法を改正します」と断言。菅さんの存在の大きさを感じさせました。しかし、その後は、あまり法案提出に踏み込んだ内容はありませんでした。

 むらおこし、地域おこしの代表例をさまざまに紹介するので、地名、人名がほとんど書きとれませんでしたが、「あべとしろうさん」のエピソードでは、「米価が下がっているぞ」との大きな野次が飛びました。先の通常国会で民主党提出の農業者戸別所得補償法案が1か月以上の審議のうえ、ダメ押しの附則修正まで入れて完全否決されました。民主党の海江田万里代表は否決直後から、引き続きあきらめないで、コメの直接支払を続けると宣言しており、今国会の議題の一つになります。

 集団的自衛権に関する法律案がでないため、審議の時間がどれだけあるか分かりません。総理は「米国などの基本的考えを共有する国々といかなる場合も国民の生命と財産を守る切れ目のない安全保障法制の整備に向けた準備を進めてまいります」と演説しました。

 総理は非常に挑発的ですが、きょうの演説では、民主党を暗に批判して、「かつて、裏付けのない「言葉」だけの政治が、沖縄の皆さんを翻弄しました。学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある、普天間飛行場の現実は、あの三年三か月間、一ミリたりとも変わることはありませんでした。こんな無責任な政治を、二度と繰り返してはなりません」と語りました。

 沖縄県知事選が近いこともあるでしょうが、民主党としてはぐうの音も出ない話で、黙り込むしかないでしょう。

 それはさておき、公明党には悪いけれども、自民党、民主党、維新、公明、次世代という議員の並びは誰が誰だか分からないので、小選挙区の二大政党制に少し進んだように感じます。別エントリー(

参議院は3大政党時代に 委員長は自民党、公明党、民主党のみ みんなの党は委員長ポスト失う

)で書いた通り、参議院は、みんなの党が委員長ポスト(第二種常任1、特別1)を失い、委員長会派は、自公と民主党の3会派だけになりました。

[平成26年9月29日 第百八十七回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説(首相官邸ウェブサイト) 全文引用はじめ]

一 災害に強い国づくり

 先般の「平成二十六年八月豪雨」により、広島での大規模な土砂災害を始め、全国各地で甚大な被害が発生いたしました。

 亡くなられた方々の御冥福を謹んでお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に、心からお見舞いを申し上げます。一日も早い生活再建に、全力を尽くしてまいります。

 土砂災害警戒区域にまだ指定されていない全国の危険箇所について徹底的な調査を行い、併せて、警戒区域の指定や国民への情報提供が、より万全な体制で行えるよう、制度の見直しを進めてまいります。

 今年の大雪災害では、放置された車両などによって、救助活動に支障を来しました。災害時にそうした車両を移動できるよう、災害対策基本法を改正いたします。インフラの整備だけではなく、避難計画の作成や周知、訓練の実施など、国土強靱(きょうじん)化を、更に推し進めてまいります。

 災害対応には、与党も野党もありません。国民の暮らしを守るため、災害に強い国づくりを、皆さん、共に進めていこうではありませんか。

二 復興の加速化

 福島は、今、実りの秋を迎えています。先日訪れた広野町(ひろのまち)では、復興を成し遂げた水田に、黄金色の稲穂が輝いていました。

 来月一日には、田村市に続き、川内村(かわうちむら)への避難指示を解除します。故郷(ふるさと)に帰還する皆さんが、安心できる暮らしを取り戻すことができるよう、健康や仕事などの不安を一つひとつ解消してまいります。

 中間貯蔵施設の建設も、福島の皆さんの御理解を得て、大きな一歩を踏み出すことができました。これを機に、除染を更に加速し、一日も早い福島の再生を成し遂げてまいります。

 岩手と宮城における高台移転や災害公営住宅の建設は、八割を超える事業が既に始まっています。

 被災者の皆さんの「心」の復興にも、大きく力を入れてまいります。仮設住宅への保健師の巡回訪問、子供たちが安心して遊べる居場所づくりなど、被災者の方々の心に寄り添いながら、きめ細かく、丁寧な取組を進めます。

 七月に宮城の東松島で出会った安部俊郎(としろう)さんは、地域の人たちと共に、地域に根づいた農業を進めています。農地の集積、多角化、六次産業化。それによって、農業者の所得を増やし、地域のにぎわいを創出する。私たちが目指す「攻めの農業」の姿が、ここにあります。震災で壊滅的な被害を受けた大地から、最先端の農業が花開こうとしています。

 今後も、暮らしを支える「生業(なりわい)」の復興を、力強く支援してまいります。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックは、何としても「復興五輪」としたい。日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけとしなければなりません。開催に向けた準備を本格化します。六年後には、見事に復興を成し遂げた東北の街並みを背に、三陸海岸から仙台湾を通り、福島の浜通りへと、聖火ランナーが走る姿を、皆さん、世界に向けて発信しようではありませんか。

三 地方創生

(観光立国)
 「桃源郷のような別世界」

 東洋文化の研究家であるアレックス・カーさんは、徳島の祖谷(いや)に広がる日本の原風景をこう表現しました。鳴門のうず潮など、風光明媚(ふうこうめいび)な徳島県では、今年の前半、外国人宿泊者が、前の年から四割増えています。

 外国人観光客は半年間で六百万人を超え、過去最高のペースです。今年四月には、旅行収支が、大阪万博以来、四十四年ぶりの黒字となりました。

 更なる高みを目指し、ビザの緩和、免税店の拡大などに戦略的に取り組んでまいります。外国語を駆使しながら名所旧跡の案内ができる人材を、自治体の努力で育成できるよう、特区制度を活用して規制を緩和します。

 昨年度、沖縄を訪れた外国人観光客は過去最高となりました。「アジアの架け橋」たる沖縄の振興に全力で取り組み、この勢いを更に発展させてまいります。

 それぞれの地域が、豊かな自然、文化や歴史など、特色ある観光資源を活用できるよう、応援してまいります。

(個性を活かす)
 鳥取・大山(だいせん)の水の恵みを活かした地ビールは、全国にリピーターを広げ、売り上げを伸ばしています。

 「ふるさと納税が、ご縁となった」

 ふるさと納税してくれた人たちに、地元が誇る名産品をプレゼントする。自治体の工夫を凝らした努力が、「ふるさと名物」を全国の人に知ってもらう大きなきっかけとなりました。

 「ふるさと名物」を、全国区の人気商品へと押し上げる支援を、更に強化いたします。地域ならではの資源を活かした、新たな「ふるさと名物」の商品化、販路開拓の努力を後押ししてまいります。

 「ないものはない」

 隠岐の海に浮かぶ島根県海士町(あまちょう)では、この言葉がロゴマークになっています。都会のような便利さは無い。しかし、海士町(あまちょう)の未来のために大事なものは、全てここにある、というメッセージです。「この島にしかない」ものを活かすことで、大きな成功を収めています。

 大きな都市を真似るのではなく、その個性を最大限に活かしていく。発想の転換が必要です。それぞれの町が、「本物はここにしかない」という気概を持てば、景色は一変するに違いありません。

(地方創生国会)
 島のさざえカレーを、年間二万食も売れる商品へと変えたのは、島にやってきた若者です。若者たちのアイデアが、次々とヒット商品につながり、人口二千四百人ほどの島には、十年間で四百人を超える若者たちがIターンでやってきています。

 やれば、できる。

 人口減少や超高齢化など、地方が直面する構造的な課題は深刻です。しかし、若者が、将来に夢や希望を抱き、その場所でチャレンジしたいと願う。そうした「若者」こそが、危機に歯止めをかける鍵であると、私は確信しています。

 若者にとって魅力ある、町づくり、人づくり、仕事づくりを進めます。「まち・ひと・しごと創生本部」を創設し、政府として、これまでとは次元の異なる大胆な政策を取りまとめ、実行してまいります。

 若者がチャレンジしやすい環境を整えます。一度失敗すると全てを失う、「個人保証」偏重の慣行を断ち切ります。政策金融公庫と商工中金だけで、この半年間で、二万件を超える融資が個人保証なしで実行されています。更に政府調達では、創業から十年未満の企業を優先するための枠組みを新たに創り、新事業にチャレンジする皆さんの販路拡大を、政府一丸となって応援していきます。

 伝統ある故郷(ふるさと)を守り、美しい日本を支えているのは、中山間地や離島を始め、地方にお住まいの皆さんです。そうした故郷(ふるさと)を、消滅させてはならない。もはや時間の猶予はありません。

 この国会に求められているのは、若者が将来に夢や希望を持てる地方の創生に向けて、力強いスタートを切ることです。皆さん、一緒にやろうではありませんか。

四 地球儀を俯瞰する外交

 今が旬のサンマは、ベトナムではトマト煮が大人気。北海道の根室から輸出されています。

 地元の漁協や商工会議所の皆さんによる一体となった売り込みが、「根室のサンマ」を世界ブランドへと発展させました。「北海道の根室」から「日本の根室」へ。更には「世界の根室」へと。地方も、オープンな世界に目を向けるべき時です。

 世界に、自由で、大きな経済圏を創り上げる。引き続き、TPP交渉や、EU、東アジアとのEPA交渉など、経済連携を戦略的に推し進めてまいります。豪州とのEPAについて、早期の発効を実現し、経済的な絆を一層深めてまいります。

 「地域と世界の平和と安定に貢献する日本の取組を支持する。」

 就任後、主要国で最初に、日本を訪問してくださった、インドのモディ首相から、我が国が掲げる「積極的平和主義」について、強い支持を得ることができました。

 我が国は、米国を始め、自由や民主主義、人権、法の支配といった基本的価値を共有する国々と手を携えながら、世界の平和と安定にこれまで以上に貢献してまいります。

 その上で、いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしは守り抜く。その決意の下、切れ目のない安全保障法制の整備に向けた準備を進めてまいります。

 在日米軍再編については、現行の日米合意に従い、抑止力を維持しつつ、基地負担の軽減に向けて、全力で取り組みます。

 かつて、裏付けのない「言葉」だけの政治が、沖縄の皆さんを翻弄しました。学校や住宅に囲まれ、市街地の真ん中にある、普天間飛行場の現実は、あの三年三か月間、一ミリたりとも変わることはありませんでした。こんな無責任な政治を、二度と繰り返してはなりません。

 安倍内閣は、「言葉」ではなく、実際の「行動」で、負担軽減に取り組んでまいります。先月、普天間配備のKC―一三〇空中給油機十五機全機について、山口県岩国基地への移駐が完了しました。今後も、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、沖縄県外における努力を十二分に行ってまいります。

 さて、総理就任以来、四十九か国を訪問し、延べ二百回以上の首脳会談を行いました。「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を、更に積極的に展開し、日本の立場を国際的に発信してまいります。

 基本的な価値や利益を共有し、最も重要な隣国である、韓国との関係改善に向け、一歩一歩努力を重ねてまいります。

 日本と中国は、切っても切れない関係であり、中国の平和的な発展は、我が国にとって大きなチャンスです。地域の平和と繁栄に大きな責任を持つ、日中両国が、安定的な友好関係を築いていくために、首脳会談を早期に実現し、対話を通じて「戦略的互恵関係」を更に発展させていきたいと考えます。

 ウクライナの安定確保のため、G7を始め国際社会と一致団結し、我が国としてできる限りの支援を行います。ロシアには、責任ある国家として、国際社会の諸問題に建設的に関与してもらうよう、対話を通じて働きかけてまいります。ロシアとの平和条約締結に向けて、粘り強く交渉を続けてまいります。

 北朝鮮が、拉致被害者を含む全ての日本人に関する包括的、全面的調査を開始しました。全ての拉致被害者の御家族が、御自身の手で肉親を抱きしめるその日まで、私たちの使命は終わりません。今回の調査が、全ての拉致被害者の帰国という具体的な成果につながっていくよう、「対話と圧力」、「行動対行動」の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。

五 成長戦略の実行

(女性が輝く社会)
 先週ニューヨークで、ヒラリー・クリントン前国務長官と再会を果たしました。

 「前進あるのみ!」

 「女性が輝く社会」を目指す、安倍内閣の挑戦に、昨年、ヒラリーさんが、力強いエールを送ってくれました。

 日本から、世界を変えていく。今月、日本で初めての、女性をテーマとした国際会議を開催し、世界から、活躍している女性の皆さんにお集まりいただきました。日本社会が本当に変わるのか。今や、世界が注目しています。

 「待機児童ゼロ」は、確実に前進しています。この目標を掲げて以来二年間、従来の二倍のスピードで、保育の受け皿の整備が進んでいます。小学校の教室も一層活用して、放課後子ども総合プランを更に加速し、いわゆる「小一のカベ」も突き破ります。

 子育ても、一つのキャリアです。保育サービスに携わる「子育て支援員」という新しい制度を設け、家庭に専念してきた皆さんも、その経験を活かすことができる社会づくりを進めます。

 真に変革すべきは、社会の意識そのものです。上場企業では、女性役員の数について情報公開を義務付けます。国、地方、企業などが一体となって、女性が活躍しやすい社会を目指します。

 先日訪問した大阪の中小企業では、女性ならではのきめ細かな営業活動が、海外展開のチャンスを広げています。女性の活躍は、社会の閉塞感を打ち破る大きな原動力となる。その認識を共有し、国民運動を展開してまいります。

(岩盤規制改革)
 原子力規制委員会により求められる安全性が確認された原発は、その科学的・技術的な判断を尊重し再稼働を進めます。立地自治体を始め関係者の理解を得るよう、丁寧な説明、避難計画の充実支援などに取り組みます。徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入により、できる限り原発依存度を低減させてまいります。

 二酸化炭素を排出しない、未来のエネルギー。水素の活用を阻んできた、様々な省庁にまたがるがんじがらめの規制を、昨年、一挙に改革しました。

 「規制緩和のおかげです。」

水素ステーションがいよいよ商業化され、福岡の北九州を始め全国各地で、夢だった水素社会が、現実に幕を開けようとしています。日本の自動車メーカーは、世界に先駆けて、燃料電池自動車の販売に踏み切りました。

 民間のダイナミックなイノベーションの中から、多様性あふれる新たなビジネスが生まれる。大胆な規制改革なくして、成長戦略の成功はありません。農業・雇用・医療・エネルギーなど、岩盤のように固い規制に、これからも果敢に挑戦してまいります。

 その突破口が、国家戦略特区です。今月、本格スタートしたばかりですが、更に改革メニューを充実します。創業や家事支援に携わる、能力あふれる外国人の皆さんに、日本で活躍してもらえる環境を整備します。公立学校の運営を民間に開放し、グローバル人材の育成や、個性に応じた教育など、多様な価値に対応した公教育を可能にしてまいります。

 安倍内閣の規制改革に、終わりはありません。

 この二年間で、あらゆる岩盤規制を打ち抜いていく。その決意を新たに、次の国会も、更にその次も、今後、国会が開かれるたびに、特区制度の更なる拡充を、矢継ぎ早に提案させていただきたいと考えております。

(全国津々浦々に届ける)
 内閣発足から六百日余り。

 有効求人倍率は、二十二年ぶりの高水準となり、就業地別では、三十五の都府県で、仕事の数が求職者の数を上回っています。


 この春、多くの企業で、賃金がアップしました。連合の調査で、平均二%を超える賃上げは過去十五年間で最高です。中小企業・小規模事業者でも、一万社余りの調査において、六十五%で賃上げが実施されています。

 頑張れば、報われる。日本は、その自信を取り戻そうとしています。

 しかし、その効果は、まだ日本の隅々にまで行き渡っているとは言えません。消費税率引上げや、燃料価格の高騰、この夏の天候不順などによる景気への影響にも、慎重に目配りしていくことが必要です。

 私たちの改革は、いまだ道半ばです。社会保障改革、教育の再生、行政の徹底的な効率化など、各般の改革を、新内閣の総力を挙げて、更に前に進めてまいります。

 成長戦略を確実に実行し、経済再生と財政再建を両立させながら、「経済の好循環」を確かなものとする。そして、景気回復の実感を、全国津々浦々にまで届けることが、安倍内閣の大きな使命であります。

 引き続き、デフレ脱却を目指し、「経済最優先」で政権運営に当たっていく決意であります。

六 おわりに

 「天は、なぜ、自分を、すり鉢のような谷間に生まれさせたのだ?」

 三河の稲橋村(いなはしむら)に生まれた、明治時代の農業指導者、古橋源六郎暉皃(てるのり)は、貧しい村に生まれた境遇を、こう嘆いていたと言います。しかし、ある時、峠の上から、周囲の山々や平野を見渡しながら、一つの確信に至りました。

 「天は、水郷には魚や塩、平野には穀物や野菜、山村にはたくさんの樹木を、それぞれ与えているのだ。」

 そう確信した彼は、植林、養蚕、茶の栽培など、土地に合った産業を新たに興し、稲橋村(いなはしむら)を豊かな村へと発展させることに成功しました。

 今、「日本はもう成長できない」、「人口減少は避けられない」といった悲観的な意見があります。

 しかし、「地方」の豊かな個性を活かす。あらゆる「女性」に活躍の舞台を用意する。日本の中に眠る、ありとあらゆる可能性を開花させることで、まだまだ成長できる。日本の未来は、今、何を為(な)すか、にかかっています。

 悲観して立ち止まるのではなく、可能性を信じて、前に進もうではありませんか。

 厳しい現実に立ちすくむのではなく、輝ける未来を目指して、皆さん、共に、立ち向かおうではありませんか。

 御清聴ありがとうございました。

[全文引用おわり] 


政府、労働者派遣法改正法案を再提出 今国会での成立不可避か 1文字直して施行日「来年4月」はそのまま

2014年09月29日 20時02分39秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

 驚きました。

 政府は、第187秋の臨時国会召集にあたって、月曜日ながら臨時閣議を開き、3本の政府提出法律案(閣法)を決定しました。

 前会(第186回通常国会)で条文上のミスがあった労働者派遣法改正法案(第186閣法56号)について、条文のミスがあった1文字を修正したうえで、来年の「平成27年4月から施行」は変えずに、合計1文字変えただけの法律案を衆議院に提出しました。

 議案番号は、第187閣法おそらく1号になる見通し。

【追記 2014年9月30日午後1時20分】

 議案番号は、第187閣法3号になりました。

【追記おわり】

  法律案の全文は次のページで見られます。

 厚生労働省第187臨時国会提出法案のウェブサイト

 この日の衆参両院の本会議で、衆議院厚生労働委員長には上川陽子委員長(元国務大臣)、参議院厚生労働委員長には丸川珠代委員長(元厚生労働政務官)が選出されています。ともに、ヤジ将軍だった丸川さんも含めて、2人とも、そつのない議会運営で定評があります。

 対する民主党は、衆議院側が山井和則筆頭理事、参議院側が津田弥太郎筆頭理事と、異例の続投となりました。

 今国会最大の対決法案がいきなり召集日に提出されました。

 この法律案は、「生涯ハケンで一生搾取」以外に、派遣事業者の中でも、大企業が、地域の中小業者をかなり自然の流れで、M&Aしていくであろう規制強化も含まれており、その派遣業者内のパワーバランスなどが、早期の提出につながった可能性もあります。

 参議院委員会では、継続審査閣法が残っていますが、さほど時間がかかるものでもなく、今国会中の成立は極めて可能性が高い状況になってきました。

 これは成立して、来年4月から施行してしまいそうです。

 これはどうしたらいいか。例えば、「均等待遇」の法案を通さなければ即効性はありません。しかしそれは無理です。かなり長期戦で、勉強をしていかないといけないです。即戦力はいないのか。これは社民党の福島みずほ参議院議員が弁護士なので、ここで社民党に頼る事態になるかもしれません。また、労働法というのは、実は「民法」ですから、弁護士の参戦を期待したいところです。なんとか、長期戦をしていきましょう。第187臨時国会の最大の争点がいきなり浮上しました。

 関連エントリー
「労働者派遣法改正案」が第186通常国会で廃案 民主党、「生涯ハケンで一生搾取」の奴隷化阻止


◎自民党政府、労働者派遣法改正案を提出、生涯派遣で一生搾取の「リンカーン前米国」化の奴隷法案を許すな




第187回臨時国会は、2014年(平成26年)9月29日(月)から11月30日(日)までの63日間

2014年09月29日 19時34分13秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

(このエントリーの初投稿日時は、2014年9月29日午後12時半で、その後、特別委員長人事の情報を補って更新)

【衆議院本会議 2014年9月29日(月)】

 第187回臨時会が召集され、伊吹文明衆議院議長は、向大野新治事務総長をしたがえて、正午、本会議を開きました。

 会期について議長が発案し、

 第187回秋の臨時国会の当初会期は、

 2014年(平成26年)9月29日(月)から11月30日(日)までの63日間とする

 ことが全会一致の「異議無し」で可決されました。全会一致となったところに、安定多数を抱える与党・自民党が野党にていねいに配慮している形跡がうかがえました。

 続いて、常任委員長が選挙されました。

 ここで、議事進行係として、副大臣になった前会までの議員に代わり、自民党の橘慶一郎さんが動議を出しました。議長がすべての委員長を指名しました。

 内閣委員長は井上信治さん(自民党)

 総務委員長に桝屋敬悟さん(公明党)

 法務委員長に奥野信亮さん(自民党)

 外務委員長に土屋品子さん(自民党)

 財務金融委員長に古川禎久さん(自民党)

 文部科学委員長に西川京子さん(自民党)

 厚生労働委員長に上川陽子さん(自民党)

 農林水産委員長に江藤拓さん(自民党)

 経済産業委員長に江田康幸さん(公明党)

 国土交通委員長に今村雅弘さん(自民党)

 環境委員長に北川知克さん(自民党)

 安全保障委員長に北村誠吾さん(自民党)

 国家基本政策委員長に宮地和明さん(自民党)

 予算委員長に大島理森さん(自民党)

 決算行政監視委員長に石関貴史さん(維新の党)

 なお、逢沢一郎・議院運営委員長(自民党)と、

 高木義明・懲罰委員長(民主党)は続投しました。

 顔ぶれからすると、閣僚経験者が厚労委員長と予算委員長の2人しかいませんので、自民党政権における「人材の分厚い中間層」を感じることができます。なんとか、内閣改造の不満を自民党執行部は抑え込めることになるのでしょうか。唯一の対決法案として労働者派遣法改正案の提出が予定されていますが、公文書などを通じて、与野党のていねいな国会審査の実績がある、上川陽子さんの厚労委員長就任で、野党が「自民党を悪者」に仕立てるのは難しくなったかもしれません。

 特別委員会は、次の8つが設置されました。

【青少年問題特別委と海賊・テロ特別委は廃止のもよう】

 前会まで設置された青少年問題特別委員会と海賊テロ特別委(海賊行為への対処ならびに国際テロリズムの防止およびわが国の協力支援活動などに関する特別委員会)の2つの特別委員会は設置されず、廃止されたものとみられます。

 このところ、会期末の委員会で突然全会一致の決議を採択したり、閉会中に視察をしたりしていましたが廃止となりました。特別委員会を担当する衆議院事務局の部署は同じところなので、必ずしも職員について何か影響があるわけではないので、もっと会期ごとに柔軟に設置していいように感じます。それでいうと、逆に災害対策特別委員会は常任委員会格上げという考え方もあり得そうです。

【特別委員長人事】

 設置された8つの委員会と委員長互選人事は次の通り。

 災害対策特別委員長に梶山弘志さん(自民党)

 倫選特(政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員長)に山本拓さん(自民党)

 沖縄および北方問題に関する特別委員長は松原仁さん(民主党)

 北朝鮮による拉致問題に関する特別委員長は平沢勝栄さん(自民党)

 消費者問題に関する特別委員長は鴨下一郎さん(自民党)

 科学技術およびイノベーション特別委員長は渡辺博道さん(自民党)

 東日本大震災復興特別委員長は伊藤信太郎さん(自民党)

 原子力問題調査特別委員長には吉野正芳さん(自民党)が就任し、福島選出議員として異例の長い就任あいさつをしましたが大きな拍手を浴びました。

 きょうは会議がありませんでしたが、

 憲法審査会長は、保利耕輔さん(自民党)が続投、

 政治倫理審査会長は、村上誠一郎さん(自民党)が続投。

 なお、自民党の委員長で閣僚経験者は3人だけなのに、民主党は2人とも閣僚経験者ということになりました。今度の二大政党のキャリアパスとしては、委員長から議長というコースもあっていいかもしれません。現在衆議院は正副議長がともに閣僚経験者という珍しい状況ですが、参議院は逆に正副議長も議運委員長も閣僚未経験者となっています。  

 国会法第11条・第13条により、会期の議決が仮に衆参不一致となった場合は、衆議院の議決が自動的に国会の議決となることになっています。衆参両院の議決が必要な議案で、不一致の場合に、両院協議会を開かずに、即時に衆議院の議決が国会の議決となるのは、会期の件のみです。こういったことは、浅野一郎・河野久編著『新・国会事典』(有斐閣)が、類書を圧倒しています。6月に第3版も出たようですので、かなり高価ですが、国会ウォッチャーは座右に備えることをおすすめします。

 安倍晋三首相は事前にこの国会を「地方創生国会」と名付けていますが、どのような臨時国会になるかは分かりません。けさの日経新聞では、芹川洋一論説委員長が「消化試合」と決めつけています。たしかに対決法案も補正予算案もないので、そういう位置づけもできるでしょう。逆手にとれば、百年先を見据えた国のかたちを議事録に残すことができる国会です。9・29召集(きゅーてんにーきゅうしょうしゅう)だった第141臨時国会も対決法案はありませんでしたが、召集直前に大臣辞任、会期中に山一證券廃業がありました。そして、会期終了直後に、新進党解党という痛恨の出来事がありました。このとき、日経新聞の田勢康弘・論説副主幹は社説(無署名)で、「政党の名前を全部言えますか?」という極めて無責任な論説を展開しました。満州から山形に引き上げた田勢さんが自らの生活に慎重だったのはやむを得ないとはいえ、高度成長期に生き急いできた芹川さんとしては、「消化試合」で、体を休めたいのでしょうが、実際には、「消化試合」は後のスター選手が経験を積む最高の舞台です。


参議院は3大政党時代に 委員長は自民党、公明党、民主党のみ みんなの党は委員長ポスト失う

2014年09月29日 12時53分38秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

画像は参議院インターネット審議中継(http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php)からスクリーンショット。今国会から、パソコン、スマートフォン(スマホ)、タブレットすべてに対応しています。

【参議院本会議 2014年9月29日(月)】

 第187臨時会(第187回秋の臨時国会)が召集され、山崎正昭議長が中村剛事務総長をしたがえて議長席に座り、ギャベルを鳴らして、午前10時開議しました。

 常任委員長人事では、自民党、公明党、民主党の3大政党のほかに、前会ではみんなの党に第2種常任委員長の一つ「行政監視委員長」が割り振られていました。その後、国政選挙がないにも関わらず、第2野党以下は分裂し、「自滅」しました。このため、秋の臨時国会は、自民党、公明党、民主党の3大政党だけが、参議院で委員長を務めることになったようです。前会では、みんなの党の委員長が、同じ会派の理事が一人もいない状況で、大臣のお手洗いと思われる一時退席を把握しておらず、他の理事から怒鳴られるシーンがありました。多少のいじめもあったのでしょうが、それを含めて議会政治ですから、これから一年間の参議院はすべて委員長と同じ会派の理事が委員長の負担をサポートする格好となり、ていねいに議論ができそうです。

 召集に先立ち、山本香苗さんは、今月2014年9月3日(水)の第2次安倍第1次改造内閣で、厚生労働副大臣に就いており、参議院総務委員長でなくなったことが官報で告示されていました。

 委員長は全員が交代しました。

 第1種常任委員長は、

 内閣委員長が大島九州男さん(民主党)
 

 総務委員長が谷合正明さん(公明党)。

 法務委員長が魚住裕一郎さん(公明党)。

 外交防衛委員長が片山さつきさん(自民党)。

 財政金融委員長が古川俊治さん(自民党)。

 文教科学委員長が水落敏栄さん(自民党)。

 厚生労働委員長が丸川珠代さん(自民党)。

 農林水産委員長が山田俊男さん(自民党)。

 経済産業委員長が吉川沙織さん(民主党)
 

 国土交通委員長が広田一さん

 環境委員長が島尻亜伊子さん

 第2種常任委員長は

 国家基本政策委員長が小川勝也さん

 予算委員長が岸宏一さん

 決算委員長が小坂憲次さん

 行政監視委員長が松村祥史さん

 議院運営委員長が中川雅治さん

 

 懲罰委員長が芝博一さん。

 となりました。

 特別委員会は、前会と同じ7つが同じ員数で設置されました。なお、今国会中に「地方創生特別委員会」(仮称)というものが設置されるのではないかと見込まれています。

 各特別委は互選をし、

 災害対策特別委員長に秋野公造さん(公明党)。

 沖縄および北方問題特別委員長に風間直樹さん(民主党)。

 

 政治倫理の確立および選挙制度に関する特別委員長に牧山弘恵(牧山ひろえ)さん(民主党)。

 

 北朝鮮による拉致問題に関する特別委員長に

 ODA特別委員長に山本順三さん(自民党)

 消費者問題に関する特別委員長に佐藤ゆかり(自民党)。

 ここは、何度も書いている通り、みんなの党が委員長を持っていながら、理事はいない状態で、大臣のお手洗い退席を把握していなかったと怒鳴られるなど、少数会派の悲哀を示していました。まあ、議会政治ですから、「理由あるいじめ」は活力です。これが今国会から、自民党になりました。

 東日本大震災復興特別委員長に桜井充さん(民主党)。

 原子力問題に関する調査特別委員長に西田昌司さん(自民党)。

 調査会では、

 国の統治機構に関する調査会長に山崎力さん。

 デフレ問題に関する調査会は開かれませんでしたから、鴻池祥肇さんが続投するようです。

 審査会では、

 憲法審査会長に柳本卓治さん。

 がそれぞれ就任しました。

 私自身、政権交代ある二大政党政治をずっと希求してきましたから、自民党・公明党、民主党の3大政党だけの委員長配置になったのはうれしいことです。

 政権交代ある二大政党政治における二院制について、参議院は歴史的局面を迎えています。平成元年の、土井たか子委員長率いる日本社会党の大勝と宇野内閣の退陣以来、参議院では、一つの会派が過半数を持ったことが一度もありません。平成において、最大野党は、1992年の土井社会党、1995年の海部新進党、2004年の岡田民主党、2007年の小沢民主党と4度改選第1党になっています(海部

 これからの1年間しっかりと参議院を見続けていきたいと考えます。 


参議院内閣委員長に大島九州男さんが当選

2014年09月29日 10時10分19秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

【参議院本会議 2014年9月29日(月)】

 参議院本会議は、第187回秋の臨時国会召集にあたり、内閣委員長の自発的な辞任を受けて、新しい内閣委員長を選挙。

 民主党・新緑風会の大島九州男さんを内閣委員長に選挙しました。

 大島さんは第21回参院選初当選の当選2回で、全国比例選出。

 ねじれ解消後の昨秋以降は、文教科学委員会野党側筆頭理事として、「法案採決では反対するけれども、附帯決議を提出して、全会一致で採択させる」という新しい責任野党のスタイルを編み出し、各委員会、両院に流行させました。与党・自民党も十分な審議時間を野党に割り当てることで応じました。

 大島さんの委員長就任はこれが初めて。

 内閣委員長は民主党が連続してポストを占めていますが、一代前の水岡俊一委員長は昨秋の臨時国会(特定秘密保護国会)で、多数派に解任。年明けの通常国会に与野党の推挙で再び返り咲くという初めてのケースとなりました。

 内閣委員会は、特定秘密保護法の施行に関する国政調査や、女性活躍法案(仮称)、IR法案など重要議案が目白押しで、「消化試合」と言われがちな第187回臨時国会から第188回通常国会に向けて、ていねいかつ、長時間の議論が望まれます。 


参議院経済産業委員長に吉川沙織さんが当選

2014年09月29日 09時21分44秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

【参議院本会議 2014年9月29日(月)】

 山崎正昭議長は、第187回国会の召集にあたり、院の構成を行い、大久保勉・経済産業委員長(民主党・新緑風会)から自発的な辞表が出たとして、後任の選挙を行い、吉川沙織(吉川さおり)さんが当選しました。

 吉川さんは2007年「逆転の夏」チルドレンの当選2回生で、全国比例選出。

 当選以来、総務委員をそつなく務めてきましたが、同委員長は、2年前の「国民の生活が第一騒ぎ」によって、民主党から(なぜか)公明党に移り、そのままですので、経済産業委員会の委員長に就くことになりました。延長が予想される来夏の通常国会閉会までの1年間つとめあげると思われます。

 吉川さんの委員長就任は初めて。

 アベノミクス国会では、企業のM&Aをうながす「産業競争力強化法」を野党民主党・大久保委員長が与野党の声をまとめあげて成立させましたが、現時点では、大きな閣法などが出る見通しはありません。ただし、原子力政策、法人と個人など、防衛装備移転3原則など、おのおの、他委員会の所管とかさなりながらも、国家百年の計にかかわる議論ができる委員会だけに、勉強家の吉川委員長にはふさわしいポストと言えそうです。 視察、参考人なども興味深い設定が期待できそうな気がします。