【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

2014年9月、海江田万里の静かな革命

2014年09月30日 20時25分08秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

 2014年9月30日(火)は民主党にとっては静かな革命記念日となりました。

 1998年4月27日(金)に、菅直人代表で結党した民主党。

 党規約は鹿野道彦・統一準備会座長がとりまとめましたが、鹿野先生は、やはり、「党首の任期は短い方が良い」という意識があったのでしょうか、代表任期は2年間ということで、まとめました。そして、第1次与党期の2012改正で、第11条3「代表の任期は就任から3年後の9月末日まで」とする、と与党らしくなりました。

(関連エントリー2012年1月26日付エントリー◎民主党規約・代表選挙規則がついに改定! 党大会、やっと報われた「長い道」

) 

 そして、今月、改革創生会議の最終報告書を海江田代表が「腑分け」して、2014岩手改正に成功しました。

(関連エントリー2014年9月16日付エントリー◎「2014岩手改正」党員・サポーターが民主党代表選投票へ名簿整理は「3か月弱」認【再々追記有】
) 

 これからは、衆議院小選挙区比例代表並立制のもと、国民が自民党か、それとも民主党かの2者択一で総理大臣を選ぶ。なれなければ、代表を辞任して、ネクスト首相を選ぶ。そういう、政権交代ある二大政党政治がさあいよいよ出発です。

 そして、2014年9月。下一桁が偶数の年の9月に、代表選が告示されなかったのは、1998年民主党立党の年の9月以来16年ぶり2度目となりました。

 新聞やテレビはまったく書かないし、「飯のタネ」にもならないけれど、海江田万里さんが静かな革命を成し遂げました。

【2014年9月30日(火)衆議院本会議】

 総理所信表明演説に対する代表質問のトップバッターとして「日本のチャーチル」こと、海江田万里ネクスト首相が登壇しました。

 海江田さんは、御嶽山噴火と、平成26年8月豪雨(広島市土砂すべりなど含む)について、民主党はただちに災害対策本部を立ち上げた、と演説しました。

 そして、さっそく労働者派遣法改正法案(187閣法3号)にふれて、「
今国会で、性懲りもなく、現実には正社員を減らし、派遣社員を増やす法案、つまり、労働者派遣法改悪案を再提出しました。派遣は一時的なもの。永久であってはならないというのは世界の常識です。安倍総理は、世界の常識に反して派遣で働いている人は一生派遣で働けと言うのでしょうか。お答えください。また、安倍総理は、残業代ゼロ制度の導入を狙っています。これは、自民党も含めて前国会において全会一致で成立させた「過労死防止法」に逆行し、過労死の種をまき、ブラック企業を育成することになりますが、如何ですか。安倍総理はなぜ格差を放置するのか、なぜ女性を痛めつけるのか、明快な答弁を求めます」と演説しました。

 アベノミクスと称される、「3本の矢」については、
時的な成長のために格差の拡大を容認している」「物価上昇に見合うだけ賃上げは伸びず、家計は火の車です」として、「民主党のように個人の実質可処分所得を増やす政策をとるべきだ」としました。

 消費税増税については、「民主党が主張する給付つき税額控除を採用すべきで、それまでの間は、臨時福祉給付金と子育て給付金(簡素な給付措置)を続けるべきだ」と主張しました。

 安倍晋三首相(自民党総裁)は答弁で、「女性労働者派遣法・・・」と原稿を棒読みしながら、労働市場について、「足もとでは非正規比率は低下している」と答弁しました。これは間違いだと考えられます。

 自民党の谷垣禎一幹事長は「改造内閣で女性閣僚が5人誕生するなど、安倍内閣になってから社会の高いポジションでの女性の登用が目立っている」とし、「労働時間を短くすることが大事だ」と指摘しました。その一方、「北朝鮮は我々を失望させる不誠実な対応だ」として、政府に代わって自民党の立場から北朝鮮を批判し、そのうえで「もう同じ失敗を繰り返してはなりません」という主語の無い一般論を述べる自民党的な論点のすり替えを見せました。

 維新の党の江田憲司共同代表は「維新の党は利権圧力団体に一切屈しないしがらみのない立場から改革を断行するので国民のみなさんのご支援をいただきたい」と力強く切り出しました。

 しかし少し付け焼刃に感じましたが、江田さんは「減反という名の生産数量目標をやめて、米価下落分を直接支払し、お米をどんどん輸出すべきだ」と演説しました。筆者の計算では、おそらく豊作の年は年間3兆円税金が出てしまい、それでいて、3兆円も輸出できるわけがありませんから、実際には不可能だと考えます。

 ただ、集団的自衛権に関しては、武器の高度化と廉価化で、北朝鮮が米艦に向けて発射したミサイルが我が国に向かう可能性があり、自衛隊が自衛権の発動として防御する場合もありうるので、集団的自衛権と個別的自衛権を整理すべきだと演説しました。

 これに対して安倍首相の答弁の中で、「徴兵は現行憲法で認められない」と断言しました。これについては昨年5月14日(火)の参議院予算委員会で民主党の前川清成さんに対して同趣旨の答弁をしていますが、徴兵が憲法で認められないと安倍首相が答弁したのはこれが初めてで、歴代首相でも初めてと考えられます。これについては、石破茂さん(前自民党幹事長、現地方創生相)がたびたび言及していますが、判例はなく、学説では「徴兵制は(憲法15条の)本人の意思に反して強制される労役であることは否定できないであろう」(芦部信喜著「憲法」)とされてきましたが、総理答弁で断言したことから、今後は政府の憲法解釈(187回 平成26・9・30衆・本会議)として整理され、繰り返し答弁されることになりそうです。

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