【平成27年2015年6月5日(金)法律公布】
「放送・通信・郵便事業の海外輸出の官民ファンド法」(189閣法35号)が平成27年6月5日法律35号が公布されました。3か月以内の政令で定める日に施行。
【同日 参議院本会議】
「改正裁判員裁判法」(189閣法41号)が賛成219、反対11で可決し、成立しました。
「改正郵便法および改正民間事業者による信書の送達に関する法律」(189閣法62号)が賛成156、反対72で可決し、成立しました。
これをもって、今国会の閣法(政府提出法案)の成立率が50%を超えました。これに先立ち、「学校教育法改正案」(189閣法49号)の趣旨説明と代表質問がありました。衆院段階では本会議登壇はしませんでしたが、参議院は教員出身者が多い事や会期末を控えた日程闘争に関係あると思われます。
【同日 衆議院安保特(我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会】
前日の憲法審査会での3学者「違憲」断定で、野党が勢いづきました。
月曜日午前9時からテレビ入り質疑がありましたが、「周辺事態」に関する外相答弁(後述)をめぐって、事実上1週間止まっていました。
安保法制2法案(189閣法72号・189閣法73号)について、民主党の辻元清美さんが「きのうの憲法審査会の結果をみて、法案の取り下げを要求したい。
立ち止まった方がよい」
と語りました。
民主党の大串博志さんは、先週金曜日から委員会が止まった理由である、「周辺事態」をめぐり、1998年外務省局長答弁と1999年政府統一見解のずれを追及。岸田外相は「5月28日の私の答弁は、現行周辺事態法での、周辺事態だった」とし、「修正する」としました。私はこれは個人的には許せないところで、1997年日米ガイドラインを落とし込んだ国内実施法が1999年周辺事態法なわけで、1998年答弁が1997年ガイドラインでの「周辺事態」をさしているのは明らか。1997「周辺事態」が1999法「周辺事態、後方支援地域」になり、2003年イラク特措法「人道復興支援のための非戦闘地域サマーワでの活動」と変質していったわけです。その間一貫して政権にあった自民党議員が質問通告がなかったとはいえ、外相という立場で経緯を誤ったら、野党、自衛官、国民は、何に「大義」を見出せばいいのでしょうか。とても憤慨する答弁でした。
続いて、長島昭久さんが「昨日の憲法審査会で、「違憲」と唱えた小林節さんは私の大学時代の指導教授だったが、昔から自衛隊合憲論を唱えていた人だ。その人が結論の部分で意見を変えたのは、根本的な問題があるからだ」と語りました。そして、新武力行使の3要件について、「外交ルートで解決できないときに武力の行使をするということならば、ホルムズ海峡から迂回するルートが確保できれば、新武力行使の3要件は満たさないのか」 と問うと、中谷大臣は認めました。そのうえで、長島さんが「重要影響事態のもとでのメニューは後方支援だけなのか」と問うと、中谷大臣は「後方支援については法律のメニューだけだ」と答弁しました。
この後、維新の党の重徳和彦さんの質問に宮澤経産相に答弁し、「石油の8割はホルムズ海峡を通るが、169日分の備蓄がある。天然ガスの25%もホルムズ海峡を通るが、こちらは性質上備蓄はできず、都市ガスや火力発電に影響がでる」と答弁しました。
維新の党の木内孝胤さんが「ホルムズ海峡の機雷除去について、国会の承認がいるのか」と問うと、中谷大臣は当初「原則は事前に承認もあるが、事後もある」と答弁しましたが、最後に、「事前に承認をとる」と断言しました。
ここで、何が問題になっているかというと、先週金曜日の後藤祐一さんの質疑やきょうの長島さんの質疑で、ホルムズ海峡での停戦前の機雷除去について、中谷大臣らは、重要影響事態ではないとの答弁をしてきました。重要影響事態とは、現行法でいう「周辺事態」のことです。きょう明らかになったように、「存立危機事態」としてホルムズ海峡への防衛出動を命じることになります。ところが、首相の自衛隊に対する防衛出動は、国会承認がいりません。ここで問題になるのは、現行武力攻撃事態対処法(2003年有事法制)の第9条です。
法律に詳しい人でも分からないと思いますが、とにかく、この条文は、首相の自衛隊に対する防衛出動命令には、国会承認を要らないと言っているのです。そして、今次改正法案にも、国会承認に関する改正条文は入っていません。
すなわち、まとめると、
ホルムズ海峡の停戦前の機雷掃海のための自衛隊派遣は、首相の防衛出動命令なので、国会の承認は要らない
というのが、今次改正法案です。ですから、日本平時なのに、首相の一存で自衛隊を地球の裏側(ホルムズ海峡)に送れるということになります。
この後、共産党の赤嶺政賢さんへの答弁で、中谷大臣は、「ホルムズ海峡への派遣は、(周辺事態法あらため)重要影響事態法(案)と国際平和支援法(案)とが重なる部分がある」としました。
政府の説明では、ホルムズ海峡派遣は、重要影響事態、存立危機事態、国際平和共同対処事態のどれにあたるか不明確なまま進んでいます。これでは、「切れ目のない安保法制」ではなく、「切れ目がだぶった安保法制」である、ミサイルを撃ち込まれたり、揚陸作戦を受けた日本有事(武力攻撃事態)になったときに混乱するでしょう。日本有事、専守防衛のためにも毒になる法案だと、私は考えます。
次回の開催は公報(未定)となり、今週の審議は終わりました。
「法案取り下げ論」については、民主党の岡田克也代表は同日の定例記者会見で「(野党共同で法案撤回を要求すると24日までの会期内に)採決される可能性があるので、しっかり審議していこう」という作戦をとることを明らかにしました。
共産党の赤嶺さんも質疑中に「法案を撤回した方がよい」と語りましたが、最後は「共産党は徹底審議のうえ廃案をめざす」としめくくりました。
【同日 衆議院厚生労働委員会】
漏れた年金の集中審議があり、次回は公報で知らせることになりました。この中で、自民党の長尾敬さんが、「最後に警察庁に申し上げますが、必ず犯人を逮捕してくださいね」と言っていて、たしかによく考えれば、それが一番大事だと感じました。とはいえ、国会ができることを国会がしっかりていねいにやるのが民主国家の要諦です。
【同日 参議院倫選特別委(政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員会)】
「18歳19歳に選挙権を付与する公職選挙法改正案」(189衆法5号)を、提出者の武正公一・衆議院議員が説明しました。来週10日〈木)に参考人質疑をすることが決まり、会期内の成立が確実になってきました。そのうえで、参議院選挙制度改革の公職選挙法改正案(未提出)を衆議院に送れば、当初会期で国会を閉じることが可能な情勢になるでしょう。
【同日 衆議院文部科学委員会】
「国立研究法人放射線医学総合研究所を量子科学技術研究開発機構に改める法案」(189閣法35号)の質疑が終局。民主党の松本剛明さんと維新の党の牧義夫さんらが法人名の「放射線医学」を残す修正案を提出。採決の結果、民維の賛成少数で否決。政府原案は、共反対、自公民維の賛成多数で可決しました。放医研と聞くと、1999年9の月のJCO事故や、3・11福島原発爆発で、被爆した作業員がヘリコプターで運ばれたところ、という印象が強いのですが、そのためか、法人名を改めるというのは嫌な感じ、情報隠ぺいのような感じもします。
【同日 衆議院経済産業委員会】
「不正競争防止法改正案」(189閣法45号)の質疑終局が宣言されました。次回10日(水)に採決の見通し。
【同日 衆議院内閣委員会】
「道路交通法改正案」(189閣法38号)が審議入りしました。4月17日(金)に参議院で可決し、衆議院に送られていました。参議院先議法案の衆議院での審議入りは今国会初。他に4法案が参議院で可決し、衆議院に送られたままの状態になっています。
【同日 衆議院法務委員会】
司法取引や可視化を導入する「刑事訴訟法改正案」(189閣法42号)の審査が続きました。次回は、9日(火)。
以上