宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

長島昭久さん「砂川を出すのはきょうで終わりにして」1年前の集団的自衛権解釈改憲への出戻り求める

2015年06月15日 17時23分16秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[画像]長島昭久さん、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

【同日 衆議院安保特(我が国および国際社会の平和安全法制に関する特別委員会)】

 「2015年日米ガイドラインの国内実施の安保法制2法案」(189閣法72号、189閣法73号)が審査されました。

 「1972年(昭和47年)政府見解」と「1959年砂川事件最高裁判決」が集団的自衛権の根拠となる苦しい状況を、自民党が数の力でダンプカーの押し通す国会になっています。えてして、国会というのは会派ごとの割り振りなので、野次が多い方が正しいように感じられますが、自民党政府の言っていることは支離滅裂です。

 民主党の長島昭久さんは「この委員会も30時間を過ぎてきたので、議論の深掘りをしたいところだ」と気になる前ふりをしながら「憲法審の参考人質疑での憲法学者3人の違憲発言で、1年前(7月1日の閣議決定)までフィルムは巻き戻された」と語りました。

 そのうえで、「砂川は私の地元だ」と、東京21区の、立川市が、旧砂川町だとし、「砂川の名前を使うのは、きょうの審議で終わりにしてほしい」と語りました。

 長島さんは、現在は昭和記念公園などになっている、旧米軍立川基地について、「返還のための砂川闘争があった。そのときに、土地収用の杭は打てても、私たちの心に杭は打てない」とし、流血も含めた犠牲が地元であったと言及。横畠内閣法制局長官は「砂川判決は個別的自衛権と集団的自衛権は分けていない」ので、集団的自衛権は行使できる、というとんでもない理論を繰り返し開陳しました。

 長島さんが「1959年砂川判決の後に、政府の憲法解釈で集団的自衛権が認められる可能性はあったのか」と問うと、横畠さんは「含まれると解釈される余地はあった」との答弁。 

 ここで、長島さんは、1999年に、高村外相がフルスペックの集団的自衛権は憲法が認めていない、と答弁していると指摘しました。

 これは先週末から話題になっている、次の答弁です。

[国会会議録データベースから引用はじめ]

145 - 衆 - 安全保障委員会 - 2号
平成11年02月09日

(中略) 

○高村国務大臣 国際法上、国家は個別的自衛権に加えて集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利を有しているものとされています。我が国が国際法上このような集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然であり、日米安保条約前文も、日米両国がこのような集団的自衛の固有の権利を有していることを確認しているところであります。

 しかしながら、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって、我が国の憲法上許されない、こう考えております。

(後略)

[引用おわり] 

 これについて、1999年の時点で、高村外相は1972年政府見解に基づいて答弁しているとしました。そして1972年から1999年までの間に、新冷戦の時代があり、ソビエトによる大韓航空機撃墜事件もあったとし、我が国をめぐる安全保障環境が、悪化しているということはないのではないか、と指摘しました。

 長島さんは、「野党には、与党が質問時間をどんどん積み上げる(ことで採決する)ことに不信感がある。与党には、野党がひっぱろうとしているとの不信感がある。ならば、憲法改正でスッキリやろうという、論が受けることになる」とし、「日本国民には敗戦のトラウマを今も引きずっている。納得する時間が必要になる」とし、「しっかり審議して、結論を出す、という姿勢を貫いてほしい」と締めくくりました。

 民主党の寺田学さんは「週末地元に帰ると、やはり否定的な人が多く、いろいろな人がいろいろなことを言っているが、何を信じていいか分からない、と言われる」と語りました。

 緒方林太郎さんも「与党支持者と話していても、よく分からないと言われる。でも、憲法学者もダメだと言っているんだからダメだよね、と言われる」としました。後藤祐一さんらも質問しました。

 きょうも中谷元防衛相(兼)安全保障法制整備担当相の答弁が安定を欠く場面ばかりが続きました。あすも、重要条約(特許法・商標法条約)の審議が参議院外交防衛委員会であるため、次の安保特別委はあさっての午前9時から。

 与党による会期延長の判断が注目されます。

【平成27年2015年6月15日(月) 参議院政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員会】

 別エントリー記事の通り、 「18歳19歳に選挙権を付与する公職選挙法改正案」(189衆法5号)が可決しました。あさってにも成立。

 無所属の衆議院議員、野間健さんが答弁する場面もありました。


[画像]参議院で法案提出者として答弁する野間健さん、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
以上

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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[お知らせおわり] 

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18歳19歳に選挙権を与える公職選挙法改正案が参・委員会で可決、あさって成立へ

2015年06月15日 16時06分09秒 | 第24回参院選(2016年7月)

[画像]参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 「18歳19歳に選挙権を与える公職選挙法改正案」(189衆法5号)は平成27年2015年6月15日(月)、参議院政治倫理の確立および選挙制度改革に関する特別委員会で採決し、全会一致で可決しました。(おそらく)あさっての参議院本会議で成立。立憲主義にもとづく天皇陛下が、今週の金曜日か、来週の火曜日に公布し、官報に載ると思われます。附則第1条で、「この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する」となっており、どんなに遅くとも、来年の、平成28年2016年6月23日(木)までに施行する見通し。

 これにより、第24回参議院議員通常選挙は、平成28年2016年6月23日(木)公示、平成28年2016年7月10日(日)と開票になる可能性が高まったといえます(2015年6月15日)。また同選挙の有権者は、平成10年1998年7月上旬以前生まれまとなる見通し。

 有権者の拡大は、「25歳以上の男性」から、「20歳以上の男女」に倍増した昭和21年1946年以来、69年ぶり。

 各市の選挙管理委員会が「3月・6月・9月・12月」に有権者台帳を更新する関係上、新有権者が3か月以内に住民票を移すと、新住所でも旧住所でも投票できなくなってしまう法律上の欠陥の穴をふさぐための、「市選管の選挙人名簿見直しのための公職選挙法改正案」(189衆法23号)も提出されています。今国会(24日前)中に成立するでしょう。公布と同時に施行されます。

 参議院の一票の格差を是正する改正公職選挙法今国会の当初会期中の来週6月24日(水)までに成立します。

 何が変わるかというと、日本が劇的に良くなるわけでもないでしょうが、「きっかけ」になればいいなと感じます。

以上

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会期延長絶対反対!安保法制、派遣法案廃案!

2015年06月15日 07時57分20秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 いよいよ、来週水曜日、24日に会期末が迫ってまいりました。

 最終盤国会の焦点は、労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)と、日米ガイドラインの国内実施のための安保法制2法案(189閣法72号、189閣法73号)。

 審議未了廃案にするためには、何が何でも当初会期で閉じさせないといけません。

 会期延長絶対反対!

 技術的に、野党ができることは限られています。

 安倍首相(自民党総裁)、谷垣自民党幹事長、溝手自民党参議院議員会長、山口公明党代表、魚住公明党参議院会長らの判断を促すため、今週、徹底的に圧力をかけてまいりましょう。

 さて、きょう6月15日は、岡田克也さんが、自民党臨時総務会で「政権交代ある二大政党政治をめざす衆議院小選挙区を導入する政治改革4法案」(126衆法5号、126衆法6号、126衆法7号、126衆法8号)の「審議未了廃案の党議決定」の阻止行動から22周年になりました。阻止はできませんでしたが、わずか3日後に宮澤内閣不信任可決という奇跡の大逆転。55年体制を終焉させ、私たちは政権選択権を手にしました。

 来週水曜日に会期末を迎える今国会では、内閣不信任案も7条衆議院解散もともに難しい情勢、99%無理です。技術的にできることは極めて限定的。

 しかし、自民党総裁選(9月)をめぐる、自民党内の思惑が何らかの効果をおこすかもしれません。

 会期延長を阻止して、労働者派遣法改悪法案(189閣法43号)と、2015日米ガイドライン国内実施のための安保法制2法案(189閣法72号189閣法73号)を審議未了廃案に追い込みましょう!



●おめでとう公明新聞!きょう日刊化50周年

 おめでとうございます。公明新聞がきょうで日刊化50周年、半世紀になったそうです。国政と党員、国政と地方議員団、そして、地方議員同士のネットワークによる、先進事例のヨコ展開などの媒体として活用されてきました。G7で最も、自民党、政府、中央省庁に偏った報道が続く、日本で、与党第2党あるいは野党第2党の情報を中心にした媒体を発行し続けてきたのは驚異的。なによりも、無冠の友の健闘ぶりには頭が下がる思いです。おめでとうございます!

 以上

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