【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]参で予算委中断で稲田防衛相追い込まれる、衆では、米軍再編交付金法案が通過、雇用保険法改正案と原子炉規制法案は参考人も入れて質疑、過疎地域自立促進特別措置法案起草

2017年03月14日 19時32分25秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

【参議院予算委員会 平成29年2017年3月14日】

 平成29年度予算案は12日目で、一般質疑は6日目(半日開催も1日にカウント)。

 委員会は1時間遅れ、審議も度々中断しました。理事である委員の質問内容や報道では、稲田朋美防衛大臣の前日の答弁の中で、学校法人森友学園の弁護士をつとめたとの指摘で、虚偽答弁が確実になったため、理事会に稲田大臣が呼ばれたようです。

 最近の予算委での審議ストップは珍しい所で、参議院自民党も稲田大臣に不信感を強めていく可能性もあります。

 審議では、民進党の舟山康江さんの問いに、稲田大臣は「裁判には、同じく弁護士である夫の代わりに出席したようだ。未だも記憶に無いが、答弁についてはお詫びして訂正します」と語りました。民進党の矢田稚子(矢田わか子)さんは、午後5時25分頃から登場し、「きょうは審議が遅くなっているので、私の問いは一問にしたい」と語り、午後5時37分頃に終了。各党から拍手を浴びました。働き方改革といったところです。あすも午前10時から。

【衆議院本会議 平成29年2017年3月14日(火)】

 「在外公館給与法改正案」(193閣法20号)が全会一致で可決し、参議院に送付されました。昨年の外務委附帯決議をうけて在外基本手当が大使級で月1万円ほど引き下げられたようです。

 「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の10年延長法案」(193閣法18号)は共社など反対、自公民など賛成多数で可決し、参に送られました。

 この後、「日米物品役務相互流通協定(日米ACSA)」(192条約2号)、「日豪ACSA」(193条約1号)、「日英ACSA」(193条約2号)の、各々の、承認案が審議入りしました。

 岸田外相は「平和安全法制による改正自衛隊法にもとづき、積極的に国際の平和及び安全に寄与するために、それぞれの役割を果たすために、相互流通の決済手段を定めたものだ」と趣旨説明しました。

 代表質問では、自民党は熊田裕通さんが登壇。公明党の浜地雅一さんは「5党合意で緊急性の高いものに限られている」と強調しました。この、5党合意というものは、2015年9月の参議院平和安全法制に関する特別委員会で、附帯決議案を読み上げていた、参議院にしかない3会派と、自公の5党ということのようです。当時は、山口那津男さんまで「修正」という言葉を使っており、私は「修正なら衆に回付するはずで、正しい言葉を使うべきだ」と主張しました。附帯決議の5党合意ということですが、荒井広幸さんも、松田公太さんも、山田太郎さんも、今は国会におらず、5党合意などという訳の分からないことを言われても困ります。まあ、公明党の地方議員さんは、地元で5党合意などという言葉は使わないでほしいところです。

 私もテンションは上がらないのですが、それでも、戦争への道を下り続ける日本列車になんとか、歯止めだけはかけて、スピード感を落としていこうと考えています。

【衆議院総務委員会 平成29年2017年3月14日(火)】

 「過疎地域自立促進特別措置法案」(193衆法たぶん5号)が委員長から起草され、全会一致で可決しました。委員長は起草にあたって「昭和45年1970年の特別措置法以来3回延長しているが、2015年の国勢調査も反映して、所要の措置を現行法に講じる。過疎だけでなく、財政難も対象に加えることにして、財政力指数0・5を下回る自治体も新たに対象となる」という趣旨の説明をしました。

 意見を求めれた高市総務相が「内閣として立法に異存はない」とし、「各会派の努力に敬意を表し、今後も、過疎地域の自立を促して生きたい」としました。

【衆議院環境委員会 平成29年2017年3月14日(火)】

 「原子炉等規制法改正案」(193閣法17号)の審議は、2日目(趣旨説明だけの日を含む)。自民党の石川昭政さんは「IAEAのIRRSからの勧告を国内法にするものだ」としました。各党の質疑の後、3日後の金曜日午前9時から参考人質疑をすることが発表されました。参考人の名前もすべて発表されました。東大教授のせきむらさんのほか、元原発技術者のおぐらしろうさん、ら。原発事故から6年経って、様々な立場の知見をていねいに聞きながら、審査を進める余裕が出てきたというところでしょうか。平将明委員長の差配も見え隠れします。

【衆議院厚生労働委員会 平成29年2017年3月14日(火)】

 「雇用保険法改正案」(193閣法3号)は3日目。参考人質疑がありました。まず、5名が15分ずつ陳述。女性の働く環境も含めて、広い立場から意見があったようです。各党が質疑して、一巡して、散会しました。

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「積極的に国際の平和及び安全に寄与する決済手段を定めた」と岸田文雄外相、平和安全法制にもとづく改正自衛隊法の日米日豪日英ACSA審議始まる

2017年03月14日 19時04分20秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 「積極的に国際の平和及び安全に寄与するため、平和安全法制による改正自衛隊法の決済手段を定めた」(岸田文雄外相)が趣旨説明し、

 日米ACSA(192条約2号)、日豪ACSA(193条約1号)、日英ACSA(193条約2号)が、平成29年2017年3月14日(火)の衆議院本会議で審議入りしました。

 昨年来、パリ協定、TPPと、本会議で審議する条約が増えています。

 私は、現在の世界情勢は、人類史上でも有数の平和な状態にあると考えます。なぜかというと、南極大陸を除く陸地が、すべて国民国家(ネーション・ステート)になっているので、侵略戦争が起きないからだと考えます。

 積極的に平和と安全をつくりだす必要はないと考えます。専守防衛のために必要な日米、日豪は別として、なぜ、日英ACSAを結ぶ必要があるのか。

 きょうは、自民党、民進党、公明党、共産党が登壇して質疑しましたが、なかなか、議論のテンションは上がらないところです。この道はもう後戻りできませんが、なんとか、時間稼ぎと骨抜きをして、あらがっていきたいところです。

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第2次田中角栄ブームの盛りに出版された、田中真紀子「父と私」日刊工業新聞社は、人間・田中角栄の正史だ、田中真紀子さんが洋ブー(河野洋平)との縁談に横槍を入れたのは佐藤首相夫人

2017年03月14日 18時54分29秒 | 人物

[画像]田中真紀子著「父と私」の扉絵から。

 田中眞紀子(田中真紀子)さんが、「父と私」を出版されました。日刊工業新聞社、2017年3月6日発行。

 出版の理由について、「かねてから父に関する思いや出来事の数々は、胸に秘めたまますべて黄泉の国まで持ち去ろうとずっと心に決めていた」(2ページ)としながらも「今や世の中はかつてないほどの田中角栄ブームであり、全国の書店の棚には父に関する本や、雑誌があふれ、テレビ等のメディアでも関連事項が度々取り上げられている。そうしたなかには、揣摩臆測や伝聞、自己宣伝目的と見受けられるものもある」(同ページ、以下略)ことがきっかけだとしました。

 父・田中角栄の口癖は「お前には、世界中を見せてあげよう、それがお父さんの夢だ」であり、そのおかげで、バッキンガム宮殿でエリザベス女王にも会えたし、学生時代にニューヨークのタクシーで「ロックフェラー頭取の家まで」と行き先を告げて笑われた話などが載っています。

 田中角栄先生の長男は、田中正法(たなか・まさのり)さんで、名前の由来は、「仏教の正しい教法」という意味だそうです。1947年9月に、正法さんが満4歳で生涯を閉じた時、両親は「名前負けした」と悔やんだそうです。真紀子さんの名前は、訓読みすると「まさのりこ」になり、正法さんの命を継いでほしいとの意味が込められているそうです。

 真紀子さんは、家の近くの私立女子小学校(宮崎注・日本女子大学付属小学校のこと)ではなく、千代田区立富士見小学校に。男の子のようにたくましく鍛えたということだったようです。かつての九段衆議院議員宿舎(現存せず)に近い、この学校には、その後、田中角栄先生の一番弟子である羽田孜先生の長男、羽田雄一郎参議院議員も通いました。

 本では、女性参政権が認められた総選挙の後、「大沢君」という人に、「やーい、やーい女代議士!」といじめられ、帰宅後「女代議士とはどう意味?」と聞くと、お母さんに「近藤鶴代先生のような方だ」と教えられた、というやはり政治家一家育ちのリアルな話が満載です。

 父の初入閣では、岸信介首相(自民党総裁)から「田中君にはいろいろ無理を言って仕事をやってもらった。君を必ず入閣させる」と伝えられながらも、反故にされかかったものの、角栄さんは「自分は若いから大臣になれる」と意に介していなかったそうです。ところが、ここで、河野一郎さんが「角さん、一緒に来い」と言われ、河野さんが岸首相に「お前は若い政治家をさんざん利用しておきながら、閣外に外すきか。これでは有言不実行、不誠実の極み、信用ならん」と怒ったところ、入閣することになったとか。帰宅後、「おーい、モーニング、モーニング」と話す父に、母も「あら、モーニングはどこにしまったのかしら」とのんびりしていた39歳の郵政大臣のエピソードがこの後、詳しく書いてあります。

 その河野一郎さんの長男である河野洋平さん(洋ブー)と真紀子さんの縁談に、佐藤栄作首相の寛子夫人が横やりを入れたエピソードも。これは高級官僚との演壇を持ち込むことで、洋ブーと真紀子さんの縁談をやめさようとしたそうですが、真紀子さんは、首相夫人の勘違いだとしています。その後、真紀子さんの初入閣の時に、閣議で花押の書き方が分からず、隣の橋本龍太郎通産大臣に聞いたら、「そっちに聞けよ」と河野外相に聞け、と言われたとのこと。

 池田勇人首相は田中角栄さんと気が合い、国会内で、「お互い、家に石灯籠がある」との話になり、現職の池田首相が官邸から自宅に帰る途中に、公用車で、田中邸を訪れ、お母さんと真紀子さんの2人でひっしに対応。帰宅後の角栄さんに「首相は、自分の家の方が立派だと言っていた」と報告したら、なら見に行かないと、と角栄さんが翌日、池田私邸を訪れたとの話。その後、池田首相が亡くなった後、奥さんが、池田邸の一部をアパートにしたいとして、田中角栄さんが何も条件を付けずに、連帯保証人の判子を押す姿を、見ていた、といった話もありました。

 外にもいろいろあるんですが、私・宮崎信行は公職の経験がないわけで、当然、宮中に参内したことはありませんが、昨年来、宮中の夢を見ます。ことし、参内歴のある人に「たいしたことないよ」とは言われるのですが、やはり宮中の話は興味深いところです。天皇誕生日の午餐会は国会議員でも抽選だが、元日の午餐会は希望すれば行け、宮殿から豊明殿に移って食事会になった後のこと。自民党女性議員が「天皇陛下万歳」と叫び、皇族も含めてどよめいた。その翌年と翌々年は、男性の防衛大臣経験者が叫び、その翌年は、それとは別の自民党女性参議院議員が叫んだという話。

 木曜クラブからの創政会(経世会)の話は「時は大騒ぎをして、頭上を通り過ぎて行った」という章立てで書かれています。

 田中角栄事務所には3系統ありますが、そのうち「元新聞記者」のルートについては厳しく書かれてあります。しかし、佐藤昭(さとう・あき)さん・朝賀昭(あさか・あきら)さん系統については、とくに記述もなく、平日の昼の大臣室や事務所内の話は、朝賀昭さんの著書・講演は聞きごたえがあるのもうなづける、というのが私が見て取ったところです。

 ほかにもいろいろあります。ここで書いた記事は、やや、どちらが角栄さんで、どちらが真紀子さんか、分かりにくかったかもしれないので、ぜひ著書を直接読んでみてください。

 ただ、まあ、これはビシッという感じですが、次の2文は引用させていただきたい。

 「父のまわりには、お金儲け目的で利用する人がどれほど多いかということを実感した」「現在出回っている、いわゆる、田中角栄本もそのたぐいであろう」(199ページ)。

 「日刊工業新聞社をはじめ関係者の皆様に、心から厚く御礼申し上げたい」(305ページ)。

 このエントリー記事の本文は以上です。