【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]ACSA衆・委通過で承認確実に外相「空中給油は事例ごとに判断」、給付型奨学金法案も可決

2017年03月22日 18時00分41秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 22日の国会は、残念ながら、日米豪英ACSAが承認確実となりました。もちろん2015年ガイドライン・平和安全法制が既にできているので、ここから抵抗しても無駄ですが、連休前には新条約になり、どこでも弾薬などが提供できることになります。日切れ法案はスピードが上がりだし、給付型奨学金法案や関税定率法改正案が衆議院委員会を通過しました。あすは森友学園問題で証人喚問。そこで、大きな転換がなければ、来週月曜日に予算は成立するはこび。

【衆議院外務委員会 平成29年2017年3月22日(水)】

 物品役務相互融通協定条約ACSAの、各々、「日米ACSAの承認案」(192条約2号)「日豪ACSAの承認案」(193条約1号)、「日豪ACSAの承認案」(193条約2号)が採決され、民共反対、自公維賛成で「承認すべし」と議決されてしまいました。次の本会議を通過し、連休前の承認、新条約切り替えが確実になりました。時間の問題だったとはいえ、残念です。

 先週14日(火)の本会議審議入りから8日。きょうの審議は、第1部が外相・防衛相、第2部が外相への質疑でした。この中で、稲田防衛相は、「国内には米軍施設があるが、豪、英には、国内施設がない」ことと「迎撃ミサイル防衛への対応が、豪、英には無い」部分が日米条約と、日豪条約・日英条約の違いだとしました。空中給油について岸田外相は「個別に判断する」として実施が可能だと認めました。自民党の島田佳和さんも「抑制的に使うべきだ」と諭しました。

 討論では、共産党の宮本徹さんが「平和安全法制、私たちは戦争法と呼んでいますが、その平和安全法制にもとづき、どこでも弾薬などを提供できる条約だ」と反対しました。維新は賛成の討論をしましたが、「私たちはおととしの平和安全法制に賛成したのだから、ACSAにも賛成するが、政権獲得時には一部手直しする」という意味の分からない討論をしました。

●給付型奨学金法案は4月1日施行に間にあう見通し

【衆議院文部科学委員会 平成29年2017年3月22日(水)】

 「給付型奨学金法案(独立行政法人日本学生支援機構法改正案))(193閣法2号)が採決され、全会一致で可決すべし、との委員会審査報告結果が決まりました。下述のとおり、参でも日切れ法案が動きましたので、4月1日施行までに成立する見通し。採決に先立ち、共産党が「延滞金の取り立てで配慮をする規定」などを盛り込んだ修正案を提出しましたが、政府原案が可決されました。

 きょうの審議は合計3日目で、参考人質疑を終えて初めて野党の質問となりました。民進党は2人も文部科学大臣経験者がいますが、高木義明元大臣が「本題の前に、まず、天下り問題について。非常に憂慮しています」と語りました。

 この後、「独立行政法人toto日本スポーツ振興センター法改正案」(193衆法おそらく7号)が、永岡佳子委員長から起草され、全会一致で可決しました。4月1日施行予定。内容は、専門学校、専修学校、企業主導型保育所の事故で、サッカーくじを原資としたお金から、補償金を出せるようにするものです。

【衆議院財務金融委員会 平成29年2017年3月22日(水)】

 「関税定率法改正案」(193閣法12号)が採決され、全会一致で可決しました。

【衆議院法務委員会 平成29年2017年3月22日(水)】

 「裁判所職員定員法改正案」(193閣法4号)と「裁判所法を改正して司法修習生給付金を復活する法案」(193閣法5号)の審査が続き、次回は郷原弁護士らに参考人質疑することが決まりました。

●参議院では平成29年度予算案の審議が進む

【参議院第1種常任委員会 平成29年2017年3月22日(火)】

 すべての委員会が開かれ、「平成29年度予算案(一般会計、特別会計、政府関係機関)」の委嘱審査がありました。

 内閣委員会は、前日の沖北特と消費者特が審査した部分以外を扱い、山本太郎さんは水道法改正案を先取りして質疑。政府は、自治体から委託先への職員の派遣は3年から5年に及ぶこともあるとしました。山本さんは「民間は参入するのも早ければ撤退するのも早い」とし技術の出入に懸念を示しました。

 農林水産委員会では、民進党の徳永エリさんがコメへの直接払いの(再来年度の)廃止を取り上げ、農業災害に加入している人が少ないことなどを上げて見直しを迫りました。土地改良事業について徳永さんは「担い手が中間管理機構(農地バンク)を使い農地を探す際に、基盤整理が終わっている方が借りやすいのはたしかにそうだが、担い手の目的も分からずに基盤整備をするとなると予算が膨れてしまう」という趣旨の意見を語りました。

【参議院文教科学委員会 平成29年2017年3月22日(水)】 

 上述の通り、委嘱審査がありましたが、「義務教育職員定員標準法改正案」(193閣法14号)の趣旨説明を聞いてから散会しました。

●共産党の大門実紀史さん、税制改正法案に束ねた、国税犯則取締法を廃止する条項の概要を財務省がつくっていないとしおごりを指摘

【参議院財政金融委員会 平成29年2017年3月22日(水)】

 上述の通り、委嘱審査がありましたが、「所得税法改正など平成29年度税制改正法案」(193閣法6号)の審議もありました。あすも審議し、来週月曜日に採決の見通し。

 この中で、共産党の大門実紀史さんは「国税犯則取締法を廃止して国税通則法に統合する内容が含まれている。法律を一つ統合するにもかかわらず、財務省は概要のペーパー一つつくっていない。財務省の国会対応におごりが見られる」 と強く批判しました。星野・財務省主税局長は「国犯法を通則法に統合した方が一覧性が高まるので納税者にも見やすくなる」としながらも、「先生のご指摘は重く受け止めたい」としました。大門さんは「ならば、あすの私の質問時間の前までに概要のペーパーをつくって提出してほしい」と厳しく語りました。これは大門さんの言う通りだなと感じました。

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(C)2017年、宮崎信行。

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