【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

テレビ入りで異例の空回し、野党6党の民主主義を守る戦いが始まる

2018年03月08日 18時04分22秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]参議院第一委員会室、きょねん2017年5月、宮崎信行が撮影し、色調などを加工。

 財務省は、森友学園との用地売買の交渉で「異例」などとした文言を削除した公文書を、野党のプロジェクトチームに提示したのではないかとの報道について、「原本」だとするコピーを提出。野党6党は「ゼロ回答だ」といっせいに反発しました。朝日新聞の誤報だった可能性はあります。野党6党は、参議院予算委員会の中央公聴会の設定には賛成。しかし、その後、欠席戦術に出ました。これに対して参議院自民党は、空回しで対抗。テレビ入り集中審議での空回しは異例。NHKはやむなく、環境映像となり、小笠原諸島父島の映像となりました。日本がいつまでも日本とは限らないとの暗示を、小笠原の映像に秘めたのでしょうか。

【参議院予算委員会 平成30年2018年3月8日(木)】

 1日半以上空転していた国会は、午前9時にいったん、正常化しました。

 「平成30年度予算案」の審議は、空転を除いて、5日目となりました。そのうち集中審議は2日目ですが、後で与野党の数えなおしになるでしょう。

 集中審議のタイトルは「安全保障・内外の諸情勢」。4時間と4分コース。およそ28分前後遅れて、開会しました。

 まず、中央公聴会を3月13日(火)に開くことを、全会一致で議決しました。

 ここで、野党6党が集中審議に抗議して欠席。政務三役経験がある、自民党の三木亨さんが「二階俊博幹事長とたずねたインドネシアとの友好が大事だ」などと質疑しました。

 この後、10時5分前後に欠席戦術中の民進党、難波奨二さんの番に。理事が出席を求めましたが、10時17分前後から、委員長は不在の難波さんを指名。往復方式で31分間割り当てられた質疑時間を浪費させる、空回し戦術に出ました。時間通り、10時48分前後に、大野元裕さんを指名。

 テレビ入り予算審議での空回しは極めて異例。NHKの総合テレビとラジオ第一は、空回し8分後の、10時25分から小笠原諸島父島の環境映像を放送。

 そもそも、法案審査と違って、予算審議で質問時間を積み重ねるのはこれまではあまり重視してこなかった価値観だと思います。一年前は、野党の福山哲郎さんに促され、首相がNSCのために官邸に帰るなど、官邸自民党と参議院自民党の連絡の悪さが指摘される場面があります。貴族院廃院とともに発足した参議院がサラリーマン化している証左です。

 空回しの後、11時18分前後から、公明党の横山信一さんが質疑スタート。横山さんの登場は、41分遅れ。横山さんの持ち時間は35分間。よって、横山さんの質疑は、11時53分ごろに終わり、NHKは天気予報になるはずです。なので、テレビ入りを意識したはこびかもしれません。

 午後4時まで休憩。但し、その前提になる衆議院本会議は下術の通り、午前中に流会が決まっています。

 午後4時過ぎからも空回し。アントニオ猪木さんは質問に立ち、財務省の調査やり直しによる正常化を求めました。午後6時頃に終了し、散会しました。

●参議院第一種常任委員会の大臣所信、経産委、厚労委、文教委いまだ設定されず、国交委はとりやめ。

 大臣所信を聞くための委員会が設定されました。ただし、経済産業委員会、厚生労働委員会、文教科学委員会の3つは、いまだに所信表明の委員会が設定されていません。このうち、経済産業委員会の委員長は民進党の斎藤嘉隆さんは、那谷屋正義国対委員長と同じく「会期末の」日教組組織内議員。震災国会であばれた、参議院議員の世耕弘成大臣は、私もことあるごとにクビをとれないか、金の出入りなどを調べていますが、「スパ」も含めて逃げ足の速さを見せています。今国会では6法案が付託される見通しで、うち2法案は※法案。厚生労働委員会は、衆の大臣ですが、参では8法案そのうち2法案がかかります。ただし自民党の島村大厚生労働委員長は、「かまくら」でしたが、私の日大二高校の先輩ですから野党はおおめに見てください。文教科学委員長は自の高階恵美子さんで、大臣は参の林芳正さんですが、4法案、※法案はゼロとなっています。

【参議院法務委員会 同日】

 野党6党に加えて沖縄の風も欠席。

 法務大臣の所信表明を聞きました。野党は欠席していたので、次回、質疑のしようがありません。問題の最高裁事務総局は経理局長が出席。予算説明の後、「よろしくご審議のほどお願いします」としめくくりました。予算審議は予算委です。散会。

【参議院財政金融委員会 同日】

 野党6党欠席のまま、麻生太郎財務大臣兼金融担当大臣の所信を聞く暴挙。委員長は「所信に対する質疑は後日として、本日はこれにて散会します」と宣言しました。しかし、野党6党は所信を聞いていないのですから、質疑のしようがありません。参・野党6党はやり直しを求めていくと思われます。この委員会はやや日程が厳しくなりつつあります。
 
【参議院農林水産委員会 同日】

 森ゆう子・自由党参議院議員会長が「野党をだましたのか」と抗議。しかし、岩井茂樹委員長(自民党)は審議を強行。斎藤健農相が所信を述べました。

【参議院国土交通委員会 同日】

 10年程度、民進党が委員長ポストを握っていますが、設定。しかし、民進党の野田国義委員長は、とりやめを決めました。

【参議院環境委員会 同日】

 野党6党欠席のまま、中川雅治環境大臣の所信を聞く、乱暴な運営。とかしきなおみ副大臣が予算説明。この後、荒井勉・公害等調整委員長、更田豊志・原子力規制委員長が説明。更田さんは「信頼回復は道半ばだ」と語りました。

●衆議院本会議は午前中に流会が決まる

【衆議院本会議 同日】

 午前中に流会が決まりました。午前中に決まるのも異例です。

 「出国税改め国際観光旅客税法案」(196閣法2号)が委員会から上がり法案として本会議に上程されていました。ただ、与党・衆・自民党としては、まだ余裕のある中盤国会という印象です。

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(C)2018年、宮崎信行。

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