【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参では予算の委嘱審査などで政府与党が道ならし急ぐ、衆では日切れ法案審議とNHK予算

2018年03月22日 18時23分02秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]NHK予算審議のNHK録画中継に映り込んだ筆者・宮崎信行(赤丸=宮崎加筆)、5年前の2013年の3月22日未明のNHK総合テレビ映像を、宮崎信行が撮影。

 来週(火)の佐川さん証人喚問が衆議院予算委員会でも議決。置き石がどかれたためか、日切れ法案がかなり大量に衆議院を通過しました。衆議院の委員会と本会議の採決で、自民党、公明党、立憲民主党以外の起立採決がとても見づらく、確認できません。いずれにせよ、「民進系3党」などというものは、衆参とも永久に存在しえないことは間違いありません。

【衆議院本会議 同日】

 「道路法及び道路財特法改正案」(196閣法3号)が起立多数で可決し、参議院に送られました。

 「出国税特定財源化法案」(196閣法4号)が起立多数で可決し、参送付。

 「公害健康被害補償法延長案」(196閣法16号)。これまでの時限で効力を失うサンセット規定を、「当分の間」に延長する法案。採決の結果、全会一致で可決し、参に送付されました。

 「関税定率法改正案」(196閣法13号)は全会一致で可決し、参に送られました。

【衆議院予算委員会 同日】

 来週3月27日(火)午後2時から「学校法人森友学園にかかる公文書の書き換え問題について」、佐川宣寿さんに証人として出頭してもらうことを、全会一致で議決。この委員会の次回の開催も、27日(火)午後2時からと決まりました。前半国会のピークとなります。

【衆議院総務委員会 平成30年2018年3月22日(木)】

 「平成30年度NHK予算案」。年一回の衆議院分館からの国会中継(録画録音で、今深夜と明深夜テレビ、ラジオで放送)。議案審査の後、採決で全会一致で承認すべきものと決まりました。附帯決議も全会一致で議決。

 NHK会長が交代して採決では従来モードに戻りました。但し、質疑の内容は様変わり。まず、NHKとは関係ない、日本年金機構の水島藤一郎理事長がたびたび呼ばれました。また、NHK記者の過労死も取り上げられました。第45期衆議院の民主党政権交代チルドレンは「坂の上の雲の製作費はどのくらいですか?」「自分の地元が大河ドラマの舞台になることはありますか?」などとNHKに媚びた質問のオンパレードでした。私は非世襲の地方出身の議員が多い方が当然だと思いますが、国会議員として東京に出ることと、何かのコンテストに合格して東京で芸能活動することの境界線が分からないような人も多かったと振り返りました。

【衆議院農林水産委員会 同日】

 「日本政策金融公庫の農林水産業の特例融資の延長法案」(196閣法15号)の法案審査。法律案の正式名称は「196閣法15号」でグーグル検索したり、農林水産省の国会提出法案、衆議院の議案、参議院の今国会情報の議案などをご参照ください。

 午前11時18分ごろに質疑終局。討論はありませんでした。ただちに採決。

 全会一致で「可決すべし」と決まりました。衆議院本会議に上程、上がり法案となりました。次回は未定のまま、散会しました。

【衆議院安全保障委員会 同日】

 「予備自衛官を雇用する企業への給付金を整備する、防衛省設置法及び自衛隊法改正案」(196閣法25号)の法案審査。採決では共など反対、自公立など賛成多数で「可決すべし」としました。討論では共が「2015年日米ガイドラインにより、アメリカが陸海空宇宙に続く、第5の戦場にサイバー空間をしようとしている」と批判しました。質疑では維新の串田誠一さんが「海外では、予備自衛官が人件費節減に使われている」と意外な指摘。小野寺五典大臣は「定員全体に占める割合も少ないし、予備自衛官の定員も大きく割れている。今回の法案で、雇用主への給付を増やして、予備自衛官の充足率を高めたい」と理解を求めました。

 法案採決後に、休憩。

 午後から一般質疑になり、前の外務事務次官の秋葉氏が、米議会の戦時体制委員会で、日本国内に核貯蔵庫をつくるのはやむなし、という趣旨の発言をしたのではないか、との疑惑について。河野太郎外相は「当時米議会から非公開だと言われた」「公式な記録が無いから、それを出す出さないの議論にはならない」と不誠実な答弁を繰り返しました。憤慨します。許しがたい。外務省は明治維新以来「外務省」という組織が続いていますが、広田弘毅少年ら日露戦争を知らない世代が太平洋戦争を引き起こしました。そして太平洋戦争を知らない世代が、外務省貴族として世間の空気を知らないままに、無意識に次の戦争を起こそうとしているような気が、私にはします。午後の一般質疑の後、次の開催は衆議院公報で知らせることにして、散会しました。

【衆議院地方創生に関する特別委員会 同日】

 「東京の大学定員上限法案」(196閣法5号)と「地域再生法改正案」(196閣法7号)の2本を同時に審査。

 立憲民主党の松平浩一さんは、「東京の大学の定員を規制することは、憲法の学問の自由、大学の自治、平等権、学生の居住移転の自由をおびやかすのではないか」と指摘しました。自民党は、ここでも、加藤鮎子さんが質問していました。討論では、共産党の宮本岳志さんが「東京の大学定員の上限を設ける地方創生は、対症療法に過ぎない」と批判しました。

 採決の結果、2つの法案とも、共など反対、自公立など賛成多数で可決すべしと決まりました。両方とも、附帯決議がつきました。

【衆議院消費者問題特別委員会 同日】

 福井照大臣の所信表明がありました。

 ●参議院経済産業委員会はきょうもありませんでした。参議院第一種常任員会定例日ですが、参議院内閣委員会、総務委員会、外交防衛委員会、文教科学委員会、経済産業委員会はありませんでした。

【参議院財政金融委員会 同日】

 「平成30年度所得税法など改正案」(196閣法1号)。日切れ法案の審査、参議院では第1号となります。きょうは一巡して散会しました。渡辺喜美さんの指名で、日銀の若田部昌澄副総裁が初登場しました。

【参議院法務委員会 同日】

 理事会が5分前後延びたようです。

 大臣所信に対する一般質疑。

 この委員会の自民党は、中西健治さん(元みんなの党)や山田宏さん(元新進党)など途中入党が多いようです。共産党の仁比聡平さんが「上川陽子大臣は初代公文書担当大臣だ」と話を振りましたが、上川法相・秘密保護法担当相から森友公文書改竄について前向きな答弁はありませんでした。仁比さんが「財務省は検察の捜査を盾にして隠ぺいしようとしている」と述べると、財務省の今枝宗一郎政務官は「大阪地検から文書の公開を控えてほしいと求められたことは無い」と正直に答弁しました。政府参考人は「書き換え前の文書は検察から入手してデジタルホレンジックした」と説明しました。この「デジタルホレンジック」ですが、同時間帯に、上述の衆・総務委で日本年金機構も「IBMにデジタルホレンジックしてもらった」と答弁。知らなかった横文字ですが、公文書管理で今後使えそうな言葉だと思いました。日切れ法案がありますが、一般質疑だけで散会しました。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 一般質疑があり、散会しました。
 
【参議院農林水産委員会 同日】

 一般質疑がありました。この委員会でも、学校法人加計学園獣医学部特区(今治市)について、公文書の扱いに疑念が生じています。

【参議院国土交通委員会 同日】

 一般質疑がありました。希望の会(自由・社民)の青木愛さんも、航空局の森友関与についてただし、野党6党協調に歩みを合わせました。

【参議院環境委員会 同日】

 一般質疑があり、散会しました。

【衆議院災害対策に関する特別委員会】

 まず、14日の豪雪被害の委員派遣の報告を、委員長がしました。

 この後、小此木八郎防災担当大臣の所信表明。これに対する質疑は後日として、次回は未定のまま、散会しました。

【参議院政府開発援助等に関する特別委員会 同日】

 予算委員会で審議している「平成30年度予算案」について、この委員会の所管事項について委嘱審査を受けました。そこで、河野太郎外相らに対する質疑。散会。

【参議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 まず、福井照消費者相が所信表明。これに対する質疑は後日に先送りになりました。

 この後、予算案の委嘱審査。民進党の愛知県選出で、愛教組(日教組愛知県支部)の斎藤嘉隆さんが質疑。斎藤さんが委員長をつとめる経済産業委員会が開かれていないから、斎藤さんが遊んでいるのではないかと思っている向きもいるかもしれませんが、野党6党PTに参加したり、特別委員会で質問したり熱心に活動しています。斎藤さんは、詐欺商法が、民法18歳成年法案(196閣法55号)で、増えるのではないかとの懸念を示しました。委嘱審査だけで散会しました。

【参議院東日本大震災復興特別委員会 同日】

 吉野正芳復興大臣が所信表明。野党時代に、与党民主党の復興対策を、「遅い、心が無い!」と絶叫していた浜田昌良復興副大臣があいさつ。かなり長期間やっています。東北との関係はありませんが、あれだけ民主党を批判していただけに、浜田復興副大臣は信頼されているのだろうと思います。大臣所信に対する一般質疑は後日となりました。

 平成30年度予算案に関する委嘱審査。民進党の桜井充さん(宮城県)は、「低利融資を受けた人のリスケ(返済条件の柔軟な見直し)はどのくらいあるか」と問い、「今後深刻な話になる」との見通しを示しました。熊本県出身の藤末健三さんは「熊本城の復旧」について質問しました。この後、2月22日と23日の委員派遣について、田名部匡代さんが報告し「ここで営農を続けたいとする笑顔をが印象に残った」と会った人の感想を述べました。散会。

【参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会 同日】

 まず、福井照北方・沖縄相の所信表明。河野太郎外相らもあいさつし、外務省は退席しました。

 予算の委嘱審査。自民党は今井絵理子さんが質問。沖縄の風の糸数慶子さんは、福井大臣の沖縄初訪問時の記者の囲み取材で回答について、読み上げるよう求めました。福井大臣は「私は現場の人間だが、普天間第二小学校に来て、実際に見て、驚いた」と話し、十分な配慮をすることを確約しました。

 委嘱審査終了後に、自民党の石井正弘さんが、委員派遣の報告をしました。視察で話をうかがった人が最近他界したようで「ご冥福をお祈りします」と結びました。

【衆議院議院運営委員会 同日】

 非公開で行われました。

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(C)2018年、宮崎信行。

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