[写真]瀟洒な趣の昼下がりの財務省、6年前、民主党政権時代の2012年8月に、筆者・宮崎信行撮影。
財務省の「森友文書、野党PT(プロジェクトチーム)改竄提出事件」が浮上。厚労省の平成25年度裁量労働実態調査の改竄に続いて、深刻な事件が議題となっています。
【参議院予算委員会 平成30年2018年3月5日(月)】
「平成30年度予算案」は合計4日目。そのうち集中審議は1日目で、「働き方改革など内外の諸情勢に関する集中審議」。3営業日連続のテレビ入りとなりました。
民進党政調会長の足立信也さんの質問に答えて、改竄された文書の、もともとの決裁権者は、近畿財務局管財部次長だとの答弁がありました。職員録で調べると、このポストは、近畿財務局でナンバー5位から9位くらいに当たる役職のようです。管財部だけ次長が2人置かれていた時期もあるようで、日ごろからハンコを押すことが多い役職と思われます。この文書が、国会内での野党PTに提出されるまでの過程のどこで改竄されたのか。本省のかなりの幹部と思われ、佐川宣寿・理財局長(当時)ではないかとの疑念も感じました。この案件で、国会議員でも「○○罪だ」という人がいますが、警視庁よりも検察庁よりも国会が国権の最高機関なので、国会が調査すべきだと考えます。
衆議院側の野党6党メンバーは、急遽指示を受けて、ノーアポイントで、近畿財務局に向かいました。
共産党の辰巳孝太郎さんは、近財と会計検査院との関係において、リーガルチェック担当者が検査院の検査に同席していたのではないかとしました。その場合、破棄されていたと説明していた文書の存在を財務省内で認識されていた可能性があります。
維新の東徹さんが、税金と社会保険料の支払いの国民負担率を問題視。麻生太郎財務大臣に「ピシッと答えてほしい」と迫りましたが、財務大臣が答えられず、いつになく弱気な態度をとる場面がありました。
東徹さんの問いに対して、安倍晋三首相(自民党総裁)は「消費税の10%引き上げ分のうち、半分は子供たちや子育てのために政府が使う。政府が投資することによって、消費を喚起する」と答弁しました。財務省のおそらく主税局がつくった答弁でしょうが、これは、経済学がめちゃくちゃです。教育費や保育費は投資ではなく、消費です。総務省統計局の家計調査をご覧ください。
[画像]平成29年12月の家計調査、総務省統計局のホームページから、赤線は筆者・宮崎信行が加筆。
ごらんのように、昨年12月の家計調査で、住居に次いで、教育が落ち込んでおり、マイナス8%になっています。なぜ前年同月比で「授業料等」が8%も落ちるのか。大学受験料などを絞っているからでしょう。このように、教育は消費です。主税局が書くべき答弁は、消費税引き上げ分の半分は、家計が出す教育や保育に対する消費を、国が政府支出で肩代わりするとすべきです。政府が投資して、家計が消費するなどというのは経済学の初歩の初歩が間違っています。このことは、財務省の事務次官や、太田充理財局長も、大学出てから一度も間違いを指摘された経験が無いだろうと思います。それほど、財務省は深刻な事態に陥っています。
共産党の山下芳生さんは、裁量労働制のもとで、労働者が業務量を減らす裁量があるのかと問いました。加藤勝信厚労相は「ない」と答弁。
民進党の足立信也さんは、「医師には応召義務があるからといって、それをもって裁量労働制にすると、別の問題が出てくる」とし、医師の裁量労働制でも残業代ゼロないしカットの懸念があると指摘しました。
あすも午前9時から。それに先立つ理事会で、財務省が説明するもよう。きょうは散会。
【衆議院議院運営委員会 同日】
日銀副総裁への新任案が提出された、若田部昌澄さんと、雨宮正佳さんから所信を聞き、質疑しました。
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(C)2018年、宮崎信行。
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Miyazaki Nobuyuki