参議院本会議で、平成30年度予算が成立しました。
大体見たところ、まあ、昼食後のまどろみというか、はたまた嵐の前の静けさなのかもしれませんが、特会、財投含めて穏当な予算だと感じます。
日切れ法案のうち、関税定率法案が審議入りしましたから、週内に成立するとみられます。出国税法案など多くの法案が4月にずれ込んで、後半国会に入ります。
【参議院本会議 平成30年2018年3月28日(水)】
「平成30年度予算」を採決。投票総数239、賛成154、反対85で可決し成立しました。
続いて、年収850万円以上世帯は増税となる所得税の給与控除改定条項などを盛り込んだ「平成30年所得税など国税改正法」(196閣法1号)。投票総数238、賛成164、反対74の賛成多数で可決し、成立しました。
「地方税法改正法」(196閣法8号)。投票総数239、賛成165、反対74で可決し、成立しました。
「地方交付税法及び特別会計法改正法」(196閣法9号)は、投票総数239、賛成174、反対65の賛成多数で可決し、成立しました。
散会。
【参議院財政金融委員会 同日】
「平成30年度所得税など国税改正法案」(196閣法1号)。総理入り質疑の後、採決。挙手多数で可決すべしと決まりました。本会議へ。
この後、「関税定率法改正案」(196閣法13号)が趣旨説明され、散会しました。今週中に成立・公布されるとみられます。
なお、196閣法13号よりも先に衆議院から送られてきた「出国税改め国際観光旅客税法案」(196閣法2号)の審議入りは先送りとなり、来年度にずれ込みました。施行は来年1月7日(月)なので、行政執行上の問題は全く無し。また、前日送られてきた「保険業法を改正し小規模共済を5年間縮小延長する法案」(195閣法4号)も審議入りせず。ちなみに、195閣法4号の影響は、法文を読んでも分かりきらないので、役所に電話しましたが、日をまたいだ現在もコールバックが無いので、私もよく分かりません。よほど混乱しているんでしょうか。
【参議院予算委員会 同日】
「平成30年度予算(案)」は15日目(証人喚問は除く)。そのうち集中審議は6日目。
まず、自民党の丸川珠代理事。質疑冒頭に、きのうの証人喚問テレビ中継で、首相夫妻らの関与はありませんよね、という念押し的な質疑が誘導尋問的だと批判されたことについて釈明しました。
民進党の川合孝典さんは、党森友PTの事務局長をつとめてきました。川合さんは公文書偽造の次の問題として、ゴミ鑑定書が恣意的だったのではないか、との毎日など報道について。「その深さからビニールがでたら、世紀の大発見ですよ」と指摘。前に川合さんが、掘り返して調査しろと迫ったときはいくらなんでも大げさだと感じましたが、ここまでこじれると、掘って調査するのが落としどころのような気がします。
午後は12時半に再開し、しめくくり質疑。これに先立つ理事会で、今後も予算委を開くよう野党が決議を迫ったようですが、野党質問の冒頭に、与党・自民党の金子原二郎委員長が「主体的・継続的な本件調査」を発言することで落ち着いたようです。
希望の会(自由・社民)の山本太郎さんは来年10月の消費税10%について、日銀の黒田東彦総裁(続投決定)に問いました。大蔵省出身の黒田さんは自分の意見は控えながらも、強く賛成の意向を示しました。退任したばかりの前副総裁は消費税引き上げに反対していた、と今週新聞で答えています。黒田さんはきょうの委員会で「日本政府の債務残高は国際的に高い水準で、中長期的な財政健全化は、国際的な信認に必要だ」として、「前回の引き上げ(幅)は、3%だったが、(来年秋は)2%であり、食品の軽減税率もある。経済の影響は少ないとみられる」とし「私たちの政策委員会の経済見通しも順調だ」とし、「経済の影響は軽いとみている」と語りました。前回の消費税増税のさいは、突如、金融緩和を拡大する、QQE2とよばれた政策に出ましたが、今回は消費税10%やむなしということになりそうです。日銀内あるいは、与党など現在の日本国主流内でも、黒田元財務官の考えは少数派の可能性もあります。
午後2時47分頃に質疑終局。
討論で公明党は「人への投資を拡大している」などと賛成しました。自由党、社民党はこの予算への態度を初めて討論することになりますが、山本太郎さんは「朝日新聞の報道が無ければ永遠にやっみに埋もれてしまっていた」と、森友公文書改竄について、国会や野党の奮起を促しました。
採決の結果、自民党、公明党、無所属クラブ(薬師寺みちよさん)の賛成多数で可決し、本会議に上程。
【参議院総務委員会 同日】
「平成30年度地方税法改正案」(196閣法8号)と「地方交付税法及び特別会計法改正案」(196閣法9号)は、各々、賛成多数で可決すべしと決まりました。質疑では「臨時財政対策債頼りは当面やむを得ない」との考えが野党からも出ました。地方税財政基盤の確立についての超党派の決議がされ、散会。
【衆議院厚生労働委員会 同日】
「駐留軍法及び漁臨法5年延長法案」(196閣法14号)が審議されました。ある党のルーキーが「ご存知のように5年間延長されてきた」と経緯を説明しましたが、ご存じない方が普通だと思います。議会政治は誰かが知っていると思っていて誰も知らないまま暴走することがあります。採決は、全会一致で可決すべし、と決まりました。
この後、参議院との関係で何度か休憩。
一般質疑特に年金問題に関する件。日本年金機構がデータ入力を委託した東京の会社が、中国に丸投げして、個人情報の漏えいや入力ミスが発覚した事案について長時間の審議がありました。
【衆議院外務委員会 同日】
「判読困難者の著作物利用促進のためのマラケシュ条約の承認案」(196条約1号)と「船舶リサイクル香港条約の承認案」(196条約2号)は、各々、全会一致で承認すべし、と決まりました。
岡田克也さんの質問に対して、河野太郎外相は「岡田委員も外務大臣を経験しているので分かると思うが、日米間では安保に関する様々な協議がある」と語りました。岡田さんは「経緯を知らせてくれと言っているのではなく、基本的な考え方を教えてほしい」と国民が納得する外交をするようさとしました。
【衆議院農林水産委員会 同日】
「相続未登記農地利用促進法案」(196閣法36号)が趣旨説明されました。斎藤健農相は「現行農地法では、農業用ハウスの床をコンクリートにしようとするとき、農地転用の手続きをとる必要がある」とし「床にコンクリートを設置しても農地転用に当たらない」とする条項が盛り込まれていると説明。「全農地の2割が相続未登記だ」とし「共有持ち分の過半による決議が出来なくなっている」とし、疑義が無ければ、相続未登記農地に対して20年間の賃借権を発生させることができる法案だとしました。
これに先立つ一般質疑では、与党議員から「今年はコメの(減反廃止による)需給調整が始まる大事な一年だ」との発言がありました。
【衆議院文部科学委員会 同日】
大臣所信に対する一般質疑がありました。次回は30日(金)午前9時。
【衆議院経済産業委員会 同日】
大臣所信に対する一般質疑が初めて有りました。自民党、公明党、立憲民主党の3党だけ質問し、残りは30日(金)午前9時以降に持ち越して散会しました。
【衆議院情報監視審査会 同日】
非公開で行わました。「平成29年年次報告書」をとりまとめ、すでに衆議院ホームページで公開されました。中を見ると、在日米軍の周波数を総務省が特定秘密としています。公安調査庁による特定秘密文書を扱う国家公務員などの適正調査は、一年間、全員が合格したようです。
【衆議院法務委員会 同日】
「裁判所職員定員法改正案」(196閣法10号)が趣旨説明され、散会しました。
【衆議院内閣委員会 同日】
一般質疑があり、参・予算委の状況により、何度か休憩しながら、行われました。
冒頭、委員長が立ち上がり、財務省による公文書改竄を、公文書管理を所管する内閣委員長としても強く抗議しました。質疑も情報公開・公文書管理に集中しました。
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