【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆院本会議は森林経営法案が審議入りして骨太の林業論争、参は日切れ法案処理続く

2018年03月29日 21時17分22秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 きのうの予算成立の夕からけさにかけて、自民党の石井準一幹事長代行が、参議院職員と不倫という週刊文春報道の激震が「良識の府」に走りました。石井さんというと、特定秘密保護法強行採決の本会議での「休憩動議」が記憶に新しいところですが、不倫ではさすがに路上で休憩動議というわけにはいかず、予約済みの高級シティーホテル。ゆえに、廊下からパシッととられたわけです。大人の処理を見せていただきたい。

●参議院第一種常任委員会

 11のうち、10の委員会が開かれました。

●参議院経済産業委員会は開催されず。

 国会嫌いで有名な、世耕弘成・大臣。前日も本会議場ひな壇で答弁することなく予算の採決を見守ったことでしょう。お疲れ様で、きょうの委員会は衆参とも有りませんでした。

【参議院内閣委員会 平成30年2018年3月29日(木)】

 「子ども子育て支援法及び特別会計法改正案」(196閣法6号)。衆議院の委員会では野党欠席のまま委員会採決され全会一致でした。参では、共産党が反対を表明。討論の後、共由反対、自公民維など賛成多数で可決すべし、と決まりました。

【参議院総務委員会 同日】

 「平成30年度NHK予算」が全会一致で承認されました。

【参議院法務委員会 同日】

 「東日本大震災被災者のための法テラス特例法5年延長法案」(196衆法8号)。衆・委員長の趣旨説明の後、質疑、討論は申し出がありませんでした。採決の結果、全会一致で可決すべし、と決まりました。散会。ここ数年、法務省の日切れ法案が年度内にはまらないケースが多くみられます。

【参議院外交防衛委員会 同日】

 「在外公館位置・給与法改正案」(196閣法19号)が採決され、共反対、自公民維など賛成多数で可決すべし、と決まりました。これも衆では野党欠席のまま採決されていました。

 共産党の井上哲士さんの反対討論は私の考え方にとても近かった。井上さんは「給与改定、ジブチ日本領事館の条項は賛成だが、NATO日本代表部設置の条項には反対。集団的自衛権を伴う軍事同盟であるNATOは、安保関連法で、自衛隊が米軍と一体になって、自衛権を行使することになっている」とその危険性を説きました。井上さんは既に現行法でそうなっているとしながらも、この法案にも反対しました。

 防衛省・自衛隊法改正案は審議入りせずに、散会しました。

【参議院財政金融委員会 同日】

 「関税定率法改正案」(196閣法13号)が全会一致で可決すべし、と決まりました。

 この後、「保険業法を改正して小規模共済を縮小しながら5年延長する法案」(195閣法4号)が趣旨説明され、散会しました。ただし、明日もこの委員会をやるので、明日中に成立させ、公布させるものとみられます。

【参議院文教科学委員会 同日】

 大臣所信に対する一般質疑。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 一般質疑とくに年金問題に関する集中審議。振替加算のミスと、入力データ中国丸投げミスについて。自民党議員から、第1次安倍内閣で社会保険庁が日本年金機構に移行した経緯について疑念が出ました。

【参議院農林水産委員会 同日】

 「日本公庫の水産加工施設などの融資臨時措置の5年延長法案」(196閣法15号)が全会一致で可決すべしと決まりました。これに先立つ討論では、森ゆうこさんだけが発言を求め、賛成討論として、森友問題などを批判しました。

【参議院国土交通委員会 同日】
 
 「道路法及び道路財特法改正案」(196閣法3号)。質疑では、現行法第37条が定める狭い幅員の道路について、無電柱化での財政措置があるのかという質問が集中。政府の答弁では、一概に言えないようです。採決の結果、共反対、自公民維社などの賛成多数で可決すべし、と決まりました。

 この後「国際観光旅客税の特定財源化法案」(196閣法4号)が趣旨説明され、散会しました。財金委ではまだ「国際観光旅客税法案」が審議入りしていません。

【参議院環境委員会 同日】

 「公害健康被害防止法改正案」(196閣法16号)が全会一致で可決。長浜博行元環境大臣が付帯決議を朗読しました。自動車重量税を、喘息被害者に給付する独立行政法人に渡す法律で、これも税歳入と歳出を紐づけた特定財源といえると思います。

【衆議院本会議 同日】

 「駐留軍法及び漁臨法の5年延長法案」(196閣法14号)が全会一致で可決し、参に送られました。

 「判読困難者の著作物利用促進のためのマラケシュ条約承認案」(196条約1号)と「船舶リサイクル香港条約の承認案」(196条約2号)が全会一致で承認され、参に送られました。

 この後、「森林経営管理法案」(196閣法38号)が趣旨説明され、代表質問がありました。

 斎藤健農相と、希望の党の緑川貴士さんの問答はとても骨太なものでした。まず、農相は趣旨説明で「多くの小規模林業者の能力が低下しているが、意欲ある経営者にはより多くの森林を求めている現状がある」とし、「市町村が権利を持ち、林業に適する森林は経営者にゆだね、適さない森林は管理することが必要だ」という趣旨のことを語りました。

 緑川さんは「8割が高齢者であり、自ら伐採することができない。私も地元、秋田県大館は林業のモデルとして民間を交えた協議会が立ち上がったばかりだ。この法案で県は市町村の経営権利権を一部代行することが可能になると思うが、届け出の際に、登記を促していくことも盛り込んでいくべきだ。林業の担い手育成で、耕作放棄地の増加に歯止めをかけて、里山林(さとやまりん)を管理する人を増やしていくべきだ」としました。農相は答弁で「登記は重要だ」としました。農相は、公明党に対して「先人が築いてきた、豊かな森林を、今度は、次世代に引き継いでいきたい」との決意を述べて締めくくりました。「今度は」を強調したところに、戦後林業の失敗を認める潔さを感じました。林業に関しては、野党の方が既得権益者に支持されている割合が高いと思います。国税になくごくまれな地方税にしかない、歳出の目的の名を冠した、「森林環境税」の導入を踏まえて、今度こそは、自立した林業を与野党ともつくっていかねばなりません。希望の党は選挙の公約で、「花粉症ゼロ」をかかげて、一部で唐突感があるとされましたが、林業の再興が花粉症ゼロにもつながると考えます。ただまあ、林業に新規就農したいという若者は、当面、様子を見てからにした方が良さそうに、私は考えます。

【衆議院北朝鮮の拉致問題等に関する特別委員会 同日】

 加藤勝信さんが厚生労働大臣(兼)内閣府拉致問題担当大臣という初めての兼職辞令を受けています。

 そのため、加藤大臣、河野太郎外務大臣、小此木八郎国家公安委員長の3人の大臣が所信やあいさつを述べました。非常に無駄な感じがします。加藤さんが大臣ですが、厚労省の副大臣・政務官は兼職辞令が無いようで、出席せず。一方、外務省の副大臣、政務官はあいさつしました。外相の出席が多過ぎて、河野太郎さんが言うように国会改革は急務。与野党とも、外相の国会出席を見直すべきです。まずは、衆参の拉致特の廃止、内閣委移管が必要だと考えます。でも、与党・自民党にも、ネットウヨのような若手・中堅がこの特別委に巣食っていますので、もういい加減にしろ、というのが正直な偽らざる感情です。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 

このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]

Miyazaki Nobuyuki