【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

全人代化した国会、野党6党審議拒否8日目ながら委員会は強行、参・予算委はNHK中継無し、衆・外務委はNATOに日本代表部を設ける法案が野党質疑無しのまま可決

2018年03月14日 16時28分55秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]緑萌える参議院、3年前の2015年7月、筆者・宮崎信行撮影。

 野党6党の審議拒否は8日目となりました。与党は衆参とも委員会を強行。「NATOに日本代表部を設ける法案」は、野党が所信・法案の質疑をしないまま、衆議院委員会を通過。参議院予算委員会も、初めから野党6党に時間が割り振られておらず、空回し無しに進行しました。

 与党と維新、参議院では無所属クラブが質疑する「全人代化」する国会となりました。

 野党6党は、各党内の議員総会や役員会を断続的に開きました。私は個人的には、公文書改竄は、理財局の一部職員が情報公開法の理解が足りずに余計な失敗をしただけの話のように思います。でも、審議拒否はするだけすればいいと考えます。ただ、各党内、とくにテレビ入り予算審議中の参議院議員総会でまとまりがつかなくなることもありそうです。

【衆議院外務委員会 平成30年2018年3月14日(水)】

 「在外公館の位置・名称・給与法改正案」(196閣法19号)が、自民党、公明党、維新の党3党のみが出席して審議が行われ、3党の賛成による全会一致で可決すべしと決まりました。日本の集団的自衛権行使の根城となる、NATO北大西洋条約機構に、日本代表部を設ける条項が入っており、これが通過してしまったのは残念に思います。

 法案審査は自民党、公明党から始まりました。その後、立憲民主党、希望の党、無所属の会、共産党の4党は事前に質疑者の割り当てがないので、まるごと、審議時間を空回ししました。その後、野党・維新が質疑しました。維新も「公文書の問題は深刻だが、質疑しないと国民からサボっているとみられてしまう」という趣旨のことを言っていました。大臣所信に対する一般質疑がから野党の質疑がないまま、同委員会唯一の日切れ法案が可決すべしと決まりました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 前回の空転で、趣旨説明が遅れた、「道路法及び道路財特法改正案」(196閣法3号)について、石井啓一大臣が趣旨説明。ただちに、与党だけが質疑しました。自治省出身の自民党3期、兵庫4区の藤井比早之さんは「地方自治体の道路建設の財源の、国によるかさ上げ措置の延長は、要望というより熱望されている」と説明。自民党からは加藤鮎子さんも質疑しました。加藤さんはいつもいい場面で登場する印象がありますが、父親が大物だったとはいえ、ほかに女性である、ということ意外に、重用されている理由はほかにあるのでしょうか。自民党の質疑のみで、散会しました。自治体は4月1日に発注するわけではないので、別に遅れてもいいように思います。

【衆議院内閣委員会 同日】

 「子ども子育て支援法改正案」(196閣法6号)の審査。

 野党4党の質問時間は、午前、午後と分けて空回し。我が無所属の会は、3時14分から39分まで空回しされました。この後、維新が質疑。最後に自由党が5分ほど空回し。採決はせずに、次回に持ち越しました。散会。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 大臣所信に対する一般質疑が始まりました。働き方改革関連法案(未提出)の前さばきとしての平成25年調査で混乱していましたが、財務省文書改竄で逆に、穏やかに質疑がはじまった印象。

 自民党3期で元法務政務官の井野俊郎さんが、男女間の役割などについて、骨のある質疑をしました。与党質疑のみで散会。

【衆議院農林水産委員会 同日】

 流会しました。

【衆議院財務金融委員会 同日】

 流会しました。

【参議院予算委員会 同日】

 「平成30年度予算案」の審議は7日目。そのうち集中審議3日目で「TPP・経済財政・内外の諸情勢」。

 正直、与党が委員会を強行したのには驚きました。

 初めから割り当てが無いので、空回しが無く、自民党・公明党・維新・無所属クラブが質疑し、3時間強で散会しました。また、はじめ意識していなかったのですが、総理入り集中審議なのに、NHKの中継が無かったようです。理事会がNHK中継要請を出さなかったのかもしれません。ただ、NHK中継が無いことについて、あまりSNSも盛り上がってない印象。

 審議では、国会の構図が変わりました。国会与党対財務省の構図になりました。

 自民党で首相側近の西田昌司さんが登場。西田さんは税理士として数十人の社長を顧客にしているので、昨日までに確定申告の仕事を終えて、予算委員会に登場したとみられます。西田さんは理財局長に「いい加減にしろ!」と激怒。インターネット中継を見ていても、幼少時に父親に怒鳴られたトラウマがある女性はここで見るのを止めたかも。西田さんは「財務省は膨大な資料の中から都合の良いところを取り出して、彼らの洗脳をしてきた。過去20年間の政策は破たんしていた」 と語りました。麻生太郎財務大臣は「財政投融資の活用や、事業承継税制は、安倍政権が財務省をおさえた」と政治主導を強調しました。

 自民党の平野貞夫さんは「佐川宣寿さんは、私が民主党で復興大臣のときの直属の部下だ」と語りました。調べてみると、平野大臣のもとで、「総括官付審議官」といって、事務方ナンバー4をしていたようです。

 公明党は、「公文書管理研修を受けている人は、2・2%にとどまっている」としました。この辺の「研修」というのも、なんか幼稚な響きもあるけれども、私としても、この研修を、 情報公開法施行前、橋本行革前に入省したすべてのキャリアに受けてほしいと思います。第一、情報開示文書がもとで、懲戒処分をうけた官僚って、この20年間に何人いたんでしょうか。

 TPPについては、安倍晋三首相は「21世紀における画期的なルール作りだ」としました。維新の藤巻健史さんは「日銀がサンマを買えば、サンマの値段も上がる」と政策を批判。無所属クラブも質問しました。10年以上前の、渡辺秀央さんらの「改革クラブ」以降、少数会派のコバンザメ野党がずっと参議院にはいる状態になります。結果的に誰も残っていないけど、委員会で質問していた方がいいんでしょうね。その辺、以前、平野貞夫さんが無所属だった時に、民進党・新緑風会の議員が目を合わせないようにしているのを目の当たりにして、参議院民進党の陰湿さを感じたこともあります。東北出身で復興庁発足時の平野大臣や佐川統括官付審議官も、それなりに国士でありながらも、その活動資金や生活資金も必要です。あまりにも、民進党の幹部が冷たいのも、野党の力が衰えていく底流にあります。みんな見て見ぬふりをして、結果として勢力が衰えていく。そういう意味では、選挙対策を民進党・新緑風会も出る杭を叩く陰湿な日本の社会・経済を象徴する政治集団のように思います。選挙対策はしっかりやっているんですけどね。

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(C)2018年、宮崎信行。

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