【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

政府提出予定の閣法法案10本が未提出のまま、3月中旬に、未提出は重要法案「働き方」「特区」「IRカジノ実施」「民法18歳成年」に加えて「TPP11」も、提出後の採決時期はまったく見通せず

2018年03月11日 21時59分03秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 内閣が提出したいとしていた法案のうち、10法案が3月中旬にずれ込みました。

 衆議院での予算案通過の夜に、与党幹事長が首相に一部項目の削除を要請した「働き方改革関連法案」は、国会への「2月下旬」の予定時期から大幅にずれ込む見通し。

 公明党法務部会の通過に手間取った「民法18歳成年法案」は「2月下旬」からは遅れましたが、今週閣議決定のはこび。

 「精神保健福祉法改正案」は、報道によると、提出を断念し、完全廃案になるかもしれません。私はきょねん9月に完全廃案になるのではないか、との観測を報じました(【廃案】「やまゆり」精神保健福祉法改正案は衆議院解散で廃案に、措置入院退所者の「医療」と「犯罪防止」のはざまで厚労省が見通しを誤り再提出も困難な見通し)。

 賛否が分かれる、「IRカジノ実施法案」は、現行法の解釈から「提出時期4か月遅れの法律違反」となりますが、予定の「3月上旬」は過ぎました。

 13か月以上続く、森友学園・国有地売却の公文書ねつ造疑惑のおおもと、国家戦略特区法の「改正案」はもともと「3月中旬」でしたが、閣僚交代の噂や、ここ5年間でもっと緊迫した政局となって、今週を迎えました。

 「成年被後見人の権利の制限に係る措置の適正化を図るための関係法律の整備に関する法律案」と「法務局による遺言書の保管等に関する法律案」も遅れがち。「遺産分割に関係した、民法及び家事事件手続法の改正法案」もまだ閣議決定していません。

 「HACCP(ハサップ)を法律化する食品衛生法改正案」と「医療法及び医師法改正案」もまだ。

 以上10法案が閣議決定できていません。

 自民党国対は通例3月上旬まで、としていますが、今週でも3月中旬ですし、特区法改正案は「3月中旬」とはじめから指定していました。閣僚交代があっても、閣議そのものはすんなり通ると思います。

 話題の法案では、解散で廃案となった「水道法改正案」(196閣法48号)は先週金曜日、3月9日に閣議決定され、国会に再提出。

 きょねん、「件名・要旨調」に載りながら、唯一提出できなかった、「健康増進法改正案」(196閣法47号)も、与党政調の事前審査で骨抜きになりながらも、1年以上越しでの提出にこぎつけました。

 おととしからニュースで話題になり、自治体経営の公設市場廃止かとの観測まで報じられた「卸売市場法改正案」(196閣法40号)ですが、穏当な内容で、先週火曜日、6日に提出されています。

 条約承認案の10件は、先週金曜日にすべて提出済み。

 ただし、「TPP11条約の承認案」及び「TPP12国内実施法の施行日を前倒しする法案」が提出されるのは確実。政府は「検討中だ」と件名・要旨調に載せていました。内閣府、警察庁、環境省が1本ずつ「検討中」としており、委員会の状況や、延長などのようすを見て、提出をうかがうことになりそうです。

 きょねんの衆議院の区割り法や天皇退位等特例法のような、事前調整型の閣法が連休後に出ることはなさそう。

 しかし、「働き方」「特区」「IRカジノ実施」「民法18歳成年」「TPP11」と、ずいぶんと重要な法案がずれ込んだまま、目安となる、3月中旬を迎えた、霞が関・永田町となりました。第196回通常国会で採決まで間に合うかどうかは、きょう現在はまったくもって不透明、というのが最も正直な表現でしょう。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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