宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。

【今日の国会まとめ】「賛否割れ」批判を慮ったのか今国会の「野党提出の修正可決」で「ハーグ」が衆法務委通過、衆・本では政府案と野党法案並べて「セクハラ」審議入り、参先議4法案すべて可決し衆へ

2019年04月12日 18時23分21秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

(初投稿は午後2時半)

 衆議院法務委員会では政府原案を修正すべきだとの審査結果が今国会初めて出ました。衆議院本会議では政府原案と対案が同時に審議入りしました。一般法案のシーズンにふさわしい展開になりつつあります。対決法案が無いから、衆議院で与野党修正ブームがおきる、という展開が、なきにしもあらず、ということになるかも。

【衆議院法務委員会 平成31年4月12日(金)】

 「政府原案を修正すべきだ」との審査結果が、今国会初めて出ました。

 「ハーグ条約国内実施法改正案」(198閣法28号)は前回に質疑を終局していました。その後、5会派の理事が協議。修正案が理事会でまとまりました。

 修正案は階猛さんが2段階で提出。まず「法律案のタイトルを変更する」とするとしました。異論なく、続いて「令和元年5月1日以降に(国会で成立し)公布しても、平成31年改正法と称さなくていい。法務省は想定しなかったのか」と批判しました。

 採決はまず、修正案を全会一致で可決。この後、政府原案を全会一致で可決。これに「修正すべし」と衆・本会議に報告されます。今国会は、立憲と国民で賛否が割れることがあり、前日の野党実力者の記者懇談でも「なるべく賛否が割れないようにしてほしい」との政局感が示されていました。立憲の山尾志桜里さんと国民の階猛さんは、東大野球部出身の弁護士という共通点があるので、ケミストリーが合ったのかも知れません。今後、衆議院側で修正ブームで政権担当能力を示そうという雰囲気が醸し出されるか。

【参議院本会議 同日】

 渡辺美智太郎さんの辞職が許可されました。みんなの党初当選で、自民党に移りました。自民党の比例代表で公認が出ていましたが、大量擁立や何らかの調査を見たのか、首長転出を図ります。

 本会議の採決では、政府が参議院に提出した、参議院先議の4法案が、きょう同日に一斉に採決されました。

 「司法書士法及び土地家屋調査士法改正案」(198閣法46号参先議)が投票総数232、賛成232、反対0の全会一致で可決し、衆議院に送られました。

 「航空法及び運輸安全委員会設置法改正案」(198閣法43号参先議)を投票総数231、賛成217、反対14の賛成多数で可決し、衆議院に送られました。

 「道路交通法改正案」(198閣法41号参先議)が石井委員長から報告され「矢田わか子さんが修正案を出した(が否決された)」とのいきさつが紹介されました。採決では、投票総数229、賛成215、反対14の賛成多数で可決し、衆議院に送られました。

 「特定農産加工等経営改善臨時措置法を5年延長する法案」(198閣法42号参先議)は投票総数231、賛成231、反対の0の全会一致で可決し、衆議院に送られました。

 これに先立ち、渡辺さん辞職の議題と、採決の間に、趣旨説明と代表質問がありました。参議院にとっては今国会で3本目の重要広範議案指定の、「幼保無償化に向けた、子ども子育て支援法改正案」(198閣法15号)。安倍晋三首相に対して、チルドレンファーストをかかげた民主党政権との違いが野党から指摘されました。改めて、数字をみたら、2011年以降に年2万人の出生が減り、ここまでで16万人の子供をまだ見ぬまま時間が過ぎてしまったのではないかと私は試算しました。外国人特定技能者の受け入れの方が、即効性があるというのが経団連の考えでしょう、サラリーマン社長の「任期」は向こう5、6年ですから。

【衆議院本会議 同日】

 政府原案と野党提案が同時に審議入りするパターンが今国会で初めて出現しました。

 政府提出の「女性活躍推進法改正案」(198閣法38号)と野党提出の3法案。「セクハラ禁止法案」(198衆法2号)、「男女雇用機会均等法改正案」(198衆法3号)、「労働安全衛生法改正案」(198衆法4号)

 大臣、立憲民主党の西村ちなみさんが趣旨説明と答弁をしました。自民党は当初からの予定でしょうが、高橋ひなこさんが登壇。おとといの政治資金パーティーで、桜田大臣から「復興よりも大事な高橋さん」と持ち上げられたことで、大臣更迭になりました。

 質問は、自民、立憲、国民、公明までの主要会派が女性議員でした。

 落としどころとして修正協議にもなっていくでしょうが、女性中心でやっていくことになるかもしれません。

【衆議院内閣委員会 同日】

 「ドローン規制法など改正案」(198閣法34号)が立憲・国民・共産の反対、自民・公明・維新の賛成多数で可決すべきだと決まりました。また、更迭された桜田さんに代わる鈴木俊一五輪相があいさつしました。

【衆議院外務委員会 同日】

 岡田克也さんが質問しました。これ書いた時点で内容は把握していませんが、心に正座をして拝聴したいところです。今週は岡田さんの祖父が、四日市商業高校生として友人5人と、行商しながら11日間かけて、東京に。憧れの人「渋沢栄一」さんと2分間会い、会話は無かったようですが、握手してもらえ、「この感激をいかにして伝えん」と書き残しました。戦後すぐにこのノートを読んだ岡田卓也さんは「渋沢翁との出会いが岡田屋の近代経営に結びついた」と、「私の履歴書小売業の繁栄は平和の象徴」に書きました。岡田克也さんはきのう「なぜ5年後のお札を今発表するのか」と発信や報道について苦言を呈し、野党のぬるま湯の中で気を吐きました。

 一般質疑が終わった後に、条約承認案3本が審議入りしました。「中央北極海無規制公海漁業防止協定承認案」(198条約3号)「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約承認案」(198条約3号)「難破物除去ナイロビ協定承認案」(198条約5号)が趣旨説明され、審議入りしました。質疑は次回。

【衆議院経済産業委員会 同日】

 「特許法などの一括改正法案」(198閣法32号)が可決されました。

【衆議院文部科学委員会 同日】

 鈴木俊一五輪相があいさつしました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「建築物省エネ法改正案」(198閣法27号)が趣旨説明され、散会しました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 「健康保険法改正案」(198閣法25号)の審議があり、共産反対、自民・公明・立憲・国民・維新の賛成多数で可決すべきだ、と決まりました。但し、くどいですが、マイナンバーを健康保険証にできることを、提出前日に日経新聞が報じるまで厚生労働省が世論に出さないようにした気配があるのは、残念。私が言いたいのは、さほど世論がマイナンバーに反発していないという世論を、厚労省が持っていなかったのではないか、ということです。

 そして、休憩。本会議散会後に、再開。

 統計不正をめぐる集中審議があり、総務省統計委員会との連絡などが問われました。

 最後に本会議でつるしがおりた、「女性活躍推進法改正案」(198閣法38号)「セクハラ禁止法案」(198衆法2号)「男女雇用機会均等法改正案」(198衆法3号)「労働安全衛生法改正案」(198衆法4号)が趣旨説明されました。

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