【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

午後4時から枝野代表・玉木代表の党首会談

2019年12月17日 13時08分56秒 | 第49回衆院選(2021年10月 岸田続投 枝野辞任)
 国民民主党は、きょう、令和元年2019年12月17日(火)の午後4時から、国会内で、枝野幸男立憲民主党代表と玉木雄一郎国民民主党が党首会談を行う、と発表しました。

 立憲、国民とも、支持団体を代表する幹部議員に異論があり、年内の合併には慎重論があります。参議院国民民主党と、立憲幹部との個人的な軋轢による感情論もくすぶり続けています。社会民主党も本部や県連で協議することになっています。

地方銀行合併を促す独占禁止法(独禁法)特例法案、2020年通常国会に提出へ 主導権は公取委ではなく金融庁か

2019年12月17日 11時01分49秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]公正取引委員会が入る庁舎、東京都千代田区霞が関、ことし2019年1月、宮崎信行撮影。

 「地方銀行の合併を促す独占禁止法特例法案」(201閣法 号)が、来月召集の通常国会に提出されるはこびとなりました。

 令和2年2020年2月下旬ごろに閣議決定されるとみられます。

 法案は、地方の乗り合いバス事業の合併を促す特例措置の法案と束ね法案になるかもしれません。

 これは、令和元年6月21日の未来投資会議が決定した「成長戦略実行計画」に盛り込まれた手順にもとづく政治日程です。該当部分はこの記事の末尾にコピペします。

 経緯としては、長崎県内の地方銀行の合併について、公正取引委員会が「貸し出しシェアが7割になり地域寡占だ」と審査に時間をかけたことに、不満が高まったことが立法事実につながった、と考えられます。

 「長崎県内7割寡占」の公取の主張。政府系金融機関、ネット専業銀行を考慮していないように思えます。そもそも、大企業には県庁所在地から営業マンが日参し低金利での貸し出しを提案するのに対して、小企業は自分が事業計画を支店に持っていき、相対的には高い金利で借りるのですから、この分野の格差は資本主義の定理。法令の作成・施行による是正はできるわけありません。

 公取はかなり歴史観や大局観がピンボケした役所だと思っていましたが、その後、委員長(財務省出身)がなんとかやってきましたが、ついに陥落か。安倍晋三首相も決裁している上述文書では「金融庁は地銀に対して是正を命じる。また、公正取引委員会は、金融庁に対して措置を講ずることを求めることができる」と、金融庁が全面に出て、成立した場合の法律施行にあたることが明記されました。

 もちろん、公取を批判したのは、その部分の担当部署だけの話ですし、私の認識が違う面も多いでしょう。公取は必要な役所ですし、長時間労働を是正して、読書でもしたり、他の省に出向したりするなどして知見を広げてほしいものです。

 法案は10年間で失効する「サンセット条項」が盛り込まれる見通し。

「未来投資会議」の「成長戦略実行計画」の該当部分の抜粋引用はじめ]


第4章 人口減少下での地方施策の強化
1.地域のインフラ維持と競争政策


地域銀行及び乗合バス等の事業者は、地域における基盤的サービスを提供
し、破綻すれば地域に甚大な影響を与える可能性が高い「地域基盤企業」とも
言える存在であり、その維持は国民的課題である。
他方、これら2分野の事業者は、現在、少子化、人口減少の中で、地域にお
いて、その経営が急速に悪化しており、インフラ機能維持のため、その経営力
強化が喫緊の課題である中、その選択肢として、経営統合や共同経営の実施が
見込まれる。
このため、こうした地域基盤企業に限定して、経営統合等に関して、特例的
な措置を講ずることにより、地域社会のコミュニティの維持を図るべきであ
る。その際、経営統合等から生じる消費者・利用者への弊害を防止し、経営統
合等の果実を地域のインフラ維持や経済発展に活用するなどにより、独占禁止
法の究極的な目的である「一般消費者の利益」の確保を達成することが不可欠
であり、公正取引委員会及び主務官庁のいずれの知見も最大限いかされるよ
う、両者の緊密な連携を前提とするものとする。
第一に、乗合バスは地域の足であり、高齢者の住民のためにも、その維持が
必要である。地方の不安な現状を訴える声は多い。典型的な例として、乗合バ
ス等の事業者について、共同経営等を認め、街の中心部における頻度の高い便
数の適正化を図れれば、その収入を調整することにより、低需要の路線を維持
することが可能となる。これは、地域住民の利便性向上につながる。地域にお
いて、関係者による協議会を設置することを前提にした、新たなスキームを実
現する。
第二に、地域銀行は、それぞれの地域において、7割から8割の企業のメイ
ンバンクとして、地域経済を支えている。業績が悪化すれば、貸出金が減少す
るなど、悪影響が預金者や借り手に及び、地域における円滑な金融仲介に支障
を及ぼすおそれがある。早期に地域銀行の事業の改善を図るため、経営統合に
より生じる余力に応じて、地方におけるサービス維持への取組を行うことを前
提に、シェアが高くなっても特例的に経営統合が認められるようにする。
これらの目的のため、特例法を設けることとする。


(1)現状
①乗合バス
公共交通が減少し、自家用車依存の生活を強いられることへの不安が特に地方で
顕著になっている(図51)。また、高齢者の免許返納が進む中で、乗合バスを維持
する必要性は増加している。特に、地方部においては、年齢が高くなるにつれて、
乗合バスを利用する比率が顕著に上昇している(図52)。
他方、乗合バス(一般乗合旅客自動車運送事業)の事業者の3分の2が赤字とな
っているが、特に、地方における一般乗合バス事業者の収支の悪化が顕著になって
いる(図53)。
要旨
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図54.地域銀行のメインバンクとしての役割

②地域銀行
地方銀行・第二地方銀行は、特に地方においては、7割から8割の企業のメイン
バンクとして、地域経済を支えている(図54)。しかし、地域銀行(地方銀行、第
二地方銀行及び埼玉りそな銀行)の貸出利鞘(貸出金利回りー資金調達利回り)は
低下し続けており(図55)、経営が悪化している。
図51.現居住地の将来的な不安(居住地別)
図52.地方部の移動手段における鉄道・乗合バス 図53.乗合バス事業者の収支状況(2017年度)
(%) の利用割合
42
他方、銀行はシステム費用などの多額の固定費が発生するため、規模の経済性
(スケールメリット)が働きやすい。すなわち、貸出の規模が2倍になっても、シ
ステム費用が2倍かかる訳ではない(図56)。このため、経営統合による経費削減
余地が大きく、経営統合は、銀行の持続可能性にプラスの効果があると推測される。
(2)対応の方向性
①乗合バス(及び乗合バスと競合する地域交通機関)
典型的な例として、街の中心部等においては、複数の乗合バス事業者あるいは乗
合バス事業者と競合する地域交通機関が乗り入れ、過剰に頻度の高い運行が行われ
ている。
これらの事業者間で共同経営等を認めることで、頻度の高い運行について便数の
適正化を図りつつ、その収入の調整を行い、低需要地区をはじめバスネットワーク
を維持することができれば、広範囲の住民全体の利便性が確保され、ひいては競争
政策の最終目的である一般消費者の利益確保が図られる。
乗合バス等については、従来より、地域公共交通活性化再生法に基づき協議会が
設置され、地域公共交通網形成計画の策定と実施が行われてきた。しかしながら、
同協議会の下であっても、具体的な運賃・料金、運行回数、路線等を事業者間で協
議することは独占禁止法に抵触するおそれがあるとされ、計画の策定・実施に障害
があるとの指摘もあった。このため、こうした協議会等の枠組みに基づく、乗合バ
ス事業者の路線、運行間隔、運賃等についての共同経営等の独占禁止法の適用除外
を図り、事業者や地域にとって明確な枠組みを整備する必要がある。具体的には、
(a)バス事業者等の間で運賃プールなど共同経営等を認めることにより、低需要
地区をはじめバスネットワークを維持すること、(b)このため、低需要地区をは
じめバスネットワークのサービス維持を共同経営等の認可の条件とし、認可後に条
件が満たされない場合、共同経営等の認可取消し等を可能とすること、(c)関係
事業者側にとって、これらのルールの予見可能性が確保されていること、が必要で
ある。
この際、事業者間で、連携した取組を行うことによって、基盤的な運行サービス
提供がネットワークとして確保されることが可能となる地域を対象とした地域公共
交通活性化再生法に基づく協議会が設置されることを前提にする。
図55.地域銀行の貸出利鞘の減少
(注)図は、地方銀行・第二地方銀行・埼玉りそな銀行
についてのもの


(注)図は、地方銀行・第二地方銀行・埼玉りそな銀行
についてのもの


図56. 地域銀行の営業経費と貸出残高
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その上で、対象とすべき区域、地域全体の利便性維持・向上の計画、確保すべき
サービス内容の目標を複数の事業者間で設定することにより、多様な地域の実情に
応じて、地域住民の利便性が確保される制度とする。
計画の対象とする区域は、事業者間で便数の適正化等を図る区域のみならず、そ
れにより運行が確保される山間部等の不採算路線を含んだネットワーク全体の区域
とし、共同経営等の認可要件としては、周辺部の不採算路線を含むネットワーク域
内全体でみて、事業収支が赤字で、共同経営等を行わない場合、周辺部の運行サー
ビス提供が困難になると予測される場合等とする。


②地域銀行
地域銀行は、地域において重要な役割を担っており、人口減少社会においても、
そのサービスを適切な形で維持する必要がある。
地域銀行の業績悪化の状態が今後継続すれば、貸出金が減少するなど、悪影響が
広範な預金者や債務者(借り手)に及ぶ。特に、地域金融においては、金融機関が
債務者との信頼関係を構築し、これを基礎に与信判断や経営支援を行っているため、
十分な金融仲介機能が発揮できなくなるおそれがある。
このため、業績悪化により当該銀行が業務改善を求められており、この状態が継
続すれば、当該地域における円滑な金融仲介に支障を及ぼすおそれがある場合に限
定して、早期の業務改善のために、マーケットシェアが高くなっても、特例的に経
営統合が認められるようにする。
すなわち、
(a)経営統合を行おうとする金融機関が金融庁に対して、特例法に基づく独占禁
止法適用除外の申請を行う。申請があった場合、金融庁は、特例法の以下の要
件に該当するかについて確認し、その要件該当性について公正取引委員会に協
議を行う(申請が行われない場合は、通常の独占禁止法に基づき、審査が行われる)。
(b)申請案件が以下のⅰ)~ⅳ)について主に金融庁、ⅴ)について主に公正取
引委員会が審査を行い、いずれの要件も満たされる場合には、適用除外の認可
を行う。
ⅰ)人口減少等により、地域において中小企業等の顧客向け貸出・手数料事業に
対する持続的な需要の減少が見込まれる状況にあり、その結果、地銀が将来
にわたって当該地域における当該事業の提供を持続的に行うことが困難とな
るおそれのある地域であること。
ⅱ)申請者の地銀が継続的に、当該事業からの収益で、当該事業のネットワーク
を持続するための経費等を賄えないこと。
ⅲ)経営統合により相当の経営改善や機能維持が認められること。
ⅳ)上記ⅲ)の結果生じる余力に応じた地域経済への貢献が見込まれること。
ⅴ)経営統合が(競争を減らしても)利用者(一般消費者)の利益に資すること。
(c)金融庁は、ⅰ)~ⅳ)の要件を満たす場合には、公正取引委員会に協議を行
い、ⅴ)の要件該当性を含めた公正取引委員会の意見を尊重する。
(d)認可後に、上記ⅰ)~ⅴ)の要件に適合するものでなくなったと認められる
ときは、金融庁は地銀に対して是正を命じる。また、公正取引委員会は、金
融庁に対して措置を講ずることを求めることができる。
③特例法の対象範囲の限定
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特例法の対象範囲については、地域における基盤的サービスの提供を担っており、
経営統合や共同経営による経営力強化の効果が大きいことが見込まれ、かつ主務官
庁が経営統合や共同経営を実施した後の行動を監視・監督できる分野に限定するこ
とが必要であり、当面、上記2分野に限定する。本施策については、10年間の時限
措置とする。
また、2020年の通常国会に特例法の法案提出を図る。
④その他
金融分野については、利用者の利便や地域経済の維持・発展を図る観点から、新
たなテクノロジーを活用した異業種を含む新規参入を促進するための規制改革など
の他の政策手段についても併せて検討する。
今後、県域を越えた地域金融の金融行政の在り方については、将来的に、独占禁
止法との関係も含めて、検討を行うこととする。

[抜粋引用おわり]