【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

先の国会で成立した改正気候変動適応法で「熱中症アラート」初発令、大久保公園の立ちんぼも黒ずくめで路上に立つ

2023年07月10日 20時08分09秒 | 法律の執行状況
[写真]熱中症アラートが発令された摂氏35度の東京・新宿歌舞伎町の大久保病院・大久保公園の立ちんぼの方々を取材する筆者・宮崎信行、きょう午後。

 先の国会で審議された「改正気候変動適応法」(211閣法32号→令和5年5月12日法律23号)の「熱中症アラート」条項がさっそく施行されました。

 環境省は、きょう2023年7月10日、「熱中症警戒アラート」を出しました。


[画像]きょうの「熱中症アラート」発令中の環境省の熱中症予防情報サイト、環境省ウェブサイトからスクリーンショット。

 改正法は、溶け込んだ後の新・気候変動適応法で

 「第十八条 環境大臣は、気温が著しく高くなることにより熱中症による人の健康に係る被害が生ずるおそれがある場合として環境省令で定める場合に該当すると認めるときは、期間及び地域を明らかにして、当該被害の発生を警戒すべき旨の情報(第二十条において「熱中症警戒情報」という。)を発表し、必要に応じ放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(次条第一項において「報道機関」という。)の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。 」

 という条項を入れました。

 既にこの条項は施行しているため、きょうの「熱中症アラート」は法的根拠があるものとしては第1号となったようです。環境省のウェブサイトを見たところ、メールマガジンサービスもあるようです。

 国会クラスタの中には実際に審議を聞いていたものが、きょうのニュースで目に見える形で執行されたという印象がある人もいるのではないでしょうか。

 これを受けて、きょう午後の摂氏35度を超えた時間帯の、東京・新宿歌舞伎町の「大久保病院・大久保公園前」で「交縁」の客引きをする女性「立ちんぼ」の方々も黒づくめの格好で、暑さをしのいでいました。


[写真]熱中症アラートが発令された摂氏35度の東京・新宿歌舞伎町の大久保病院・大久保公園の立ちんぼの方々を取材する筆者・宮崎信行、きょう午後。

 トー横キッズ(トー横界隈民)たちは、とくだん熱中症対策という感じはせず、路上で寝ている人もさほど影響はないという風情に思われました。

[写真]熱中症アラートが発令された摂氏35度の東京・新宿歌舞伎町の「トー横」広場のトー横キッズ(トー横界隈民)の方々を取材する筆者・宮崎信行、きょう午後。

 大久保公園の立ちんぼがホストクラブの未払金(売掛金)を工面するためだというのは事実ですが、中には、生活が苦しい女性が、客を選べる立ちんぼを昼から終電まで繰り返している実態はあります。私はこどもがいないので分かりませんが、7月10日(月)の午後というのは学校の授業があると思いますが、トー横キッズたちも思い思いに仲間づきあいを楽しんでいるようでした。なお、世間的に「キッズ」と呼ばれる年代から呼称に違和感があるとの一部世論があり、「トー横界隈民」という表現が広がりつつあります。

●あす(7/11火曜日)の立憲民主党の動き
 閉会中ですが、国対ヒアリングが熱心に開催され、「マイナ保険証」ヒアと「統一教会ヒア」がともに開かれます。後者は共産、社民も含めた野党合同です。

 以上です。

衆議院憲法審査会は「フランス・アイルランド・フィンランド」で緊急事態条項と同性婚、前回は「ウクライナ等」

2023年07月10日 06時53分06秒 | 国際
[写真]国会議事堂、4年前の2019年、宮崎信行撮影。

 衆議院憲法審査会の森英介会長(自民)、新藤義孝・自民党筆頭幹事、中川正春・立憲民主党筆頭幹事、公明党の浜地雅一さん、衆院会派「有志の会」の北神圭朗さんの5名がきのう令和5年2023年7月9日から19日にかけて海外視察。

 フランス・アイルランド・フィンランドを訪問。緊急事態条項と、アイルランドでは「同性婚を認めた改憲」について視察する予定です。

 前回の視察は、3年半前、令和2年2020年2月で、ドイツ、ウクライナ、リトアニア、エストニアを訪問。きょねんからウクライナが世界で最も注目される国となりました。これを受けて、きょねん、公明党の北側一雄さんが、ウクライナ憲法の緊急事態条項を、国際報道ではゼレンスキー大統領ばかりだが、同国ホームページで連日更新される戦禍のキーウの国会審議を、グーグル日本語翻訳で読むよう促しました。数週間、超党派で議会人としての感動に包まれました。しかし、立憲民主党の中川正春さんが「憲法とは、日本がウクライナにならないようにするための安全保障ではなく、国内にプーチン・ロシア大統領が生まれないようにする立憲主義が先だ」と的確な指摘。参院選前に「ウクライナ国会熱」は冷めました。

 ところで、フランス憲法について、筆者のずっと気になっていた私見を述べたいと思います。

 フランス憲法第36条。フランス共和国政府ウェブサイトでは、

 「L'état de siège est décrété en Conseil des ministres. Sa prorogation au-delà de douze jours ne peut être autorisée que par le Parlement.」

 となっています。日本語に訳すと、「戒厳令は閣議によって布告される。12日間経過後の戒厳令延長は国民議会のみが許可することができる」となります。

 「12日間経過後」と期限があります。自民党の憲法改正草案(現在は未提出)の緊急事態条項には期限がありません。フランス革命の「私有財産の恒久的・絶対性」は見直し規定こそついていますが世界の民法の基本です。「利息で食べている」工場経営者や資本家からすれば、自民党議員が期限の概念を持っていないのは、検察官が拘留期限で利息の概念を持たずに決定していること同様にありえない話です。

 新藤筆頭幹事は埼玉県川口市内の地代収入がとても多いので、これを機に、自民党憲法改正草案では緊急事態条項に必ず期限の概念を取り込むようにしていただきたいものです。

 以上です。