[写真]およそ30年前の選挙制度改革で国会でも参考人として意見を述べた西平重喜教授(国立統計数理研究所名誉所員)=右、1994年1月、東京・西早稲田で。
衆・政治改革特別委は、参考人質疑を経て、あすの理事懇から修正協議がスタート。
西田昌司さんは、今から13年前の国会で、前原誠司外相の「オモニ献金」月5000円・年6万円を違法だとし、3・11直前に辞任に追い込む「お手柄」。ところが、西田さんは、京都自民党支持者からこっぴどく叱られたそうで、その後、政治資金規正法の質問は封じました。今国会で、安倍派裏金では自ら望んで政倫審に申し立て弁明しました。目に見えないお金の話の中で、西田さんの態度は、少なくとも嘘はついていないだろうと信頼できるものでした。洗濯されたクリーン西田は、同じ党の仲間である財務大臣に対して、60年償還ルールの廃止と「令和8年度以降の特例公債法案」は不要なのではないかと正論を主張しました。
【参議院決算委員会 きょう令和6年2024年5月27日(月)】
「令和4年度決算承認案」は准総括質疑で、次回は総理・テレビ入りとなります。
きょうは並んで「令和4年度予備費使用総調書」(衆議院先議)も財務大臣から趣旨説明され、審議し、採決しました。
西田昌司さんは、裏金は語らず、国債を質問しました。西田さんは財務省の資料に「国債の償還財源は借換債だ」と明記しており、世代間格差については、国債保有層は利息を得られるのに対して、非保有層は税金・社会保険料で穴埋めさせられるから、貧富の格差が再生産されるという趣旨の記述があるとしつつ、国民が保有層と非保有層に分けられるものかと疑問を呈しました。
西田さんは「資料の中で、望ましくない再分配という項目があるんです。これもまたすごいこと書いてるんですね。将来世代のうち、国債保有層は償還等を受けられる一方で、それ以外の国民は、社会保障関係費等の抑制や増税による税負担を被ることになりかねない、と書いてある。これいったい、この国債保有層って、誰のことなんですか」としました。財務省は「ご指摘の国債保有層ですが、この資料におきましては、直接的に市中に流通する国債を保有する個人や金融機関、海外投資家等の他、金融機関に信託財産などの一定資産を預けることなどを通じて間接的に国債を保有している方をあわせて国債保有層としています」などと、複数の局次長が答弁しました。
禊が済んだ西田さんは「あなた」と常套句を持ち出し「分からないね。あなたの今の話を総合するとね、銀行に預金する人が国債保有層で、そうでない人は非保有層。そういう意味ですか」「預金持ってない人っているんですか」「あなたの話を聞いて納得している人をこれ誰もいないと思いますよ」と畳みかけました。
西田さんの問いに対して財務大臣は「国債が満期を迎えた場合、その償還金は国債を保有する一部の個人や金融機関、海外投資家等に支払う一方で、将来のいずれかの時点においては、増税や社会保障給付費の抑制等といった形でご負担いただくこともありうる」「現状におきましては国債の償還財源は借換債であるという点について、これはもう西田先生がこれまでもいろいろところでご指摘をされている通りでありまして」「償還財源として借換債ではなく国民の税金等を当てるような局面に至った場合には、このような現象が生じうると考えておりまして、現在の記述が誤りであるとは言えないのではないかと考えております」と答弁しました。
予備費の審議はきょうだけで終わり、自公などの賛成多数で「承諾を与えるべきものだ」と決まりました。
討論では立憲の徳永エリさんが「コロナ物価高予備費については合計で9・8兆円が計上されておりますが、国会の事前決議の例外である予備費の規模としては極めて異常で許容しがたいものがあります。また、結局その不用額は2・7兆円にのぼり、これに一般予備費と使用実績のないまま終わったウクライナ予備費の不用額を加えると約4・2兆円という常軌を逸した規模となります。これではやはり防衛財源となる決算剰余金を確保するために、意図的に不用額を増大させたのではないかとの疑念を抱かざるを得ません」と強く批判しました。
令和4年度予備費に関してはさすがに維新も激しい政府批判に同調しました。梅村聡さん(第50回で大阪5区に衆転)は「政府は、令和2年度予算以降、憲政史上例のない多額の予備費を計上し続けてきましたが、4年度の予備費はさらに拡大し、合計で過去最大の約11・8兆円となりました。年度の支出の1割近くが自己承認で支出可能となるのは前代未聞の事態であり、例外としては課題と言わざるを得ません。一般会計のうちの予備費の割合で見ても、戦後最悪の有効求人倍率を記録した平成21年度の当初予算が1%強であったところ令和4年度は8%を超えて過去最大となりました。これらのデータは当初予算や補正予算で計上すべきものが莫大な予備費として計上されてきたことを示しており、この規模について速やかに検証がなされるべきです」としました。また、過去に熊本地震補正予算などで財務省が繰り返したテクニックである「予備費を使用しない見通しが立ったのであれば、それを補正予算の財源とすることもでき、実際に過去多くの会計年度において予備費は補正予算の財源とするために一定額が減額されています。予算の多くを国債の発行に頼る中、莫大な予備費を計上し、年度末に多額の剰余金を出すのは、見積もりが甘いと言えます」とし、予備費減額・メニュー増額の補正をするというテクニックすら弄しなかった与党・財務省をなじりました。
国民民主党の竹詰仁さんも「新型コロナウイルス感染症及び原油価格物価高騰対策予備費として9・8兆円という巨額の予備費を計上したこと自体も、問題として指摘しなければならない」とし「会計検査院からも厳しい指摘が複数あり、賛成できるものではありません」と述べました。
【衆・政治改革特別委】
「213衆法13・14・15・16・208衆法48号」の参考人質疑がありました。
筆者が何度も思い出すように、1993年4月の火曜日、大学2年生の政治学部生の立場で、日本の社会統計学の父ともいえる西平重喜・教授から「5月に国会の参考人の予定があり、その日は休講せざるをえないので、それに承服できなければ、履修を登録しないでほしい」と言われました。西平さんは上智大学の所属で、早稲田大学では非常勤の立場でした。そして、5月の火曜日、「熱病」とも言われた政治改革ブームの中、参考人として国会で意見を述べる姿を「NHKニュース7」で見ました。高卒の両親のもと、6歳から英語塾に通い、中学受験をし、14・15歳でアメリカに留学した恵まれた教育歴を持つ私にとっては、まさに「三四郎」のような思い出です。
当時は「選挙制度」という目に見えるものでしたが、今回は「政治資金」という目に見えないものなので、世論はあまり盛り上がりはしません。西平さんは100歳を超えた今もご健在で、「小石川で見た昭和16年の秋も、急に世論が変わったので、要注意」と長野の叔父と同じことを言われており、どの党派に風が吹こうと、世論の極端な変化は望ましくないと考えます。
きょうの参考人質疑を経て、あすは理事懇のみとなります。これは修正協議を始めるという与野党の合意のようです。
●衆・厚生労働委の理事懇が開かれました。
以上です。