宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

吉村洋文知事の指名だけで身分保障された前原誠司氏「年45・7万円」プログラムだけでまさの無修正予算通過もありうる混沌、自公国「壁」今年第3回の協議の延期が決まり交渉決裂も

2025年02月20日 17時29分19秒 | 第217通常会 2025年1月召集
[写真]黒いマスクを覆った前原誠司氏、3年前の2022年5月、三重県で、宮崎信行撮影。

 前原誠司氏の権力権威は、吉村洋文知事だけによって与えられたもので、有権者も国会議員団員もその地位、身分を奪えないので困ったものです。高校就学支援金を年45・7万円に引き上げることを骨太の方針に書き込むかプログラム法案にまとめるかするだけで、「高校授業料無償化」として政府原案通りに成立してしまう公算も出てきました。

 国民民主党の古川元久代表代行は、自公国の今年3回目の税調会長協議に臨む予定でしたが、延期されました。古川さんの(1)基礎控除に所得制限を設けない(2)ガソリン税暫定税率の4月1日廃止ーーを実行すると「103万円の壁」が「160万円の壁」になりますが、このまま決裂するかもしれません。

 自公と重徳・城井・後藤・奥野さんの「3・8兆円の修正フレーム」(前提税率廃止1・5兆円を含み)の協議も、自公は全省庁にヒアリングしたとしましたが、具体的な提案を返す協議の予定はまだ立っていません。

 ですから、自公維で原案通り成立するかもしれません。

 今回の政局はスーパー国対委員長として全体を見回している野田佳彦・立憲民主党代表が主導権を発揮しそうです。

【衆議院予算委員会】
 「令和7年度予算案」は13日目で一般的質疑8日目。立憲の高額療養費をめぐっては不妊治療の当事者の声も加わっており、あすの立て直しの集中審議で当事者議員の酒井なつみさんがスライド登板します。

 中居正広さんが引退したフジテレビ「上納」問題に時を同じくしてオンラインカジノをめぐり吉本興業で警察の任意の事情聴取を受けた有名芸人が相次いで休業しており、メディアの王様である地上波テレビが大きく揺れています。

 本庄知史さんと村上誠一郎総務大臣のやり取りがありました。本庄さんは岡田克也代議士の政策担当秘書19年、村上さんは岡田さんと東大法学部のクラスメートで、村上さんの妹が岡田さんの奥さんという浅からぬ仲です。ところで、本庄議員は初当選直後から「第2議員会館の最上階」に入居しており「第1議員会館の5階」の岡田事務所から物理的に最も遠いフロアで執務しています。三重の立憲の福森わか子さん、下野幸助さんは全員「第1の5階」に入居しています。

 それはさておき、本庄さんは「オンラインカジノもサイトブロックすべきだ」とただしました。村上総務相は「本庄さんも法学部出身でいらっしゃるからよくわかると思うんですが、SNSの規制について違法性のラインをどこで引くかってことなんですよね。局長が答弁してるのは、児童というのは完全に公序良俗違反だから文句なしにシャットアウトできるだろう。ただオンラインカジノは、危険性を排除しながらどうするかということをですね、(総務省は)考えているんじゃないかと私は思います。ただおっしゃる通りなんで、私もこの大臣になるまでは、この問題について知らなかったんで早急に対応するように一生懸命努力させますんで、ご理解いただきたいと思います」と述べ、論点の整理を始めることを明言しました。

 八潮市の下水道管陥没事故、コメの新参民間業者による価格高騰も複数の議員から質問が出ました。あすは午前8時55分から。

【衆議院総務委員会】
 「地方税法改正案」(217閣法2号)と「地方交付税法改正案」(217閣法3号)の法案審査1巡目。最後に、立憲単独の修正案が提出され(1)防衛増税の停止(2)ガソリン暫定税率の4月1日廃止ーーを求めました。次回は25日(火)9時。

【衆議院政治改革特別委員会】
 朝9時半に提出された「公選法改正案(ポスター品位規定)」(217衆法9号)と「公選法改正案(ポスター規格統一)」(217衆法10号)が即時付託で、趣旨説明されました。次回の25日(火)午後1時半から質疑へ。趣旨説明した大野敬太郎さんによると内容は、217衆法9号が、東京都知事選を教訓にポスターに候補者名の記載を法定化し、宣伝などを禁止し違反した場合は罰則として100万円以下の罰金を処するとした内容です。217衆法10号は、各級選挙のポスターで「個人演説会告知用」として認められていたものを廃止し、縦42センチ以内・横40センチ以内の統一する内容です。

 これに先立ち、参考人の質疑がありました。「2馬力選挙」「SNS」「ポスター品位」について体験談が語られました。都選管からは選挙課長が出席し、現職地方公務員が国会で意見を述べる異例のケースとなりました。地方公務員法に基づき知事に職務専念義務を外してもらって出席したとみられます。兵庫県選管は委員長が出席しました。
 
 兵庫県選管委員長は「失礼いたします。大変お騒がせをしております兵庫県でございます」と緊張感ゆえしかたないですが間が抜けたようにも感じられる切り出しで「先般の兵庫県知事選挙は、SNSを中心にインターネット上で激しい選挙運動が展開をされました。これが投票率の向上に大きな影響を与えた一因と考えられます」「その一方で、候補者が他の候補者の当選に資する選挙運動を行っているとの疑念を抱かれるせる事案であるとか、支援者による他候補者への誹謗中傷とか真偽不明の情報の拡散などが見られる状況が発生するなど、現行の公職選挙法は当初想定していないと思われる事象も生じた」とし、法改正の必要性を述べました。

 兵庫県選管委員長は、斎藤元彦知事の再選を呼び掛けた立花孝志さんを念頭に「特に自らの当選を目的としない候補者による他の候補者の当選率する選挙運動、いわゆる二馬力選挙というふうに言われておりますが」「私どもといたしましては、候補者の選挙運動の全てを把握しているものでもないものですから、個別具体的にどの選挙運動が他の候補者の当選にする行為となったのか断定するということはできません」「しかしながら、現行の公職選挙法では、選挙の公正、候補者間の平等を確保するために、選挙運動期間中に行われる文書図画の配布であるとか、展示その他の選挙運動について一定の規制が行われているところでございます。こうした数量制限を規制している法の趣旨が忘却されて、候補者間の平等を確保できないものとなってしまいます。こうした問題意識を踏まえまして、私どもといたしましては、先月17日に二馬力選挙について、これを規制するような法の整備を国に求める要望書を行ったところでございます」と述べました。

 SNSについては「知事選挙におきましては、SNSを中心にインターネット上で激しい選挙運動が展開をされ、真偽の不確かな情報も含め、様々な情報の拡散が見られました。こうした状況の中、情報の真実性が容易に判別できず、何を信じて、誰に投票すべきか判断に迷った有権者も少なくなかったというふうに思われます。実際に私どもに対しては、こうした情報が氾濫し、統制が取れない状況について数多くの意見やご批判をいただいたところでございます」と述べました。続けて「インターネット上でのあふれる候補者等に関する情報について、選挙管理委員会としてファクトチェックを行うことは現実的には困難であるというところでございます。また私どもに対し、誹謗中傷や真偽不明の情報について、名誉棄損罪や虚偽事項公表罪に当たらないのか。との問い合わせも多くをいただきました。罰則の適用に関する話ですので、私ども選挙管理委員会ではなく、警察の権限の話になりますが、選挙期間中の限られた短い時間の中で、事実確認をして認定するというのは、警察におきましても対応は困難だった」と述べました。

 最後に「今回の兵庫県知事選挙で問題となっている点につきましては、大変僭越ではありますが、やはり現行法では限界があり、所要の法整備が必要となるのではないかとこのように考えているところでございます」と締めくくりしました。

【参議院】
 きょうはありません。

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Ⓒ2025年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki、宮崎機械株式会社。

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