【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

一人が考えて一票を投じる教は邪教だ

2016年07月17日 13時33分45秒 | 第24回参院選(2016年7月)

 「一人一人が考えて一票を投じる教」は邪教です。

 選挙サンデーだった3日付朝日新聞。1949年生まれ団塊の世代の北海道、無職男性。「友人の話はこうだ。支持する候補者に投票してほしいとある人に頼んだ。すると、選挙区はほかに頼まれた人がいる。比例代表なら良いがと言われた。別のところでは、私、○○党の人からも頼まれていると言われた。これってどう思う?頼まれたからで投票先を決めてよいのだろうか」。

 北海道はこうやって働きかけをしている人がいるから、選挙区改選定数3で、努力は人を裏切らない、鉢呂吉雄さんが初当選し、既に当確だった徳永エリさんがかけつけるような先進的な民主主義ができているのでしょう。

 5日付読売、1960年生まれ、ケアマネジャーの東京都女性。「英国のEU離脱が決まった。熟慮せず、若者の未来をきめてしまったとの意見もあり他人事ではないと梶田。自分の大切な1票が未来を決める。様々な情報を集め、誠実に仕事をする人を選んでいただきたい。 

 たったの1票が未来を決めません!それと、衆院選ではない参院選ですが、人ではなくて党に投票します。

 最悪な例。1949年生まれの団塊の世代、岐阜県、木工業男性は「参院選では団塊の世代の良心と知性を傾注して、主権者としての1票を投じたい」。

 これは冗談で投稿したんでしょうか。

 7日付読売。1952年、神奈川、男性。「気に入った候補者がいないから、投票に行く気がないという声を聞きます。誰にとってもベストな政党や候補者など存在しないと思います。だからといって棄権するのではなく、ベターな選択をすればいいのです」。

 これはこの選挙戦通じて、私の政治思想にもあう素晴らしい投書でした。

 ただ、「1人が考えて1票を投じる教」の信者が読者投稿の9割でした。

 なぜ、日本はそんな情けない国になってしまったのか。

 ヒントになる投書があります。

 1960年生まれ、北海道、男性、高校教員。「18歳になった我が娘へ。ふだん教えている生徒には選挙に行くよう呼びかけている父ですが、遠く離れて暮らす自分の娘には、何も話さなかったことを反省しています。あなたにも学ぶ場を東京に求めた行動力があります。ぜひ、選挙に行ってその思いを一票に託してほしいと思います」。

 38歳で生まれた娘さんなのに親元を離れて思いが募っているのでしょう。しかし、東京で大学ないし専門学校に通う「行動力」と思いを1票に託すことが何の関係があるのでしょうか。「1票を託す」ことが「インテリの尊いことだ」という歪んだ価値観。父ならば、娘にせめて、「比例代表は民進党へ」と伝えるべきです。

 明るい選挙推進協会の過去の調査では、投票日までに誰からも投票依頼を受けていない人は、5割強います。むしろ、年収1000万円の大企業中間管理職の方が、投票依頼を受けていないのではないでしょうか。教育現場での「1人1人が対等の立場で議論する」ことは大事です。しかし、それは訓練として大事なのであって、実社会では対等な立場で議論する場は皆無です。例えば、社長室のドアは常に開けているという社長はよくいます。では、対等な議論をしようと社員が社長室に行って、社長が応じたとします。が、非喫煙者だと思い込んでいた社長がパイプに火をつけたり、ライオンのぬいぐるみを抱えながらソファに座ってきたら、対等に議論する心の余裕は無いでしょう。

 1人1人が考えて1票を投じる教は、複雑な制度である参議院議員通常選挙ではとくに通用しません。前にも書きましたが、明るい選挙推進協会の調査で、「投票は国民の義務である」という誤った回答が7割を占めた驚愕の調査がありましたが、その後是正されました。第24回参院選では、SNS上に「戦略的投票を」という言葉が流行りました。とくに、東京都選挙区で、我が党の小川敏夫候補が苦戦し、最終的に改選定数6の最下位で当選させてもらいましたが、市民の党が擁立した三宅洋平さんというミュージシャンに非改憲勢力が流れ苦戦しました。ただ、こういったことはSNSでも指摘されていました。ただ、我々のひっしの小川候補への投票依頼が功を奏したのだと考えます。

 希望の投書を一つ。 

 2002年生まれ、神奈川、中学生、女性。「学校で選挙についての授業が始まるのを前に、選挙関連のビラや新聞記事などを集めるという宿題が出ました。それまで私は選挙に興味がありませんでした。しかし、参院選が始まって駅前などで演説をしているところでもらったビラや、新聞の記事を読むと意外に面白く、興味が湧いてきました。どの政党を支持したいかも、何となく考えるようになりました。選挙権年齢の引き下げによって、あと4年で私も有権者です。責任ある1票を投じられるように、今からしっかりと勉強したいと思います」。

 ぜひ、1票を投じるだけでなく、説得力ある投票依頼ができる人間になってほしいものです。

 グローバルマネー資本主義が、民主政治を根こそぎ押し流そうとしています。

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