[画像]2013年8月末時点での東京電力福島第一原子力発電所における汚染水問題への対策、経済産業省資源エネルギー庁資料=民主党を通じて入手。
2013年9月18日付朝日新聞1面ワキは「福島第一 東電、破綻を懸念 遮水壁、2年前見送り」の見出しで、馬淵澄夫・総理補佐官(当時)が2011年6月に、遮水壁(海側、陸側)で原発1号~4号機の地下を鋼鉄製の遮水壁で囲い、「永久凍土方式」にすることを要求したところ、東電が「1000億円の費用がかかり、債務に計上すると、市場から破綻の心配がある会社だとみられる。6月末には株主総会もある」として拒否。そのうえで、経済産業省の海江田万里大臣に対して、「着工時期や費用は不明で、年明け以降の中長期的課題だ」と記者会見するよう要求していたと報じました。
[画像]2013年9月18日付朝日新聞1面。
これに関して、筆者がインターネットで調べたところ、次の海江田大臣の記者会見での発言がそれに該当した部分とみられます。
[経済産業省ホームページから引用はじめ、太字・色付けは筆者]
海江田経済産業大臣の閣議後大臣記者会見の概要
平成23年6月28日(火)
10:14~10:39
於:記者会見室
(中略)
Q: それから、今、細野さんが特命担当大臣になられたということも含めて、自民党から浜田さんを総務省の政務官のほうに引き抜いたり、それから馬淵さんなんですけれども、総理補佐官を外れて、これまで放射性物質の飛散対策をやられていたのがどうなるかとか、その辺の今回の改造全般についての感想といいますか所見をお願いします。
A: 人事は総理の専権事項でありますから、私からあれこれ言うつもりはございません。その上で、馬淵補佐官については、これまでも特に中長期的な対応ということで、大変貴重な尽力をいただきまして、それが先だって特に地下水と原子力発電所との遮蔽についてのレポートもまとめていただきましたので、それを参考にこれから細野大臣と私との間でしっかりと行っていきたいと。
それから、また機会があればこれからも馬淵さんには貴重な提言もいただきたいと思っておりまして、その意味ではこれまでどおり粛々と原子力事故の収束に向けてお互いが力を合わせて協力をしていくということでございます。
それから、私の仕事として、これからいよいよ原子力事故の損害賠償の機構の法律が国会で議論されることになると思います。それは先ほどの細野大臣との所掌の関係で言えば、私が全面的に責任を負うということでありますので、そこに力を入れていきたいというふうに思っております。(後略)
[引用おわり]
このくだりを読むと、馬淵さんは更迭され、細野豪志さんに担当を代えられたように思えます。
この感情的な対立が政権最交代後の第17回民主党代表選で、海江田vs馬淵の一騎打ちになり、社会党・第1次民主党が擁立した海江田さんが当選し、細野さんを幹事長に任命したように思えます。
海江田さんは2013年9月10日の記者会見でも永久凍土方式は技術的にも財政的にも難しい、との発言をしています。
筆者は、民主党のことを思えば、原発官邸のメンバーは10年間テレビに出ないところで民主党を支えてほしいと考えています。具体的には、菅さん、枝野さん、海江田さん、細野さん、馬淵さん、福山さんらのことですが、台風クラブならぬ、3・11原発クラブの狂気が続いています。ただ、今回の馬淵さんの発言は大いに支持したいところです。
[写真]東京電力を追及する馬淵澄夫さん。左隣は、海江田代表側近で第1次民主党・社会党・北海道連系列の荒井聡さん、2013年8月、国会内、筆者撮影。
[写真]思いつめた表情で、馬淵さんの意見を聞く、山下和彦・東京電力フェロー(技術顧問)、2013年8月、国会内、筆者撮影。
ここから先は完全に冗談です。東京電力株式会社は、1000億円を負債に載せることを嫌がったそうです。ただ、当該期にしろ、今期にしろ、14兆円前後の資産のなかに、「核燃料」が8000億円計上されています。もちろん、柏崎刈羽原発の周辺にある核燃料は資産でいいでしょう。しかし、福島4号機の使用済み核燃料プールにある核燃料棒は、今後資産として使えるのでしょうか。もちろん、国策としての核燃料サイクルは続いています。ただ、少なくとも4号機の核燃料は、資産ではなく、負債にすべきでは? 核燃サイクルの資産と、地中に完全に廃棄する場合は、費用の換算が違うでしょうが、バランスシートの左から右に移すべし。当然、これをやった直後から、借り換えも含めて融資した銀行は株主代表訴訟をおこされかねないし、そもそも東電は倒産するでしょう。株式も紙屑です。その前に、ある程度国費で増資するということもあるでしょう。私は東日本大震災は、時間が経つほどつらくなる類の災害だと、2年半前から考えておりました。まさに地獄の沙汰も金次第。
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