【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参・憲法審が実質スタートも公明党「衆では緊急事態条項の議員延長を話しているが、参では現行憲法の参議院の緊急集会について話そう」

2024年05月08日 18時06分26秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[写真]西田実仁(西田まこと)公明党参議院会長、おととし、埼玉県内で、宮崎信行撮影。

 岸田文雄さんにとっての黄金の3年間で、総裁選前の改憲発議のシナリオもなくはありません。参・憲法審が実質初めて開かれましたが、きょねん同様に公明党が衆参でいうことが違う現象が、ここでだけ現れ、先行きは不透明となりました。

 5月、6月に追うべき協議体は3つ。(1)皇室制度では額賀福志郎さんら衆参正副議長が与野党の実務者から話を聞く協議体(2)衆参の政倫審と政治改革特別委による政治資金規正法の改正に先立つ鈴木馨祐さんら自公実務者協議体(3)衆・憲法審査会の改憲4党が構想している条文起草委員会ーーとなります。(3)の設置は不透明。1月に提出した逢沢一郎座長の衆議院選挙制度抜本改革の額賀議長直属の協議体は当面先送りになりそうです。もちろん、与党議員は経済財政諮問会議が6月にまとめる骨太の方針の与党審査。

【参・憲法審査会 きょう令和6年2024年5月8日(水)】
 事実上の1回目となります。中曽根弘文会長が示した議題は「憲法に関する考え方」で、衆側にある国民投票法改正を含むの部分は議題から省かれました。

 自民党の佐藤正久さんが「憲法第54条第2項の参院の緊急集会をまず議論して、緊急事態条項を検討すべきだ」という趣旨の頭出しをして、のっけから衆と違う展開となりました。立憲の辻元清美さんは「憲法は総理大臣や国会議員が守る規範だ」として裏金議員の汚れた手で憲法を触るなとする議論の前提が整っていないとしました。

 そして、軽減税率とインボイスで世の中を複雑する公明党の実力者、西田実仁さんが登場。西田さんは「衆では緊急事態条項として議員任期の延長が議論されているが、参では憲法に位置付けられた参の緊急集会を議論すべきだ」と語りました。ちなみに、衆では北側一雄、国重徹両氏が前回までに「緊急事態における国会機能の維持は、これまで活発な議論が行われ、論点はすでに出尽くした感があります。今後は具体的な条文案のたたき台を作成し、それをもとに議論を深めていくべきだ」としており、まったく違う展開です。埼玉4人区で公明1人の楽な選挙で通り続ける西田参院会長、石井啓一幹事長(埼玉14区予定)ら「埼玉組」と、楽でない選挙を続ける北側、国重の大阪小選挙区組との違いで、ちょっと組織の体をなしていないのが公明党の国会議員団というところでしょう。

【参・本会議】
 「防衛省設置法改正案」(213閣法14号)が審議入りしました。立憲の水野もとこさんは「自衛隊法の改正条項では、日独ACSA協定(213条約2号=衆でいまだ審議入りせず)による武器提供が含まれるが、弾薬は含まれるのか」と問いました。ところで、水野さんは立候補した理由で「保育園から学童に移って延長を武蔵野市議会に要望したら意外とすんなり通った」という趣旨のことを話していると思いますが、同僚議員によると、東京大学法学部の同級生である自民党の女性国会議員から平和安全法制による自衛隊員の成り手不足について「私たちのこどもは行かなくていいのよ」と言われたことに反発して国会をめざすようになったとの情報もあります。

【衆・国土交通委員会】
 広島3区の小選挙区議席維持が有力となりつつある公明党の斉藤鉄夫大臣が「都市緑地法改正案」(213閣法18号)を趣旨説明して、次回質疑することになりました。

 なお、「高齢者住宅セーフティーネット法案」(213閣法52号参先議)の審議入りは見送られました。さらに「建設業法改正案」(213閣法51号)も審議入りが見送られています。公明党は建設業法改正をえさに公明新聞にすら非公開で関係業者だけを集めた政治資金パーティーを繰り返し開いてきました。213閣法51号の審議入り遅れは、野党側になんらかの思惑があるのかもしれません。

【衆・法務委】
 「入管難民法改正2法案」(213閣法58号・59号)の審議に先立ち、立憲民主党の階猛さんが「立憲対案」(213衆法10号)を趣旨説明し、3案が同時に質疑されました。2年連続の入管審議のきっかけとなった、古川禎久元法相のおととしの勉強会の法案への反映を野党議員が確認しました。

 ちなみに、古川さんの宮崎3区はいまだに他に名乗りを上げる人がおらず、立憲民主党の新人・渡辺創さんが前回当選した1区、国民民主党の長友慎治さんが健闘し比例復活した延岡など2区とで県内すみわけムードとなっているようです。
 それはさておき、法制審議会は共同親権と同じ日に「刑事訴訟デジタル化法案」と「区分所有法改正案」の要綱を決定して国会に「提出を検討中だ」と報告していますが、延長がない限りは、法案提出はなさそうです。

【衆・農林水産委】
 「食料供給困難事態対策法案」(213閣法27号)「農地法や農業振興地域整備法などの改正案」(213閣法28号)」、そして「スマート農業技術法案」(213閣法48号)の対政府質疑が続きました。なお、48号について、きのう、参・農水委が散会後に栃木県を委員視察しました。ところで、農水は「漁業法及び特定水産動植物の国内流通の適正化等に関する法律の改正案」(213閣法49号)が審議入りしていません。

【衆・外務委】
 本会議での代表質問を経て付託された条約承認案「GIGOグローバル戦闘機航空プログラム政府間機関設置条約」(213条約1号)が審議入りしました。上述の内容を含めて合計4議案がまだ審議入りしません。4議案は日独ACSA・日クロアチア航空・日ブラジル刑事共助・日オーストリア社会保障で、当初会期内での衆参議了は絶望的な状況となっています。

【衆・内閣委】
 「公益法人法改正案」(213閣法44号参先議)と「公益信託法案」(213閣法45号参先議)が審議入りしました。

【衆・財務金融委】
 知的財産権など動産担保の「事業性融資の推進に関する法律案」(213閣法57号)が鈴木金融相から趣旨説明されました。

【衆・厚生労働委】
 「再生医療安全性確保法改正案」(213閣法41号)が審議入りしました。

【衆・地域こどもデジタル特別委】
 一般質疑で地ならし。登壇議案ラストとなる「日本版DBS法案」(213閣法61号)が本会議で審議後に、こちらの委員会に付託されることになると思います。

【参・決算委】
 定例日は月曜日と水曜日です。令和4年度決算案の省庁別審査4回目、財務、経済産業省、金融庁、政策金融機関でした。

●あす(5/9)午後4時頃からは、参議院内閣委員会で重要広範議案セキュリティークリアランスの対総理質疑。3年前の総裁選をたたかった、岸田文雄、高市早苗両氏が席を並べます。

以上です。

父と克也の大阪万博物語最終章「天皇陛下の前では克也に」岡田卓也チェーンストア元協会長のきょねんの旭日大綬章の叙勲で、皇居「松の間」で天皇陛下の近くで議員バッジをせず付き添った経緯を問われ

2024年05月07日 20時26分32秒 | 岡田克也、旅の途中
[写真]岡田卓也・イオン創業者(左から2人目)の3人の子のうち、一人だけ斜に構える岡田克也さん(右端)、新進党時代の1996年ごろ、岡田卓也著「私の履歴書 小売業の繁栄は平和の象徴」(日本経済新聞社)から引用。

 岡田克也さんは、およそ1年前(2023年5月9日)に、実父・岡田卓也日本チェーンストア協会元会長(「イオン」創業者)が旭日大綬章を、皇居「松の間」で天皇(徳仁)陛下から首にかけてもらった際に、付き添った経緯を問われ、「父からちょっと力を貸して欲しいということですから私が付き添った」と明かしました。その意図は「分かりません」と答えました。

 卓也さんは、車いすで参内。陛下の前では立ち上がって進みました。克也さんは議員バッジなしに、卓也さんの左後ろで付き添っていました。

 卓也さんが、「打倒ダイエー」をめざして三重から大阪万博開会式をまじかに控えた、大阪に進出したさい、克也さんは大阪教育大学付属高校に入学し、父と2人で暮らし、母が一週分の作り置きをするマンション生活をしました。祖父・父・兄と同じ「早稲田大学商学部」進学をすすめられましたが、「漠然とした公への憧れ」から東大法学部をめざして勉強に打ち込み、合格しました。太陽の塔が見えるマンションに住みながらも、大阪万博には行きませんでした。

 その後、早稲田大学商学部卒の竹下登首相からのスカウトで衆議院議員に。違う派閥とはいえ、いまだに影響力がある森喜朗元首相も早稲田大学商学部ですから、父の勧め通りに進学して、竹下さんや森さんに媚びを売るコミュ力があれば、副総理を超えた出世ができたかもしれません。

 一方、卓也さんが代表取締役をつとめた「ジャスコ」は、大阪万博開会式のときに「1期生の新入社員960名」を採用していますから、なみの衆議院議員や市長さんよりもよっぽど「公益」に資しているようにも感じます。

 岡田克也さんはきょう2024年5月7日の立憲民主党幹事長の立場での定例記者会見で、民間企業経営者でも所得税納税などで「日本の公のために尽くしたから叙勲を受けた」と問われ、「(旭日大綬章が)他にも同じ日になった方はいらっしゃいます。年齢的に言うと、20歳(実際にはおおむね25歳)ぐらい離れているのかな。やはり流通業界で初めての受章だったということで、それだけまだ地位が低いというわけなのかなと思う」と強がりました。

 ところで、ダイエーの創業者で「革命児」故・中内功さんと比べて、卓也さんはわずか3学年下でしかありません。中内さんの次男は、最後の最後まで「中内株」が残っていたプロ野球「福岡ダイエーホークス」で、オーナー代行として踏みとどまりました。2002年秋には元エースの若田部投手が「野球人生の最後は、地元関東で」と語り横浜ベイスターズに移りました。その後、2003年11月3日、球史に残る珍事が起こります。四番打者・小久保選手と中内オーナー代行が2人並んだ構図で記者会見。その場で人的、金銭とも無償で読売巨人に移籍すると発表。オーナー代行が涙を流すという謎の出来事がありました。これは、オーナー代行が母校・青山学院野球部に肩入れして、小久保、井口選手らを獲得。が、「九州ホークスにすべきだ」とする社内の異論が「不動のキャッチャー佐世保の城島、切り込み隊長1番打者は北九州の柴原」と、九州各地の地域名で売り出し、客も選手も増やしました。新人、沖縄県の新垣投手も争奪戦で獲得しました。「九州路線」が勝った福岡ホークスからも締め出しを食らったことへの涙だったようです。3番打者の青山出身の井口選手は、日本一となり、サンディエゴ・パドレスに飛びました。帰国して関東のロッテで監督までつとめ、NHKの解説者におさまりました。ひょうひょうとした井口さんが一番世渡りがうまかった印象です。中内さんの次男の近況はインターネットでは2011年でとまっています。

 岡田さんの前で「イオン」の単語を出すのはご法度であることを有名ですが、98歳の父から、今でも「命令」されていることは興味深いです。



 以上です。



















いや、それは個人的なことなのでが、ただ他にも同じ日になった方はいらっしゃいます。年齢的に言うと、20歳ぐらいになるという。他の産業界やはり流通業界で初めての受賞だったというそれだけまだ注意が低いということがあるかなと


ですよ


もう。



延長もありそう、残り47日間の国会、共同親権の参考人質疑「月刊誌・世界によると、先生が論文で書いている子連れ別居の裁判所の積み重ねは改正でどうなりますか」

2024年05月07日 18時47分59秒 | 第213回通常国会 令和6年2024年1月召集
[画像]新議員として紹介され立憲の同僚や維新議員から拍手と歓声をあびる、東京15区補選の酒井なつみさん、きょう令和6年2024年5月7日の衆議院インターネット審議中継から宮崎信行がスクリーンショット。

 連休が明けて、残り会期は48日間。が、農林水産省、外務、防衛両省のどちらかの議案は会期にはまらない公算がでてきました。立憲の岡田克也幹事長はきょうの定例記者会見で、「私は先週、岸田文雄首相にとっての唯一の道は6月の解散だと申し上げましたが、訂正をさせていただきます。この国会会期中の解散が唯一の道である」と述べ、会期延長をして、9月末の総裁任期切れに近づけた解散もありうるとしました。衆側の役員と良好な関係を持つ旧立憲発足以来の水岡俊一議員会長と、参議院自民党の石井準一国対委員長がキーパーソンとなりそうです。

 憲法改正国民投票の発議案も、改憲4党の数合わせで間に合うかもしれません。

【野党国対委員長会談】
 政倫審に44人の申し立てをすることを決定しました。維新は東京15区の政治団体「つばさの党」根本良輔候補(当時)と黒川敦彦代表を念頭にした公職選挙法の自由妨害罪の改正の骨子を示しました。

【衆議院本会議】
 酒井なつみさん、亀井亜紀子さんの両氏が「新議員」として紹介され、野党側のボルテージが連休明け初日から高まりました。あさって告示の静岡県知事選は前副知事対前浜松市長の与野党一騎打ちとなります。2019年4月の枝野幸男・福山哲郎「りっけんブルー」の「当事者」として初当選した市区議会議員の国会議員は「看護師」「がんサバイバー」の当事者・酒井さんが第1号となります。再選後に区長選で落選していました。2019年の「当事者」では、次期衆院選に公認されている人はおらず、国政進出のメドである「2期目途中」を過ぎてから身の振り方が注目されます。酒井さんは、自民支持層2割、無党派層2割しかとれておらず、間もない第50回衆院選の当落が、旧りっけん地方議員にとって関心事となりそうです。

 「放送法改正案」(213閣法32号)「デジタル社会形成基本法改正案」(213閣法40号)「育児・介護休業法改正案」(213閣法54号)「IBRD国際復興開発銀行設置協定の改正」(213条約9号)「EBRD欧州復興開発銀行同」(213条約10号)「廃棄物海洋投棄ロンドン条約の改正」(213条約11号)「金商法など改正案」(213閣法56号)「産業競争力強化法改正案」(213閣法23号)が可決・承認され、参議院に送られました。

 第33次地方制度調査会でのコロナ禍の教訓を踏まえて国の指示権を盛り込んだ「地方自治法改正案」(213閣法31号)が総務相から趣旨説明され、代表質問がありました。衆議院本会議での法案審議入りは今週で打ち止めとなりそうです。

【参議院第1種常任委員会】
連休明けから、いきなり7委員会が開かれ、うち6委員会が参考人質疑となりました。

●共同親権はオピニオン誌「世界」の木村草太論文で「論壇」が一瞬復活
 参議院法務委員会は「離婚後共同親権法案」(213閣法47号衆議院修正)。参考人4人かける2部制となりました。そのうち、第1部は筆者が知る人が2人いて、熊谷信太郎弁護士と木村草太東京都立大学教授。ここ最近、参考人が知らない人ばかりになってきたのは「論壇」と言われた月刊オピニオン雑誌が振るわず、それでインターネット論壇は散漫になっているからだと思います。「5年後見直し」が結論だった衆議院から送られてきた法案で、共産党の仁比聡平さんが懐かしいフレーズ。「木村参考人の、月刊紙・世界への論文を拝見をいたしまして、子連れ別居に対して、違法な実子誘拐だあるいは不当な連れ去りだというような裁判所への申し立てがされた場合に、裁判所はどのような審査をすべきなのか、そして、どんな基準が裁判所にあるのか、そして今回の法案によって、これまでの積み重ねは変わるのか」と問いました。

 木村さんは「誘拐罪が適用されるのが教科書的な答えだと思う」としつつ、「日本のDV(親、配偶者、子の間の暴力)対策は遅れているということばかりが指摘されるのですけれども、DV殺人で率というのは日本は非常に低い。フランス、アメリカにしても日本より遥かに高い数値が出ております」と世界の情勢を説明しました。そして「そのうえで、今回の法律(案)ですが今回の法律は要するに窮迫の事情がない限りは子連れ別居ができないという条文にすることによって、子連れ別居がしにくくなるのではないかということを皆さん指摘されていますが、家庭裁判所は条文だけを見ますので、指摘されている危険は決して大げさではない」としました。原則、世界との比較を経て、法成立後の家裁の運用まで見通したうえで、「いわゆる共同親権反対派」の指摘に軍配を上げました。
 「世界」は映画で経済的に大学進学がかなわなかった東京の印刷工の愛読月刊誌という設定もされてきました。「世界」は左翼的だとして「ディス・イズ・読売」「ボイス」「中央公論」なども出ましたが今は「ハナダ」「月刊日本」「リベラルタイム」のようなネット右翼が知的ぶるアイテムと堕してしまいました。そもそもアジアの他の国で製本された月刊誌はもともとありませんから、文藝春秋も含め「論壇」復活の芽はないでしょう。

●参・農林水産委は「農業基本法改正案」(213閣法26号衆議院修正)が趣旨説明されました。衆で審議中の「増産命令法案」などは間に合わないかもしれません。

●参内閣委は「セキュリティークリアランス2法案」(213閣法24号衆修正と25号)、厚生労働は「雇用保険法改正案」(213閣法10号衆修正)、総務は「プロ責法及び発信者情報開示法改正案」(213閣法34号衆修正)経済産業では「水素社会推進法案」(213閣法16号)と「二酸化炭素貯蔵法案」(213閣法17号)、環境委員会では「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律案」(213閣法60号)参考人質疑がたっぷり開かれました。また、経済産業と環境が連合審査会をひらくてはずもととのえました。

●あすは参議院憲法審査会の自由討議が初めて開かれ、辻元清美さんら党を代表した意見を述べます。きょねんは、公明党が衆参で違う珍現象がおきましたので、ここもチェックポイントとなります。

【衆・議院運営委】
 立憲が99議席となり、政治倫理審査会・常任委員会の配分の見直しがあったと思います。立憲は、山田勝彦さんに代わり川内博史さんが当選し、小選挙区で山田さん、酒井なつみさん、亀井亜紀子さんが当選したので、3増となりました。海江田万里さんを入れると希望の党騒ぎ以降で初めての3桁。

 以上です。