歩いて旅するということ
これまでさまざまなシチュエーションでのウォーキングの経験はありましたが、歩いて旅するという経験は初めてでした。歩いて旅した今回の4泊5日の旅はいろいろな意味で新鮮でした。
※ いかにも里の秋といった風情です。庭先で天日を利用して干し芋づくりをしているところです。
今回の旅で私が予想もしていなかったことの一つに、旅しながら私が俳句を詠んでみようと思い立ったことです。
そのきっかけはブログの中でも触れていますが、二日目の宮ノ越宿に至る前に立ち寄った「巴渕」でのことでした。巴渕の展望台のところに小さな木札で「一句いかがですか?」と書かれてあったのを見て、俄然私の中の何かが刺激されたようです。
それまで俳句などというものを一句も詠んだことがない、また旅の中でそんなことをしようなどと考えたこともなかった私が、一句創ってみたことで何かが弾けてしまったようでした。
歩いて旅する中、少しでも印象的な光景に出合うと「一句できそうだな」と思い始めたのです。この変化には私自身が驚きました。俳句を詠むなどということに何の素養もない私ですから、その出来云々は別にして、のんびりゆっくりの旅だからこそ「創ってみようかな」という思いにさせられたのではないかと思っています。
また、出来た句を直ぐにブログに投稿することによって、友人や妻から反応があったことも私を刺激してくれました。
こうして私は旅の中で五つの句を創り出すことができました。
どの句も私にとっては思い出深いものとなりました。写真と共に振り返ってみたいと思います。
碧き渕
色の葉流れ
深き秋
枯れ葉踏み
古(いにしえ)の道往く
木曽路行
晩秋に
白き石おき
木曽の川
庭先に
黄色の花咲く
里の柿
松林
古人(いにしえびと)の
夢の跡
次に私にとって歩いて旅したのは初めての経験だったと述べましたが、どこがこれまでのウォーキングと違うかというと…。
旅するのに必要な物を自ら背負い、移動して行くということは初めてでした。
距離的には今年の春に30キロウォークを4日連続して経験したこともあり、あまり不安ではありませんでしたが、重い荷物を背負っての移動ということが初めてだったことが少々不安でした。
旅の初心者はどうしても荷物が多くなると言われますが、私も例外ではありませんでした。ずっしりと肩にかかるザックの重さは、平地ではそれほどではなくとも峠道などではかなりの負担となりました。重さを計量していなかったのですが、帰りの空港で測ったところ8Kgありました。登山をする人たちからすると、どぉーってことのない重さなのかもしれませんが、やはり長距離を移動するにはできるだけ軽装を図ることが大切だと教えられた思いがします。(特にPCの2キロ弱の重さが堪えました)
※ 今回の旅の中で唯一撮った私の旅姿です。荷物がまだまだ大きい。
そして歩いて旅することの最大の特徴は、旅する手段としては最もスローな移動手段だということでしょう。
私は今回のように歩きながら道らぬ土地を見て歩くことを“ありんこの目線”と称していますが、まるで蟻が歩くようにその土地の事物や風景を目に焼き付ける旅は他の移動手段では味わえない旅だったと思っています。
そこから何が見えてきたのか、と問われると感受性に乏しい私には他の人ほど見えてきたものはないのかもしれないけれど、私なりに見たこと、感じたことをこれからもしばらく書き綴ってみたいと思っています。