私は格別に上田市長支持派でもなければ、民主党支持派でもない。典型的な無党派層の一人といって過言でない。しかし今日、上田札幌市長の話を聞いて、市長という任務はほんとうに大変だなぁ、改めて痛感した。
今日(13日)午前、中央保健センターで「ふらっとホーム2012 in 中央区」という住民との対話集会が開催されると知って傍聴者の一員として参加した。
上田市長によると、こうした住民との対話集会は上田市長が市長となった9年前から市内10区において毎年開催しているという。したがって、昨年までに総計80回、今年に入ってからは今回で3回目の開催ということだった。
※ 意見を述べる人たちは市長を囲むようにロの字型に座り、我々傍聴者はその後ろに座った。
この対話集会は参加した誰でもが発言できるのではなく、あらかじめ発言することを希望した人の中から数人が選ばれ(今日の場合は8名の方だった)、その人たちが市政に対する要望や意見を述べ、それに上田市長が直接回答するという方式だった。(札幌市のような大都会ではこうした方式でないと収拾がつかなくなってしまうだろう)
今日のテーマは要望や意見を述べる人たちの関心あるテーマをもとに4つのテーマに絞っての対話となった。その4つとは、
①地域における保健、福祉、医療について
②公共交通について
③子育て、教育問題について
④その他
であった。
それぞれのテーマについてたくさんの要望や意見が出された。
それらの中には納得のいく意見も数多くあったが、中には独りよがりと思える意見、明らかに勉強不足と思われる意見も含まれていた。
例えば市電の延伸についてはすでに既存の路線のループ化は決定事項であるのに、延伸を要望したり、導入が決まっている低床車両の導入を訴えたりと、明らかに勉強不足ではという意見が述べられた。
また、その他のところで「札幌には庶民の中に根付いた文化がない」と主張する人がいた。このことは行政に対して要望することではなく、市民たちが自ら創り上げていくものが庶民の中に根付いた文化ではないのか。その人はその主張をしながら諸外国の街角の光景を滔々と描写し、それがあたかも札幌に相応しい庶民に根付いてほしい文化のような錯覚をしている。はたしてそうした光景が現出することを多くの市民が望んでいるだろうか?これも明らかに独りよがりの意見と言いたくなる。
※ 要望や意見に一つ一つ丁寧に答える上田札幌市長です。
こうした要望や意見に対しても、市長は一つ一つ丁寧に回答していくのだ。全て意見を受け入れたうえで市長としての考えを述べていくのだ。
これはなかなか大変なことである。
民主主義の政治とは市民(国民)の要望や意見の最大公約数を実現していくことだとされる。その要望、意見を聴取する場として「ふらっとホーム」は有効な一つの手段なのかもしれないが、好き勝手(?)に言う地域住民の言葉に耳を傾け、その一つ一つに丁寧に回答するという作業は大変なことである。
市長の側からすると大変なことだが、上田氏が市長就任以来このような場を継続していることに対しては敬意を表したいと思う。ただ、聞いている側からすると、要望や意見だけを聞くだけではなく、このような場が市民の側から提案するような場になるようになっていってほしいと思うのだが…。