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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

コンテクスト・ツーリズムと聖地巡礼

2013-12-03 23:32:27 | 講演・講義・フォーラム等
 何やらまたまた難しい言葉が登場してきた北大の公開講座「現代の『聖地巡礼』考」である。○○ツーリズムとは最近良く聞く言葉である。「聖地」と「コンテクスト」…、はたしてその関係は? 

 北大公開講座「現代の『聖地巡礼』考」も第5講目と中盤を迎えている。第5講目は11月25日(月)、 「コンテクスト・ツーリズムって何?」と題して観光高等研究センターの内田純一准教授が務めた。
 当初のテーマは「大好きなスターに『なりきり観光』 コンテクスト・ツーリズムって何?」というものだったのだが、内田氏が後になって変更したとのことだった。(ちょっとアカデミズムっぽさに欠けると判断した?)
 コンテクスト・ツーリズムとは、直訳すると「文脈に沿った観光」という意味になるそうだが、そこから発展して内田氏によると「なりきり観光」いう位置づけにしたそうだ。

            
            ※ コンテクスト・ツーリズムの典型として挙げられた「冬のソナタ」のポスターです。

 その「なりきり観光」とは、私なりに理解できたことは、例えば韓国ドラマ「冬のソナタ」で韓流ブームが起り、我が国の女性たちがこぞってロケ地を訪れ、ドラマの主人公になりきって観光していたということらしい。
 内田氏はそうした状態になって初めて「聖地」となり得ると説いた。

               
               ※ 強いコンピタンスを有する例として挙げられた「東京ディズニーランド」です。

 内田氏はまた「コンピタンス」という言葉を持ち出した。コンピタンスとは、「能力」という意味のようだが、映画とかドラマの舞台となったところが「聖地」となるためには訪れた人たちが「なりきる」だけの魅力(能力)を有しているか否かが分かれ目であるという。
 例えばとして内田氏はテーマパークの「東京ディズニーランド」と「ハウステンボス」を例に出した。そこで「東京ディズニーランド」には物語性とか、テーマの深さがあり観光客がなりきるだけの魅力(能力)があるが、「ハウステンボス」にはそこのところが欠けている、あるいは弱いのではと解説した。

          
          ※ コンピタンスがやや弱い例として挙げられた「ハウステンボス」です。

 内田氏はその他さまざまな事例を例にだし、自説を強調され、結論として次のようにまとめられた。
 ・人は「人気がある(好きな)映画・ドラマだから」という理由だけでは、聖地巡礼をしない。
 ・すなわち優れたコンテンツが即ツーリズム現象を起こすわけではない。
 ・コンテクストを共有でき、なりきるコンピタンスを与えてくれるコンテンツに強く反応している。

 ヒットした映画やドラマの舞台を訪れるという観光ブームは良く聞くことである。だから内田氏の2番目のまとめにはやや疑問も感ずるが、「聖地」と言われるほどの現象を起こすためには「なりきる」ほどのコアな人たちがいて、そうした人たちに引きずられるようにして多くの人が訪れ一大観光ブームが現出される、その現象こそが「聖地巡礼」の様相であるという点については「なるほど」と深く理解できた私だった。