極寒の地南極でタロ、ジロの二頭の犬が一年間生き抜いていた! ニュースが伝えられた1959(昭和34)年1月には日本中が感動の渦に包まれたものだが(そのニュースは私も記憶している…)、映画はその実話をもとに創られたものである。
12月17日(火)午後、札幌コンベンションセンターで「ウォームシェア・ウィンターフェスティバル2013」のイベントの一つとして映画会が催された。そこで取り上げられたのが1983(昭和58)年に制作され大ヒットとなった「南極物語」だった。
私と同様、年配の方にはご記憶されている方が多いと思われるが、1956(昭和31)年に日本は初めて南極観測隊を派遣し、同時に南極で1年間継続観測する越冬隊が組織された。そのときの観測の移動手段として連れられて行ったのが寒さに強い樺太犬19頭だった。
観測におおいに役立った樺太犬だったが、越冬隊が日本に帰還する際に観測船宗谷が南極の氷に閉じ込められそうになるトラブルに見舞われ、止む無く15頭の樺太犬たちを置き去りにしなければならなかった。樺太犬たちが鎖に繋がれていたこともあり、生存は絶望視されていた。
しかし、一年後に再び観測隊が南極を訪れたとき奇跡的にも2頭の犬(タロ、ジロ)が生き残っていて、そのニュースが日本に伝わり、日本中が感動の渦に包まれたのだった。
当時のことについて私もおぼろげながらに記憶しているが、敗戦の痛手から立ち直りかけていた日本にとって、南極観測は世界に伍していこうとする日本の代表のように思われ、その一挙手一投足が報道され、国民の関心もとても高いものだった。
そうした中での事故であり、生存のニュースだったから、それがどれだけのニュースバリューを持ったものであったか、当時を知らない人にも想像していただけるのではと思う。
映画はその史実を27年後に映画化したことになる。その映画も当時の動員記録を更新するほどの大ヒットだったという。27年前の感動がその要因の一つと思われる。
私も当時見ていたと記憶していたのだが、どうやら映画の記憶は飛んでしまっていたようだ。私の記憶にあった「南極物語」とは違い、南極に残された15頭の樺太犬たちが主人公の映画だった。
映画はフィクションなのだが、犬たちの性格、行動、食性などあらゆる見地から科学的に推察することによって信憑性の高いストーリーとして結実している。
映画には第一次越冬隊の犬係として高倉健、渡瀬恒彦が存在感のある演技をしているが、それとて映画の一部分での出演であり、主役はあくまで15頭の犬たちだった。また、映画では健在だった夏目雅子、少女役だった荻野目慶子が出演しているのが懐かしい。
南極という大自然をバックに(実際は北極での撮影が多かったらしい)動物が主役の映画制作は相当の困難が伴ったと想像されるが、まったく不自然さを感じさせない見事な仕上がりとなった映画だった。
それにしても観覧者が少ないのか気になった。せいぜい30名程度だったのではないだろうか? 「ウォームシェアで寒い冬を乗り切ろう!」という趣旨で開催されているのだが、あまりに参加者が少ないと継続が心配される。私は20日に開催される桂枝光師匠の落語独演会も楽しみにしている。多くの人が参加して、来年以降の開催に繋げてほしいと思っているのだが…。