田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

12月7日は「あかつき」に注目を!

2015-11-29 15:53:31 | 大学公開講座
 JAXAの金星探査機「あかつき」が12月7日(月)金星の周回軌道への再投入が予定されている。その「あかつき」の企画・製作に関わった研究者の話を聴いた。 

               
               ※ 金星探査機「あかつき」が金星の周回軌道を廻る想像図です。

 11月24日(火)夜、北海道情報大学の札幌サテライトにおいて「金星探査機「あかつき」を応援しよう ~2015年12月軌道投入再チャレンジ!~」という公開講座があり参加した。
 講師は同大の渡辺重十教授だったが、渡部教授は北大教授時代に「あかつき」が構想され、その企画から製作まで関わっていて研究者だった。
 渡部教授は地球物理学者にしては素人にも分かり易く「あかつき」の誕生秘話などについて説明してくれたため、私にとっても楽しい講座だった。

                   
                   ※ 講義をしていただいた渡部重十教授です。

 渡部教授たちは2000年に登別に全国の研究者・学生を約100名集めて「プラネットWS2000」というワークショップを行い、日本の惑星探査の探査先を「金星」にするようJAXAに提案したことがキッカケとなって、現在の金星探査機「あかつき」が誕生したという秘話を披露してくれた。
 
 その秘話の中で面白い話をうかがった。
 なぜ日本の惑星の探査先が「金星」に決まったか、ということについてである。
 渡部教授は日本には木星や金星の観測はできないと言った。その理由は明らかにされなかったが、日本の国力(予算的)やロケットの発射技術などから、現実的に難しいということなのだろう。そうした絞り込みの結果、「金星」が目指す惑星として最適となったようである。

               
               ※ 講義中の様子です。渡部教授が関わったカメラが金星を捉えた写真が提示されました。

 金星探査の目的であるが、金星の表面温度は実に480℃という高温だという。その金星の誕生の謎を解明することが、地球の温暖化を阻止のために役立てることができるのでないかということだ。(もちろん、その他にもたくさんの目的があるのだろうが…)

 さて、探査機「あかつき」本体の製作についてだが、設計はJAXAの研究者や大学の研究者によるものだが、機体の製作そのものはすべて日本の企業群が担ったということだ。 
 渡部教授が担ったのは、探査機に付けられたカメラの部分ということだった。カメラそのものはドイツ製ということだったが、他は全て日本製で、過酷な宇宙空間で稼働すること、あらゆる角度の映像を記録することなど、難しい課題を日本の企業の研究者たち共同作業で課題を克服していったそうだ。

               
               ※ 渡部教授たちがドイツのメーカーに製作を依頼したCCDカメラです。実物を持ち込んでくれました。

 その探査機「あかつき」だが、2010年に打ち上げられ、その年の12月7日に金星軌道への投入が試みられたが、メインエンジンの故障のため投入には失敗してしまっていた。
 計算から「あかつき」が金星の周回軌道に最接近するのが5年後の2015年(今年)12月7日ということが判明し、これまでそのための準備を進めてきたということだ。
 来る12月7日の再投入の試みは、メインエンジンが故障した中での再投入となる。その推進力となるのは、「あかつき」の姿勢制御用に装着していた補助エンジンを使用しての再チャレンジだそうだ。
 エンジンの推力はけっして大きくないが、再投入のために必要のない燃料を捨ててまで、ワンチャンスに賭けるということだ。
 最後に渡部教授は、このJAXAのチャレンジに対して、ロバート・H・グラード(正確な名でない可能性がある)の言葉を紹介してくれた。
 「何が不可能であるかを言うことは難しい。昨日の夢は、今日の希望であり、明日の現実である」

 12月7日の金星探査機「あかつき」の金星周回軌道への再投入のチャレンジに注目していただきたいと思う。