本日の札幌は、YOSAKOIソーラン祭りたけなわで盛り上がっていたようだが、そんな世の中の流れとは全く関係なく、唯我独尊の我々取材班3名は、ニューインプレッサの試乗へと、北海道スバルへ赴いたのであった。
まずは、私のレガシィ2.0iと同じエンジンを積む20S(4AT)を試す。
205/55R16と、私のレガシィ2.0iと同サイズのシューズは、アルミホイール風フルホイールキャップを装着した、鉄のホイールである。アルミの価格も高騰していますからねぇ。なお、ボンネットも、もはやアルミ素材ではないとのこと。
この、ニューインプレッサ。全幅は1740mmと、BPレガシィよりも10mm広い。だが、コックピットはレガシィよりも明らかにタイト感がある。手前にせり出しているセンタークラスターのせいもあるのかもしれない。だが、アイボリーのインテリアは、明るくてなかなかイイ感じ。
まず私が驚いたのは、ルームミラーの装着位置である。フロントスクリーンのほぼ中ほどに付いたコレは、後方視界を確保しやすいのは確かだが、気にしだすといつも視野に飛び込んできてやや煩わしい。なにかスバルの深い思惑があってこういう位置にしたのかもしれないが、通常の位置に装着してくれたほうが、私としてはありがたかった。なお、レガシィ同様、アイポイントはやや低めに設定されている。
そして、私が危惧していたことが現実になってしまった。サッシュレスドア廃止はみなさんご承知のことと思うが、更に、これまでスバル車のステアリングコラム上には装着されていたハズの「パーキングランプ」も省略されている。スバル車の美点であった「イグニッション連動ライトオフ」は廃されて、よくある「ライト消し忘れ警告ブザー」になってしまったのだ!
それともう一つ。オドメーターとトリップメーターが同時表示式ではなく切替式になってしまったのも悲しい。「一般人にはどうでもいいと思われるところにコストを掛ける」スバルらしさが、どんどん失われていく・・・これがトヨタとの提携のせいなのかどうかは謎ですが・・・
そして、現代のクルマらしく、水温計は略されて、水温警告灯に取って代わられているのだった。コレも、時代ですネ。
だが、3連ダイヤル式のエアコン操作ノブは、使いやすくてイイと思う。私のレガシィも、できればコレにしてほしい。プッシュスイッチ式よりも、ずぅーっとこちらの方が手探り操作性バツグンである。
インフォメーションメーターは、外気温・燃費計・時計を同時表示する。現代のクルマは燃費計を標準装着するものが多くなってきた。とてもイイことだと思う。コイツがあると、ついつい燃費を気にして、いつの間にかエコ運転になってしまう。この装置の環境に与える影響は、意外に大きいように思う。
ラゲッジ下を見ると、「サブトランク」は廃されたが、スペアタイヤ(テンパータイヤ)が積まれていたので一安心。ここを「パンク修理セット」にしなかった点は、大いに評価したい。
で、この「20S」の乗り味だが、同じエンジンを積むだけあって、私のレガシィ2.0iとフィールは非常に近かった。しなやかな乗り心地で、あなどれない加速をする。ロードノイズ等は、むしろレガシィよりも、よく抑えられているかも。この、EJ20型のSOHCエンジンは非常に熟成されて良くなっており、下のトルクは若干細いが、スムーズに爽快に吹け上がり、充分に速い。それでいて、実用燃費もイイのだから、このエンジンをキャリーオーバーしたのは正解だと思う。惜しむらくは、ミッションかもしれない。4速ATというのは、この時代、やや見劣りして見える。だが、私見を述べると、ATというものはやたら多段化すれば良いというものでもなく、日本国内のスピードレンジで使う分には、4段もあれば充分ではないかという気もする。問題は、このエンジンに5MTが与えられなかったことの方だと思ったりして・・・
お次は、1500ccDOHCのベーシックモデル「15S」(4AT)に試乗させていただく。
レガシィツーリングワゴン同様、ビルトインルーフレールが装着されている。
この「15S」。やはり「20S」よりも、歴然とレスパワーである。「20S」と同じように走らせようと思ったら、結構スロットルを踏み込まなくてはならないし、そうするとエンジンのうなり音もそれなりに室内に響いてくる。だが、このグレードには5MTが用意されている。このクルマを5速ミッションを駆使して引っ張って走るのは、結構面白いのではなかろうか。もし私がインプレッサを買うなら、15Sの5MTにするだろう。
そして、いよいよ最後は、ターボの「S-GT」(残念だが4AT)。
メーターのイルミネーションはレッド。このグレードには、水温計が装着されている。
いやあ、このクルマ、速い速い!だからといって、シビックタイプRのような粗っぽい乗り心地ではなく、基本はあくまでしなやか。とはいえ、前述の2グレードよりは、若干足回りは硬めではある。「15S」の後に乗ったせいもあってか、このクルマの速さには、ホント驚いた。その加速フィールは、まるでレガシィGTのごとく、スルスルッといつのまにか相当なスピードが出ているという類のものであった。
この、新型インプレッサ。実車を見てもクリアレンズのテールランプにはあまり感心できなかったが、乗ってみると、非常にジェントルないいクルマだった。それは、まさに「レガシィS-ワゴン」ともいうべき上質なフィールのクルマと思う。だが、思うに、このクルマに「インプレッサ」名を冠することが本当に正しかったのかどうか・・・それは「WRX・STI」待ちなのかもしれない。
乗ると、ホントに素晴らしいクルマだ。コストダウンされている部分も散見されるとはいえ、価格からみても、このクルマのコストパフォーマンスは高い。まさにバーゲンプライスといえる。
スバルの今後の経営のためにも、このクルマがマーケットで受け入れられることを、ただただ祈るばかりの私なのである。