獅子丸のモノローグ

☆気まぐれ不定期コラム☆

薄幸なる5ドア車たち(21) ホンダ・コンチェルト

2009年11月16日 | カタログ倉庫

 自販連のホームページの今年の4月~9月の新車販売台数データをひもといたところ、1位:プリウス、2位:フィット、3位:インサイト、4位:ヴィッツ、5位:パッソ・・・なんということでしょう、ベスト5はすべていわゆる「5ドア車」なのである。
 だがしかし、今から20年ほど前は、5ドア車が不人気車の代名詞のようなモノだったことを、アナタは憶えているだろうか。そんな日陰の存在だった薄幸なる5ドア車に、久々にスポットライトを当ててみよう。
 
   
 ホンダ・コンチェルト
 このクルマは「グランド・シビック」をベースに、ホンダとローバーとの共同開発によって’88年にリリースされた。

   
 「豊かさへのくわだて」。
 この後日本が突入するバブルの時代を予感しているかのようなこのコピーは、今となってはなかなか興味深い。

   
 Dピラーをガラスで隠した、4ドアセダンのエクステリア。
 この角度から見ると、この1年後に登場した初代レガシィセダンを、なにか彷彿とさせる。

   
 そしてこの5ドアセダン!
 グラッシーで、豊かなヒップラインが魅惑的だ。
 まさにローバーSD1の縮小版である。

   
 リヤシートはダブルフォールディングで畳むことが出来て、ユーティリティーに富んでいる。

   
 室内の意匠も、木目がでしゃばり過ぎない感じで、上々のセンス。

   
 そのシート地や色遣いが、まさにブリティッシュ・テイストである。

   
 エンジンパワーは、上記のとおり。
 燃費は現代の1.5~1.6L車と比べると見劣りして見えるが、この当時は10・15モードではなく10モード表記だ。
 10・15モードよりも10モードの方が数値は悪く出るので、実用上はそんなに悪くない燃費だったと推測される。

   
 脚回りは、当時のホンダお得意の「4輪ダブルウィッシュボーン・サスペンション」。

   
 ’80年代前半は、行き過ぎた軽量化のために「ボディが弱い」といわれていたホンダだったが、この頃からボディ剛性にも力を入れるようになってきた。

   
 そして、4WDのイントラック
 これは、4ドアセダンのみの設定である。
 私はこの頃のホンダの4駆に冬道で乗ったことがないので良く分からないが、雑誌メディアやweb上での評価はあまり芳しくないようである。
 だが、カタログを読む限りでは、なかなか良さそうなモノに思えてしまう。

   
   
 なかでも着目すべきは、4WD車だけに設定された「スーパーロー付5速マニュアル」。
 事実上6MTという言い方も、出来なくはないかも。

   
 だがしかし、冬道のようにスリッピーな路面では、むしろセカンドギヤで駆動力を与えすぎないようにして発進する方が、実際スムーズである。
 私には、この「スーパーロー」をどのような場面で使えばいいのかあまり想像できないというのが、偽らざる感想だ。

   
   
 とはいえ、このコンチェルト。
 ボディカラーもインテリアカラーも、渋めの色が揃っており、なかなか魅惑的。

   
   
 5ドア車のディメンションは全長4270mm×全幅1680mm×全高1395mmで、4ドアセダンは全長のみ145mm長い。
 5ドアの全長を削っているのは、いざ荷物を積む時にはリヤシートを倒せばいいという、ヨーロッパ的合理主義の考え方から来るものだという。
 当時、このクルマは背が高いと思っていたが、現代のクルマはもっと背が高く、たとえばプレミオ/アリオン(FF)の全高は1475mmあり、コンチェルトより80mmも高いのだった。
 数字で比べると意外な事実である。

 コンチェルトは惜しかった。
 このようなブリティッシュテイスト溢れる日本車は、きっともう出てこないであろう。
 何から何までが渋すぎで、イマイチ華やかさに欠けるきらいは、確かにあった。
 だから、売れなかったのだろう。
 この翌年に出た「アコード・インスパイア」は大ヒットしたのだが・・・
 インスパイアにあった華やかさは、コンチェルトが地味すぎたという反省の元に産み出されたのかも知れない。
 それにしても、コンチェルトの5ドアって、走っているのを見たことがあったかどうかも定かではない。
 もう、このクルマに逢うことは出来ないのだろうか・・・合掌。

コメント (26)
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