今日は帰りが遅くなったので、簡単な夕食。
バタール、ミディ・トマト、セルバチコ、フェタチーズとオリーブの実、ハム各種
スノウピーのスープ(スモークサーモンのしっぽ、ドライトマトを出汁に、スノウピーのスープ。塩胡椒とフレッシュオリーブオイルで味付け)
白石隆、2000、『海の帝国:アジアをどう考えるか』、中公新書
先頃から、タイで総選挙後の新連立政権の成立やインドネシアのスハルト元大統領の死亡が伝えられている。その前は、東チモールの新大統領誕生や、フィリピンの政情不安、ミャンマーでのスト弾圧の事件もあった。一方、陸路での交通網が国境を越えて整備が進む。
本書は、しばらく「積読(つんどく)」だったのだが、手に取ってみたら、とても新鮮だった。「東南アジア」という地域名称は人口に膾炙するが、当然の事ながらこれもまた地政学的な概念で、中国の清帝国の解体と西欧列強のアジア進出に関連して作り出された地域名称であるという。
現在の東南アジアにはまとまった政治勢力は歴史的にも存在せず、タイ王国をのぞいて、多くは西欧による植民地支配からの脱却を基盤とした国境の線引きなのである。元々は、「東南アジア」の海域は、ブギスの人々をのせた船が遊弋し、また、中国の華僑が拠点を築いていて、国境はなく小地域(小王国、あるいは、小都市)をつなぐ商業ネットワークがこの地域を結びつけていた。当然の事ながら、ネットワークは開放系で、北方の中国や西方のインドとも結ばれていた、さらには、日本とも。商業だけではなく、宗教や言語文化もまた、相互交流が著しい。インドネシアを素材にして「国民国家」の形成を論じたベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』は、関連して必読の書だろう(本書の著者らの翻訳である)。
本書を読んで、国境を越えて自由に行き来する未来を夢想する。リヴァイサンとしての国民国家のアイデアは、そう簡単に消え去ることはないであろうが。