『ねじとねじ回し:この千年で最高の発明をめぐる物語』

ヴィトルト・リプチンスキ、2003、『ねじとねじ回し:この千年で最高の発明をめぐる物語』、早川書房
計算機は、最近のデジタル・コンピュータはともかくも、歯車を組み合わせた機械式のアナログ・コンピュータは、17世紀の「パスカルの計算機」にまでさかのぼる。計算尺にしても、もう少し速く、ほぼ同時代の誕生である。書物の印刷技術についても、15世紀のグーテンベルグの印刷機を嚆矢とするというが、かといって、活字を用いて印刷をするという発想は、11-12世紀の中国や朝鮮にさかのぼるというし、版木はさらに古く9世紀であるという。
本書が取り上げるのは、そうした、ある意味応用技術ではなく、そういった技術が生まれる前提となった「ねじ」と「ねじ回し」についての歴史物語である。著者の謎解きのプロセスが本書に述べられていて、誠に、興味深い。技術はこうした基礎技術の累積によって成立しているわけである。ただ、現代科学技術を前提にしてさかのぼるので、欧米中心の技術史となっていることは否めない。冒頭にも述べたようない、こうした技術の発展は、文化の相互交流の要素が強いのではないかとも思われるが、西洋技術史にとどまらず目配りのきいた技術史もありうるべしなのではないか。大学教育の根幹は西欧中心の思想であるから、結果として、西欧中心史観が生まれるわけだが。
計算機は、最近のデジタル・コンピュータはともかくも、歯車を組み合わせた機械式のアナログ・コンピュータは、17世紀の「パスカルの計算機」にまでさかのぼる。計算尺にしても、もう少し速く、ほぼ同時代の誕生である。書物の印刷技術についても、15世紀のグーテンベルグの印刷機を嚆矢とするというが、かといって、活字を用いて印刷をするという発想は、11-12世紀の中国や朝鮮にさかのぼるというし、版木はさらに古く9世紀であるという。
本書が取り上げるのは、そうした、ある意味応用技術ではなく、そういった技術が生まれる前提となった「ねじ」と「ねじ回し」についての歴史物語である。著者の謎解きのプロセスが本書に述べられていて、誠に、興味深い。技術はこうした基礎技術の累積によって成立しているわけである。ただ、現代科学技術を前提にしてさかのぼるので、欧米中心の技術史となっていることは否めない。冒頭にも述べたようない、こうした技術の発展は、文化の相互交流の要素が強いのではないかとも思われるが、西洋技術史にとどまらず目配りのきいた技術史もありうるべしなのではないか。大学教育の根幹は西欧中心の思想であるから、結果として、西欧中心史観が生まれるわけだが。
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