『抗生物質と人間:マイクロバイオームの危機(岩波新書・赤版1679)』
山本太郎、2017、『抗生物質と人間:マイクロバイオームの危機(岩波新書・赤版1679)』、岩波書店
人類の歴史からすると、農業を始めたのも、医療の普及も、衛生環境の改善も、抗生物質の開発も、いずれも、ごくごく最近のことにすぎない。生物としての人類は、そうしたことを前提とせず、様々な環境に適応してきた。身体機能や微生物との共生も同様である。しかし、状況は大きく変わり、歴史の変化は人類にとっての福音であるかに見えるが、実際はどうかと著者は問題視する。抗生物質の乱用によって腸内菌叢を撹乱し、かえって「アンフィバイオーシス(両義性)」の危機を招くという。「両義性」とは、抗生物質による劇的な症状の改善と、少数の菌による感染をさす。著者はその点に疑問を投げかける。
著者の最近進める「プー・プロジェクト」は、人類のもつ多様な腸内細菌の菌叢の保全活動である。この活動は、6番目の大絶滅期を迎えたと言われる現在、人類と共生する菌叢の種の保全にも繋がるという。
本書のいちいち、感銘しながら読み進んだ。
人類の歴史からすると、農業を始めたのも、医療の普及も、衛生環境の改善も、抗生物質の開発も、いずれも、ごくごく最近のことにすぎない。生物としての人類は、そうしたことを前提とせず、様々な環境に適応してきた。身体機能や微生物との共生も同様である。しかし、状況は大きく変わり、歴史の変化は人類にとっての福音であるかに見えるが、実際はどうかと著者は問題視する。抗生物質の乱用によって腸内菌叢を撹乱し、かえって「アンフィバイオーシス(両義性)」の危機を招くという。「両義性」とは、抗生物質による劇的な症状の改善と、少数の菌による感染をさす。著者はその点に疑問を投げかける。
著者の最近進める「プー・プロジェクト」は、人類のもつ多様な腸内細菌の菌叢の保全活動である。この活動は、6番目の大絶滅期を迎えたと言われる現在、人類と共生する菌叢の種の保全にも繋がるという。
本書のいちいち、感銘しながら読み進んだ。
抗生物質と人間――マイクロバイオームの危機 (岩波新書) | |
山本太郎 | |
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