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おせちの残り、ローストビーフの残り、菜の花の辛子胡麻和え
15時頃から、前日に続き腹ごなしのために近所の社寺を巡った。丸山神社、伊勝八幡、城山神社、日泰寺。今日も9000歩、6キロ以上を早足で歩き、汗をかいて帰ってきた。
おせちの残り、ローストビーフの残り、菜の花の辛子胡麻和え
2021-01-02 22:07:03
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『ウンコロジー入門』
ウンコロジー入門
正名, 伊沢
偕成社
伊沢正名、2020、『ウンコロジー入門』、偕成社
人間に限らず、動植物を問わず生命の営みに使用した外部のもの、これを利用したあとウンコとして外部にまた戻す。このウンコは回り回ってすべての生命循環のもととなっていく。著者のノグソの実践と観察はまさにそれを実証しようというものだ。数十年の間著者はノグソを繰り返しそれを観察してきた事実、それを踏まえて書かれているのが本書。分解されたものを口にするところまで実践したのだから脱帽と言うしかない。
ここでは、私の関わったノグソについて少し記しておきたい。
わたしは、大学時代、山岳部の先輩にお世話になった(といって、私は山行に付き合ったわけではない)のだが、かれらは、キジ撃ちを教えてくれた。キジ撃ちとはもちろんノグソのことである。また、私の恩師のひとりは、これは親の教えだと言って、排尿はトイレには行かない。もちろん、外での話。こんな人達にかこまれていたとはいえ、わたしにとって最大の危機は、最初のフィールドワークのミクロネシアのサンゴ礁の小島での経験だった。
私はこの小島で約8ヶ月暮らしたのだが、通船は2ヶ月に1度、電気ガス水道はなく、海岸に出ても、無人島以外の島影は見えない、しかも、人口も100人未満というところだった。まだ連絡船が私を連れてきた夜、船で寝たのだが、夜は椰子酒の飲み会に呼んでくれた。その際、尿意を催してトイレはどこかと聞くと、そのへんのヤシの根元でしろという。しばらく我慢すると、くらやみにかくれて、男がしゃがみこんでいるのが見えた。男もしゃがんでするらしい。それにならってした。
翌日から、私の島での生活が始まった。朝船から荷物をあてがわれた家に運び込み、船は出ていった。小用は、前夜に知った。では、大はどうする。問題は翌朝だった。どこですればよいのだろう。前夜の飲み会のときは暗かったからよくわかっていなかったが、ココヤシの木立に家が何軒も並んでいて、さすがにどこでもいいといわれても、憚られる。
やむなく、散歩ということで、裏海岸に向かう小道をたどった。スコップを持っているわけでもないし、かといって、ちり紙もつかう。考えたのは、海に流せるかということ。裏海岸はくるぶしほどの海水が続くだけで深みがない。岩陰もない(サンゴ礁の島なので、そもそも、大きな岩はめったにみられない)。やむなく、大海原を向いてしゃがみこんだ。目的は果たしたものの、排泄物やチリ紙が至って目障り。といって、満潮まで行方を見届けることもできず、ままよとその場を振り向かずに立ち去った。数日は、そのようなことですぎた。
ある朝、日課にでかけた。すると、私のキョウダイ筋に当たる男(私をこの島につれてきた男の嫁ぎ先の一族の男なので、私の擬制的なキョウダイということになる)が、私がいつもしゃがんでいる場所近くで、こっち(島の方)をむいてしゃがんでいる。そうか、「しゃがむ向き」も文化だ!と心打たれたが、しかし、ぎこちなく、手を上げて挨拶をして通り過ぎた。その翌朝からはそのキョウダイに従ってしゃがむ向きをかえた。
しばらくたって、腹を壊した。いつものような裏海岸では間に合うはずもなく、家の近くはさすがにはばかられ、海に飛び込んで思いを果たした。すると、サカナがしきりに身体の周りをはねた。思い当たった。私だけでなく島の人々は夕方になると思い思いに感覚を開けて海につかって身体を拭い、ふんどしや腰布を洗っている。わたしも、夕方、海につかっていたのだが、そのおり、私だけでなく、海の中の人々の背中で魚がはねた。海の中にしゃがんでいると、魚が寄ってきて、時には背中を突っついてくるのを覚えていた。
わたしは、完全水洗トイレを発見した!と思った。その翌日から、習慣をかえて、朝ではなく夕方、身体を洗うときに海の中で排便することにした。便はたいがい水に浮いてくるが、それよりも前に大きなサカナが食べてしまう。水面に浮くことはない早業だ。当時は日本ではまだ、ウォシュレットはなかったと記憶するが、完璧だった。実に清潔な肛門を維持することが、以來できることになった。
別の経験もある。それは、そのミクロネシアのサンゴ礁の小島のあと6−7年経ってからのこと、こんどは、北部オーストラリア・アーネムランドのアボリジニの村での経験だった。その村は、ユーカリの林の中の広場にあった。定住人口は20人ばかりだったが、そこに、「明けの明星のまつり」の撮影をするために、付近のアボリジニたちをあつめ、日本人の撮影隊などをあわせて人口は倍に膨れ上がった。広場に2箇所トイレがあったけれど、「ぼっとんトイレ」で匂いとハエがとんでもない。村の住人も含めてみな敬遠気味であった。結果として、各々村の周辺のユーカリの林の中に各々の場所を求めて散っていくことになる。しばらくすると、用を足す際に誰かの痕跡を目にすることが多くなった。すると、更に先に足を伸ばすことになる。次第にハエの数も増えてきたように思えた。
アボリジニの人々はもともと狩猟採集民、せいぜい20人程度で、定住生活はせず移動がちであった。また、かれらは、しばしばユーカリの林の中に火を入れる。かれらは、火を入れることを英語でクレンジングと表現してみせる。まさに、清潔にするのだ。白人社会との接触によって、定住が余儀なくされた。白人はその見返りというわけではないが、簡易な家屋とトイレと水道を用意した。定住しろということだ。ところが、定住すると火は厄介者になってしまう。定住のための施設は動かせない。もともと移動がちの彼らの持ち物は最小限でしかないので、火はおそれるものではないのだ。
ようやく、本書に戻る。わたしは、著者の意見に全く賛成だ。人間を問わず、すべての生命は物質循環の中にあり、そこからひとり離脱するのはいかがか、ということ。だから、ウンコをノグソで自然の物質循環の輪の中にもどすのだと。賛成だ。しかし、それは、人口が少なく定住せず暮らしていれば可能であったということだ。江戸時代の人口は4000万未満、現在の3分の1、最大人口の江戸でも人口は100万に過ぎなかった。東京はその10倍以上、どうかんがえても、ノグソを可能にする空間がない。とすれば、下水道処理場の施設を物質循環にみあったものに変えていくことのほうが理にかなっているだろう。
もちろん、著者が、日本人口すべてがノグソをするということを求めているわけではないだろう。人間も物質循環の中にあることを知れ!ということなのだろうと思う。だから、本書ぐらいの刺激が必要だと言うことも理解できる。しかし、無理と思わせてしまうのも、惜しいような気がする。そのためには、どのように伝えればよいのだろう。
ウンコの物質循環からの隔離も人間中心主義的で如何かではあるが、もうひとつ、忘れてはいけないものがあると思う。それは、人間の遺体のことだ。すべての生命は全てやがては命をおえる。森や林の命たちは、その中で自然に帰っていく。本書でもそのことが触れられている。とすれば、人間だけが火葬されて灰になってしまい、昨今のように、散骨して自然に撒き散らされるならばまだしもだが、物質循環から隔離されてしまう。これはこれで、いいのだろうかと思ってしまう。
じつは、父方の祖母の実家は土葬が認められている地域だった。40年ほど前に、その土葬の埋め墓にお参りしたことがある。そのとき、墓にも年齢があるということを知った。新仏が埋められたとき、土饅頭ができてその上に木製の卒塔婆が建てられる。時間が立つと、土中の遺体が分解されて次第に土饅頭は低くなり、卒塔婆は朽ちていく。数十年たつと平坦な場所になる。その頃になって、次の新仏が入る埋め墓がそっくり同じ場所ではなく少し位置をずらして掘られるのだそうだ。
ウンコもさりながら、遺体の物質循環への再参加はどうだろう。本書を読みながら、思ったのだが、これとてもノグソと同じく、人口が多い現在どうかと思うが、しかし、日々のノグソよりも、回数として解決できそうな気がするのだが、どうだろう。
正月なのに!なんて、そしられそうな気がするが、どうせは思い立ったことだから、書いておこうか。
2021-01-02 17:25:14
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