「天空編」、「原子編」、「数理社会編」、「倫理編」、「生命編」に分けられ、合計22夜の科学エッセイ。いずれのテーマも、更に知りたくなること請け合いだが、文献リストが細かに添付されているわけではないので、自分で検索していく必要がある。しかし、それはそれで楽しく、芋づる式に関心が広がっていくことだろうと思う。
たとえば、「生命編」の第19夜「アリたちの晴朗な世界」はどうだろう。キノコを栽培しているハキリアリの話題から始まり、他の種のアリを奴隷にして子育てをさせるグンタイアリに対して、サボタージュやグンタイアリの子をころっして、反乱をくわだてる奴隷アリがいるという話。文献を探すといるんだな。造反有理というか、巣を壊され女王アリを殺されているそのアリは自分の王国を造反によって再建できるわけではないが、反乱を起こすことが他のアリの安全保障に間接的ににつながるらしいと。
奴隷アリの行動を教訓にするならば、ふと思いついた「獅子身中の虫」という慣用句、これは、組織の中で悪や害をなすものとして一般に理解されるが、逆の理解も有りだなと思った。