著者は「へんてこ」について次のように書いている。「生き物を通して感じる「センス・オブ・ワンダー」(うわーっ、びっくりしたぁ、というような感覚)を強く感じる性分のようで、その感覚を「へんてこ」と呼んできた。では、具体的にどんなものが「へんてこ」で「センス・オブ・ワンダー」をもたらすかというと、かわいかったり、美しかったり、ひねくれていたり、奇妙だったり、数奇な運命に弄ばれたり、とにかく自分の認識を新たにしてくれるものたち、ということだ。見た目だけではなく、生活史や、生息環境や、人とのかかわりなど、すべてが考慮に足る。結果、「へんてこな生き物」たちは、地球上の生命の「にぎわい」を感じさせてやまない」と。
様々な背景などを考慮しながら、「センス・オブ・ワンダー」を感じた動物を取り上げるということだ。本書では、節のタイトルとなっているのは31種で、本文の中にはさらに多くの「へんてこな生き物」が取り上げられる。わたしは、オーストラリアとニュージーランドで仕事をしてきたこともあって、本書には、第1章「西オーストラリアの不思議哺乳類たち」、第4章「飛べない鳥に会いにいく」と全5章のうち2章もあてられて、心強い。もちろん、実物を見たものは少数だが、それでも、オーストラリアとニュージーランドの特殊性(孤立性)がよく表現されていると思う。