松下製の古いトランジスタラジオAT-290を、暇を見ては修理しようと思います。外見はそれほど痛んでおらずラジオ放送も受信するのですが、音が小さいのが難点です。まずは、裏蓋を外して内部を調査しました。私はラジオの修理をするとき、まず初めに内部調査から開始します。内部の痛み状況,使われている部品,欠損している部品などを調べます。いきなり修理することはしません。
松下製の古いトランジスタラジオAT-290
裏蓋を初めて開けるとき、私が一番最初に見るのはバリコンです。このラジオに使われていたのはエアーバリコンでした。エアーバリコンが使われているので、このラジオは昭和30年中頃以前に製造されたのではないでしょうか。昭和30年後期以降は、ほとんどポリバリコンが使われるようになりますので。なお電池BOXが欠品でしたので、あらかじめ秋葉原に行って購入しておきました。
内部を観察するとエアーバリコンが使われている、電池BOXが欠品
使われているトランジスタも調査しました。すると、局部発信混合にMC103,中間周波にOC45x2が使われていました。JIS規格に統一された時に、MC103は2SA103に名称変更されました。面白いのは、このトランジスタに塗られた黄緑色が2SA103に名称変更されても同じ黄緑色が塗られていることです。たまたま私がストックしていた2SA103は、去年の秋に自作したシグナルインジェクターに使いました。やはり黄緑色でした。OC45は2SA145に名称変更になりました。
黄緑色の丸缶型トランジスタMC103 黄色の丸缶型トランジスタOC45が2個
低周波増幅にOC72x2,そして電力増幅にOC71x2が使われていました。MCやOCシリーズは、松下製初期のトランジスタです。ちなみにOC72はJIS規格では2SB172と名称変更になりました。OC71は2SB171となりました。なお、この時代の松下製トランジスタの形状は丸缶型です。JIS規格になってからは円柱型になりました。なおバリスタとしてMA23が使われていました。
黒色の丸缶型トランジスタOC71が2個とOC72が2個