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11日、ひかり観音を再調査に行くことになりました。その前に、これまでに分かっている知識(去年行った時のGPS情報や先日行った時のひかり観音の岩の写真など)で、ひかり観音が太陽光を田布施方面に反射している可能性を、素人ながら数学と天文学で机上で検証してみました。
まず、ひかり観音に当たった太陽光が何度の角度(仰角)で田布施方面に照射しているか計算しました。三角関数のtanを使って計算できます。ひかり観音の高度270m、ひかり観音から田布施市街までの距離5.6kmを元に仰角は2.8度と算出されます。次に岩の写真から傾斜角を計りました。約30度です。なお、岩は真東に向いていると仮定しました。
これらの計算式から、太陽が真東に角度63度位に登った時に、田布施方面に太陽光が反射されることが予測されます。
ひかり観音から田布施までの仰角2.8度 岩の傾斜角は約30度
次に太陽の動きから、真東に63度の角度で登る日付を求めます。ひかり観音の北緯は33°57'35"で、東経は131°59'53"です。この情報から太陽の動きを求めると次のようにグラフになります。このグラフを見ると、当然ながら冬至は最も高度が低い天空のコースをたどり、夏至が最も高度が高い天空のコースをたどります。高度が63度に達するコースは4~8月頃しかないことが分かります。
ひかり観音から見た、一年を通して見た太陽の高度の一日の動き
次に、ひかり観音の岩の向きを真東と仮定すると、太陽が真東の高度63度になる日付を求めます。すると、下のグラフの黄楕円の右端付近に相当することが分かります。つまり、夏至に太陽が高度63度付近ある午前10時頃にひかり観音から真東マイナス10°のラインで光が見え、さらに11時頃にかけて光が見える位置が北西に移動することが分かります。
ひかり観音から見た、一年を通して見た太陽の方角の一日の動き
以上のことは、最初にひかり観音の東北東(田布施のやや北側、波野など)で見え始め(下図のA地域)、太陽が上昇するにつれて光が見える位置が移動し、今度は田布施街の北東(城南側)で見え始めるようになるだろうことが分かります(下図のB地域)。さらに距離と入射角の関係から、田布施街より城南の方が光が強く(約4倍)しかも長い時間(約2倍)光ると思われます。これは、ひかり観音が城南の伝説として残っていることと関係があるかも知れません。偶然のことでしょうが、ひかり観音の真東の方向に国森古墳と八坂神社があります。
以上のことは机上のことですが、ひかり観音が真東よりわずかに南向きで、傾斜角が30度よりもわずかに緩い場合は、光が見える範囲が田布施街の南側(下図のプラス10°の方向)に広がることが分かります。
ひかり観音はとても大きな岩ですので、岩の部位によって傾斜角や向きが微妙に異なると思います。11日に正確に調査すれば「古代の光」の信憑性がより精査できると思います。
なお、ひかり観音を、高さ270mで影の長さが5.6kmの巨大な日時計にたとえる事ができます。夏の太陽の動きは早いので、その影の先端の動きはとても速いと思います(人が早歩きする速度?)。光が見えたとしても数分程度ではないかと思われます。
この古代の光が本当だったと仮定すると、古代に田布施に暮らしていた人々は、住んでいる場所ごとに毎年決まった時期に光が見えたのではないでしょうか。毎年同じ時期に正確に光れば、農作業の基準になったかも知れません。ただ残念なことに、ひかり観音の城南側は木が茂っています。このため、光は城南側からは見えにくいと思われます。
ひかり観音による太陽の反射光が見えやすい箇所の推定