すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

考えれば見事な「B40」

2017年05月25日 | 読書
 「この本自体が素晴らしい発明」と今読んでいる新書の中で著者は書く。内容ではなく「新書判」という版型や販売形式のことだ。外国にもペーパーバックという形はあるが、B40という独特の版型で多彩なジャンルを網羅していることは、考えれば見事である。風呂場や寝床でのグータラ読書にはもってこいだしね。


2017読了55
 『下流老人~一億総老後崩壊の衝撃』(藤田孝典 朝日新書)

 地方農村部の住民にとっては、まだ深刻な状況とは言えないかもしれない。しかし都市部で確実に起こっている事実は、様々な報道媒体によって示されている。『下流社会』という新書が出されてからもう十数年が経ち、貧困問題もクローズアップされているが、苦しさに直面するのはまず高齢者であり、子どもである。

 将来に向けての「自己防衛策」も示しているが、基本的には国の社会構造の変革を強く訴える。第4章は「『努力論』『自己責任論』があなたを殺す日」と題され、社会の持つ「甘え」を許さない風潮を鋭く批判している。政治は優先順位を決定し働くものだが、人権を守るシステムづくりだけはないがしろにできない。


 (まさに、今「藤」の季節ですね)

2017読了56
 『日本人のしきたり』(飯倉晴武  青春出版社)

 歴史的に「神仏混淆」は禁止になっているが、暮らしの中に、神道と仏教が融合した習俗は多く残っている。しかし二つには、根本的違いがある。目的において、神道は「地縁・血縁で結ばれた共同体を守ること」であり、仏教は「個人の安心立命や魂の救済、国家鎮護を求める」のだ。だからこそ、混じり合っている。

 改めて年中行事、しきたりをもっと大切にしたいと思う。正月もそうだが、この国の暮らしは「商戦」によってリードされている。違和感を感ずる人も多いはずだ。以前から典型的なのはバレンタインデー、クリスマスだが、最近はハローウィンか。もっと日本の心を表わせよ!と、かの人生航路みたいに言いたい。