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作戦と精神力~夏場所回顧

2017年05月28日 | 雑記帳
 「空前」と形容してもあながち嘘ではないかもしれない。大相撲人気は、取り上げるメディアの量を見れば歴然としている。この夏場所は、幸運なことに溜り席で観覧でき、ずっと印象に残るものとなるだろう。ただ場所前の様々な期待は、叶った人もいるし、残念な結果になったこともあるし、それはいつも通りだ。


 稀勢の里の三場所連続優勝は心情的に期待が大きくても、実際のところ懐疑的だったのは私だけではない。一番見たかったのは「実力者の万全な形での力勝負」、具体的には横綱同士の全勝対決だった。しかしここ数場所を見ても、上位陣の怪我や不調が目立ち、残念な筋道になっている。今場所も同様と言えるだろう。



 その中で、予想の一つにあった若手や小兵の台頭が場所を盛り上げてくれたことが救いだ。地元の豪風初め30歳を超したベテラン勢が多くを占める幕内に、明らかに新風を巻き起こしてくれている。その意味では三役の取組だけでなく、下位陣同士にも見所が生まれた。宇良や貴景勝など、このまま順調に育ってほしい。


 NHKの中継は様々な工夫をしている。中でも目を見張ったのは、力士の取り口データが詳細に出たこと。立ち合いの位置やら勝敗ごとの所要時間数の平均、そして立ち合いの高さ、力量なども数値化して表示した。長所・短所、攻め口など、様々な視点で比べられて面白かった。しかし、当然「勝負」は判定できない。


 ハイライトの一つは10日目の白鵬・高安戦だった。ちょうどその日にデータが紹介され興味深かった。各種データによる有利さは、今場所高安が上回っているように思えたが、勝負は横綱の勝ち。結局、勝負を決するには「作戦と精神力」が絶大であることを改めて感じる。今場所の結果はそれを如実に物語っている。