すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

「5月10日を忘れるな」と…

2017年05月10日 | 雑記帳
 朝6時にバンバンと花火が上がった。大方の人はどこかのお祭りか、と思っただろう。確かにその通りで、「あっ今日は5月10日だ」と頭の中で声を発する自分がいた。これは、幼い頃から祖母が時折口にする「5月10日を忘れるな」という言葉がどこかに染み付いているからだ。西馬音内に大火があった日である。



 西馬音内川にかかる二万石橋と川原田橋のほぼ中間地点、本町側の川沿いに小さな地蔵尊がある。「火防地蔵」である。小さい頃は「カボジゾさん」と覚えていた。もちろん大火と言ってもずいぶんと時が経ち、昭和3年、今からもう90年も前のこと。記録には「本町下・裏町116戸の焼失」とある。町最大の火事だ。


 「火の用心」は慣用句になっているほど浸透している。季語としても使われる。もちろん「冬」なのだが、そのイメージは現代生活では通用しない。考えるまでもなく、火は人類が文明を作り出すための不可欠な道具であった。しかし完全に操ることが出来ずにいることは、身近な例や歴史的な出来事を出すまでもない。


 町内では先月不幸な火事もあった。国内に目を渡せば、複数の死傷者を出した火災だけでなく、山火事で大変な目に遭っている方々もいる。誰しもが「まさか」という気持ちを抱いたはずだ。防火に対しては、いつの時も気を緩めてはいけない。「ひのこと」を「かじ」と読ませ、「」をつけた意味の深さを想いたい。