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「夢を持て」と語り逝った人

2020年02月13日 | 雑記帳
 小学生の頃からヒーローは長嶋茂雄だったが、大人になって仕事を持つようになって学びを得る人物としては、野村克也の方を断然意識した。個性的な妻サッチーとのやりとりはご愛嬌であり、野球というスポーツを通じて「本筋」を通す人、そして「本音」をさらして生きていく人という全体像の一部分に過ぎない。


 まだ読んでいる気もするが2冊分読書メモを残していた。一つはかの『野村ノート』。もう一つは、政治家野中広務との対談集『憎まれ役』だった。「策士」という形容が似合う二人ではあるが、それは理論や具体行動を生み出すためのたゆまない学習努力によって支えられている。下積みという流行らない語が浮かぶ。


『野村ノート』の本質

レッテル剥がしから


 NHKクローズアップ現代+が、逝去後すぐに取り上げた。「密着半年 野村克也さん 最期のメッセージ」は、その人生のコアな部分を凝縮していた。あまりに有名な言葉「努力は天才に勝る」は、いつの時代であっても明確に口にできる者は限られている。それを実現した者だけが、実感を乗せて語られると悟った。


 番組終盤で語られた日ハム栗山監督のコメントに納得した。現在の野球界の戦術的なセオリーを明らかにし常識にした人と言い切った。意識しないほど浸透しているから凄さがわかる。大リーグで華やかにプレーする者、今後羽ばたく野球少年たちを支える歴史を作った人だ。「夢を持て」が最期のメッセージだった。