すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

むかし話という嘘が好き

2020年02月09日 | 読書
 昨年11月に開設した新サイト「えほんひらけば」もすっかり滞ってしまった。
 正月に「大人向け絵本」に少しハマったことも一つの原因か。
 そもそも複数手がけること自体が無理なのは、今までの例でもわかっていたはず…と学習能力の低さを露呈しただけか。流れに任せてとりあえず放置。
 で、今回の大人絵本は…。

 【絵本 むかし話ですよ】(五味太郎  方丈社)

 【絵本 むかし話ですよ 弐】(五味太郎  方丈社)




 「弐」が昨年10月刊で、あるサイトで紹介されていたのを見つけ、どうせならと思い2冊揃えてみた。
 いやはや、面白い。
 昔話のパロディーというジャンルだろうが、その料理の仕方は独特で、多様な味わいがある。

 絵本としては最初に出した方がバランス?がとれていて、弐の方は文章が少し多い。
 作品数は最初が11で、弐は6編である。


 個人的に秀逸だと思ったのは弐の「ウサギとカメとなぜかタヌキの話」。
 一番文章量も多いようだ。

 例の「ウサギとカメ」の話は、昔からよくパロディーにされる題材だが、これにタヌキが提案者として加わるという設定とその展開が実に今風で笑える。
 「個体差環境対応実践レース」なんて、言葉も登場してくる。
 もし、自分がウサギとカメに対して、レースや対決を提案するならどんなふうに働きかけるだろうか。そんな妄想もわく。
 この妄想はもしかしたら、今の自分をよく表すかもしれない。
 さしずめ、二人の好きな本を紹介しあってみませんか、などと…。


 昔話という素材は、単純な分だけ筋やモチーフが明快、強固であり、その前提をもとに多面的な崩しや妄想が可能になる。

 自分も以前、パロディ劇の脚本を書いたり、続き話を作ったりしたことを思い出す。
 この分野の面白さが自分に合う。少し書く意欲も残っているか。
 また、この作品をいつか読み聞かせにかけてみたい気がしてきた。

 しかし、小学生では無理だろう。「R15」かな。