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早食いババアの笑撃

2020年02月14日 | 雑記帳
 新聞のTV欄をみると、ずいぶんと頻繁に「路線バスの旅」「鉄道旅」のような番組が多い。都市部もあるがやはり地方が目立つ。例のケンミンショーにしても、ポツンと一軒家にしても、少し穿った見方をすれば、田舎蔑視、差別的嘲笑を柔らかく包んだだけとも言える。典型的なモチーフの一つは「過疎」なのだ。


 「それにしても、人がいないねえ」という台詞はそうした番組の常套句。過疎とは、昭和40年代に島根県のある町長が国会で訴えたことから、語が認知されたらしい。検索すると「1966年に経済審議会の地域部会中間報告で初めて公式に登場した」とある。もう半世紀前から問題化し、それが全国至る所に拡がった。


 公式文書における過疎の定義は「人口減少のために一定の生活水準を維持することが困難になった状態」である。当然、生活水準は語が登場した頃との比較ではない。社会基盤が整備される時代進行に合わせて、相対的な困難さが増すという捉え方だ。打開する施策が浸透しない訳は、やはり国民の意識にあるだろう。


 それはさておき、先日正月分再放送ということで、我が秋田県内のバス旅が放送され、路線バス接続の難しさの現状を「当たり前だべ」と呟きながら観た。中山秀征が地元のご婦人方と会話していて、「早食いババア?」と訊き返したシーンに笑ってしまった。「ハヤグイエバア(早く言えば)」がそう聞こえたらしい。


 その場面を観て、「早く言えば」とは「端的には」「てっとり早く説明すると」というニュアンスを持つ方言だったと、今さら気づいた。地方を取材する番組は、取り上げられる側にすればやや晴れがましい思いを持つ時はあるにせよ、それはハヤグイエバア格差を見世物の一つにしただけと、早食い爺は皮肉を垂れた。