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こういう時こそ「おちつけ」

2020年02月20日 | 読書
 毎日、止まない雨のように、新型コロナウィルスによる感染症の話題が続く。直接的な関わりを持つ様々な人が、様々な機関が、どう動き何を伝えるかによって影響を及ぼすのは当然だ。しかし、未来を決定づけるのはその情報を受けとめる側、私たちの行動だろう。こういう時こそ自らにある「思い込み」に気づき、落ち着いた判断をしたい。


 【FACTFULNESS】
 (H・ロスリング、O・ロスリング、A・ロスリング著 上杉周作、関美和訳)


 「世界は良くなっているか、悪くなっているか」と問いかけられた時、どう答えるか。「悪くなっている」と即座に答えそうになる自分の愚かさをまず考える。良い悪いの基準が見えない、いつとの比較か示されない、世界の範囲はどこなのか…前提を吟味せずに口にするのは、仮に飲み会の世間話であったとしても、やはり「思い込み」の塊だ。


 この本が挙げた、思い込みを起こさせる「本能」は次の10個だ。「分断」「ネガティブ」「直線」「恐怖」「過大視」「パターン化」「宿命」「単純化」「犯人捜し」「焦り」…どれも当てはまりそうだが、特に自覚できるのは「宿命」だろうか。我が家の家訓(笑)は「人は変わらない(だから自分を変えよ)」。いや、それはやはり固定化された見方なのだ。


 隣国に対する意識など典型的だ。実は変わってきた部分が大きいのに、変わらず見える部分だけを取り上げ「昔からそうだった」と強調する。そしてその思いを他にも適用させる。それでは駄目だ。上の二者択一の問いに関連付ければ、理解するためには「悪い」と「良くなっている」の両立、つまりデータをもとに複眼的な見方をすることだ。



 簡単なことではないが、建前だけでは駄目だ。アクションの一つとして訳者は、ルールがまとめられているページを手帳に貼ったという。目につくところに置き、眺めるだけでも一歩前進。そして、もう一つ大事なのは「落ち着く」ことだ。ほぼ日で『おちつけ』グッズ(石川九楊書)を売り出しているが、買ってみようか…。いや、おちつけ。