佐藤哲三は明治43年生まれ(1910~1954)。
洲之内徹は大正2年生まれ(1913~1987)。
尼崎安四も大正2年生まれ(1913~1952)。
彌生書房より「定本尼崎安四詩集」が出ております。
その尼崎安四の詩に「柿」があります。
柿
暗い山がある 暗い野がある 暗い空がある
暗い世界の中に人間のともした灯火でなく
空と地がおのづからともした灯火がある
往くところいづこにも熟れる枝々の柿
陽と月の周期につれてめぐつてくる
地球の上の翳りにも似て この季節
地の涯からあげ潮のやうに覆うてくるとり入れの色
崩れた古い寺の庭に 人住まぬ兵舎の跡に
柿の実は人の知らぬ期待のために輝いてゐる
永劫にめぐつてくる寂かさの中のいとなみの輝き
言葉のないその歩みはただ見えぬものの歩みにつれてめぐるばかり
森の野の風にとぼり消える灯火でなく
人のとぼし 人の吹きけす幻でなく
暗い山に 暗い野に 暗い空に
木枯しの中にもおのづからともつてくるひそかなその灯
あと、尼崎安四に「高橋新吉に」と副題がある「柿の木」という詩があります。
洲之内徹は大正2年生まれ(1913~1987)。
尼崎安四も大正2年生まれ(1913~1952)。
彌生書房より「定本尼崎安四詩集」が出ております。
その尼崎安四の詩に「柿」があります。
柿
暗い山がある 暗い野がある 暗い空がある
暗い世界の中に人間のともした灯火でなく
空と地がおのづからともした灯火がある
往くところいづこにも熟れる枝々の柿
陽と月の周期につれてめぐつてくる
地球の上の翳りにも似て この季節
地の涯からあげ潮のやうに覆うてくるとり入れの色
崩れた古い寺の庭に 人住まぬ兵舎の跡に
柿の実は人の知らぬ期待のために輝いてゐる
永劫にめぐつてくる寂かさの中のいとなみの輝き
言葉のないその歩みはただ見えぬものの歩みにつれてめぐるばかり
森の野の風にとぼり消える灯火でなく
人のとぼし 人の吹きけす幻でなく
暗い山に 暗い野に 暗い空に
木枯しの中にもおのづからともつてくるひそかなその灯
あと、尼崎安四に「高橋新吉に」と副題がある「柿の木」という詩があります。