和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

正確な日本語とは。

2008-07-30 | 朝日新聞
「大野晋先生を悼む」と題して読売新聞2008年7月21日に井上ひさし氏が書いておりました。そこでのたとえが印象に残ります。
お役所の会議で

  「こんどの図書館の改装については、地域との協力関係を大切にしよう」

これを外来語をふんだんにまぶして語ると

 「このたびのライブラリーのリニューアルについては、コミュニティーとのパートナーシップを重視しよう」

となっているのだそうです。井上氏は『外来語言い換え手引き』(ぎょうせい刊)による、各単語の意味範囲を視野において、外来語のこの文を、可能な範囲で訳し直しております。

「こんどの修蔵館についてはすべてを一新して、地域共同体との共同経営にしよう」

これから、大野晋氏への追悼文の本題に入っておりました。

さて私は、この例文を読んでいて思い浮かんだのが、6月13日の各新聞一面記事。
それは平成13年1月30日にNHK教育テレビで放送された慰安婦問題番組変更の最高裁判決を記事にしておりました。
その番組はといえば「昭和天皇を『強姦と性奴隷制』の責任で弁護人なしに裁いた民間法廷を取り上げた内容」(産経新聞「主張」)だそうです。

さて一面でした、
読売新聞は見出し縦文字は「NHK逆転勝訴」
産経新聞は縦見出しは「最高裁逆転判決原告の団体敗訴」
朝日新聞は「市民団体が逆転敗訴」

一面の横見出しは、
読売新聞が「戦争番組改編」
産経新聞が「NHK従軍慰安婦問題の番組変更」
朝日新聞が「NHK訴訟」

朝日新聞だけが見出しで「昭和天皇を『強姦と性奴隷制』の責任で弁護人なしに裁いた民間法廷」の女性団体を「市民団体」と規程しておりました。

朝日新聞は「市民団体」
読売新聞は「民間団体」
産経新聞は「女性団体」

そして、おごそかに
朝日新聞の記事一段目の本文を読むと、
「市民団体がNHKなどに損害賠償を求めた訴訟」
「市民団体の請求をすべて退ける判決」
「市民団体側の逆転敗訴が確定した」

とあり、いったいどんな「市民団体」とかがあいまいで。
ペタペタと判を押すように言葉「市民団体」を記事に並べて。
記事を組み立てておりました。おいおい。
ここからは、悪い市民団体が敗訴したというイメージはありません。
善い市民団体が、権威をふりまわす最高裁に敗れたとでもいいたいようです。
朝日新聞が応援していた市民団体が逆転敗訴したのだと読めるように。
工夫を凝らした記事になっておりました。

そういえば、「朝鮮民主主義人民共和国」という名称を
最後まで、一面記事に記載し続けたのが朝日新聞。

昨年のネットでの流行語大賞が「アサヒる」。
今年はさらに功名さを身にまとうのか朝日新聞。
ツタが絡まるように新聞の一面・社説を占拠する方法。
という本を読んでみたい。



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