和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

震災写真。

2008-07-02 | 地震
清水幾太郎監修「手記関東大震災」(新評論)という本があります。
現在は、オンデマンド版として購入できるようです。
私は古本で買いました。本の最後に清水幾太郎氏が「明日に迫ったこの国難 読者に訴える」という文を載せておりました。ここでは、この本に掲載されている写真で思ったこと(じつは、本自体は、清水氏の文しか読んでいないのです)。
震災直後の「浅草ひょうたん池」「隅田川畔に漂う死体」「隅田川に浮かんだ死体」「被服蔽跡」等々の白黒写真が所々に掲載されておりました。ちょっと死体といわれなければ、わかりにくい感じをうけます。
それで思い浮かんだのが、尾上柴舟の歌集でした。そこには
「大震の日」と題して8首。そこから4首ほど引用してみます。

  ひたぶるに大空仰ぎ神まさばまさばとばかり乞ひのむ心
  ゆれやみて思へば事のあらざりし昨日の日こそ尊かりけれ
  とどろきは遠く過ぐれど大き葉の八つ手の梢(うれ)はまだゆれやまず
  庭の木の梢ほのかに揺れのこり恐ろしき日の夕べせまれり
  

「潮と共に上る死人の群を見る」と題する8首もありました。

  これや人黄色く黒く群がりて潮のまにまに上り来るは
  群がりて黄黒き中にくれなゐの裳裾ほの見ゆ女なるらし
  ・・・・

ちょっと、これ以上の引用はやめときます。
ちなみに引用は「尾上紫舟全詩歌集」(短歌新聞社)より。

  
コメント
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